未明の砦
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あらすじ
共謀罪、始動。標的とされた若者達は公安と大企業を相手に闘うことを選ぶ。その日、共謀罪による初めての容疑者が逮捕されようとしていた。動いたのは警視庁組織犯罪対策部。標的は、大手自動車メーカー〈ユシマ〉の若い非正規工員・矢上達也、脇隼人、秋山宏典、泉原順平。四人は完璧な監視下にあり、身柄確保は確実と思われた。ところが突如発生した火災の混乱に乗じて四人は逃亡する。誰かが彼らに警察の動きを伝えたのだ。所轄の刑事・薮下は、この逮捕劇には裏があると読んで独自に捜査を開始。一方、散り散りに逃亡した四人は、ひとつの場所を目指していた。千葉県の笛ヶ浜にある〈夏の家〉だ。そこで過ごした夏期休暇こそが、すべての発端だった――。自分の生きる社会はもちろん、自分の人生も自分で思うようにはできない。見知らぬ多くの人々の行為や思惑が作用し合って現実が動いていく。だからこそ、それぞれが最善を尽くすほかないのだ。共謀罪始動の真相を追う薮下。この国をもはや沈みゆく船と考え、超法規的な手段で一変させようと試みるキャリア官僚。心を病んだ小学生時代の友人を見舞っては、噛み合わない会話を続ける日夏康章。怒りと欲望、信頼と打算、野心と矜持。それぞれの思いが交錯する。逃亡のさなか、四人が決意した最後の実力行使の手段とは――。最注目作家・太田愛が描く、瑞々しくも切実な希望と成長の社会派青春群像劇。(「BOOK」データベースより)
外部リンク
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評判
未明の砦の評価:
7.00/10点 レビュー 1件。 A ランク
未明の砦の総合評価:
8.58/10点 レビュー 43件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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これは「社会派」を正面に据えた、もうガチガチの社会派小説である。
この方の作品、「幻夏」・「犯罪者クリミナル」・「天上の葦」と読んだけど、社会派ではあるがエンタメ感も強く、すこぶる面白い。当方の評価も全て高い。
それを期して読むと、前半から中盤までは少々しんどい。
この作者のことを知らずに、初めて本書を手にした方は、途中で投げ出すかもしれない。
でも勉強のつもりでしっかり読み進めると、後半は俄然面白くなる。著者の本領発揮という所か。
本作は、非正規雇用に関わる労働問題、組合活動、労働法制、さらにこれらに共謀罪を絡めた超問題作。テーマは重いし、こうした問題に無関心な若い方や右タイプの方は、端から手にしないであろう。
初出は地方紙とある。令和3年から約何2年間年に渡って連載されていたとのこと。
ということは、あやふやなことは書けない。参考文献を見てみると、膨大な数。相当調べてから書かれたようである。
正面切って上記の問題を扱っているので、どうしても説明がくどくなる。くどいから、読むのがしんどいというわけだ。
社会派小説には、主たる登場人物がいてそれらの行動・人間性が徹底的に掘り下げられ、その結果その背後に潜む社会問題が浮かび上がってくる、というタイプの社会派がある。
しかし、本書はそうではない。前述のテーマが主役で、このテーマを扱うために登場人物たちが行動し葛藤し生き抜いていく。このタイプだ。
後者のタイプだったが故、読む人にとってこのテーマが鼻につき敬遠してしまうこともあるだろうし、本来読んで欲しい人たちの手に渡らない可能性も高い。もったいないことだ。
惜しむべきは、このテーマを前者のタイプで描いて欲しかった。そして、4人の若い非正規雇用者をよりリアルに描き出してもらいたかった。
そうすれば、労働問題を扱った不朽の名作と評価されていたかも知れない。
▼以下、ネタバレ感想