ファニーフィンガーズ ラファティ・ベスト・コレクション2
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評判
ファニーフィンガーズ ラファティ・ベスト・コレクション2の評価:
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ファニーフィンガーズ ラファティ・ベスト・コレクション2の総合評価:
8.67/10点 レビュー 3件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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「私のようなラファティの魅力に取りつかれた読者にとって、ラファティの作品はすべてベストだ」(532頁)と。
「すべてベスト」だなんて! すべての本が星五つ、なんていう書評みたいです。
本書のキーワードは「カワイイ」(529頁)。本書は、カワイイ篇。
牧さんのいう「可愛い」とは、単に可憐というだけではありません。
「不思議なチャーム」(530頁)を有する本書のキャラクターたち。
カワイイ子供たち。
カワイイばあさん。
なんだ、なんだ。ばあさんがカワイイ?
とにかく「私たちの生を絶えず擾乱(じょうらん)/活性化する存在」(531頁)
がカワイイんです。
年(時間)はどうでもいいんです。
牧さんは続けます。
「私たちの常識では両義的と見なされる要素が、ラファティの世界では最初からひとつなのだ」(532頁)
ふうん。
ラファティの世界では、最初からひとつ、つながった「大きな世界」のようです。
「ラファティの作品は物語としてはそれぞれ独立しているけれど、無限に大きな世界(マルチヴァース)としてつながっていて、ときおり住人たちが行き来をする」(530頁)
ラファティは「寿限無、寿限無」という作品に、こう書いています。
「天地創造は空虚をまっぷたつに引き裂く革命だった。ふたつの陣営が形づくられ、深い割れ目の上で、引き裂かれた電光の国が対立した。 (中略) それは受容と拒絶、善と悪、というような寓意で呼ばれている。だが、天地創造の瞬間にあったものは、無数の宇宙を維持するこの両義性なのだ」(514頁)
ラファティは、なぜか、キャラクターの年齢を具体的に細かく記載しています。
「四歳の子供」(47頁)
「九歳のわが子」(182頁)
「クラリッサは八歳」(184頁)
「ぼくはまだ三つだぜ。どうしてぼくが責任をとわれなくちゃいけないのさ」(185頁)
ぼくはまだみっちゅでちゅ。どうちてぼくがセキニンをとわれなくっちゃいけないのでちゅか。
「背のひょろ長い、九つの少年」(200頁)
「まだ八つだが、八つ半といってもじゅうぶんにとおる女の子」(200頁)
「あのう、七つというとしは、おぼこ娘の役にはまだ若すぎるかしら?」(201頁)
「六つのトム」(203頁)
「五つのファッティは答えた」(203頁)
「みんな年はそろって九歳」(358頁)
「十歳になりたてのほやほや」(358頁)
「そしてブルーステムばあさんは、本人によれば五十歳だか百歳だが」(358頁)
女性は年齢を言わないもの。それにしても、五十もサバをよむなんて。
あきれたばあさんですこと。カワイイにもホドがあります。
「九つだから、信じるとなればあっけない。ここでわたしに解(げ)せないのは、そのあと十二になって概念的思考ができるようになってからも、まだそいつを信じていたことだ」(374頁)
「十七歳の成熟した大人にして心理人類学の専攻学生キャサリン・パーマー」(378頁)
「キャサリンがこんなにも十七歳っぽい、かわいい娘でなかったら」(378頁)
「一生でいちばん重要な事件は、四歳のとき、ある貝を見つけたことだった」(389頁)
以下は、作品「みにくい海」からの引用です。
「十二になる片足の悪い娘がピアノを弾いていた」(445頁)
「ただ十二の小娘が」(449頁)
「あたしまだ十二よ」(451頁)
「オランダの下宿屋では、十二になる娘とチェスをした」(453頁)
「足の悪い十三の娘」(454頁)
「十五の年にボニーは船乗りと結婚した」(457頁)
「誰もが思っていたとおり、ボニーは十六の年にはやもめになっていた」(459頁)
「誰もが予想したとおり、十七の年にはボニーはまたやもめになっていた」(461頁)
美しい娘の人生に、十五、十六、十七・・・と繰り返される、みにくい海での死。
この繰り返しが生むリズムが、音楽的で好きです。
美しいも、みにくいも、同じこと。一つなんだ、と妙に心に沁みました。
本書の中で「みにくい海」 が一番気に入りました。ベスト・オブ・ザ・ベスト。
小説家ラファティの最初期、1957年の作品。