二周目の僕は君と恋をする
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最後はセカイ系っぽいクライマックスへと収束する爽やかなタイムリープ青春恋愛モノの秀作。 ライトノベルレーベルやライト文系レーベルから近年発売されるの学園モノ青春恋愛小説は、特殊要素としてタイムリープを搦めた展開が多用される傾向にあるけれど、タイムリープっていうのはいわゆるチートでもあるわけで。 そのチートを使って恋愛を成就させる主人公達は、「時間遡行」という、一種究極に便利な道具を使って、一時的には幸せを掴み取るが、やはりそれには大きな代償が、伴うもの。 大抵の場合、特殊スキルを使ってくっついてめでたしめでたしとは単純に終わらず、物語の中でチート技を使った代償を大きな喪失として(例えば別離とか重病などの形で)帳尻合わせさせられる形で払わされることになるわけで、ここをどう感情移入できる形で表現できるかが、良作かそうでないかを分けるひとつの大きな評価ポイントになるのかも。 そういう意味で本作は、主人公達の切迫感や切なさが非常に丁寧に表現されており、2人はどうなってしまうのだろうというドキドキ感を最後まで持続させながらどっぷりと感情移入しながら読むことが出来た。ラストのエピローグでのどんでん返し的な展開はハッキリ蛇足ではあると思うけど、どこかでなんとなく救われた気持ちにもなり、複雑ではある(笑) この作者にはもっとこの恋愛路線をガンガン開拓して欲しい、、、 | ||||
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たまたま見かけ 読んで見たいなぁで、読んで見たら。 ストーリーに引き込まれた。 不思議な感じ感覚だった。 あっと言う間に読み 買って良かったーと、 ちょっと気になったら、はい、買いましょう(笑 最後の終わり方好きです! | ||||
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もう一つのレビューがどうしても腑に落ちず、この本を自分で読むことにしました。 (批判するつもりはないのでご了承ください。) お話の構成はとても素晴らしいと思いました。 茉莉ちゃんが【生贄の踊り】を最後に踊った時は感動しました。 また彼女が書いた手紙を読んでる時はあまりにも切なくて涙しました。 この話の最後を批判したい気持ちもわかりますが、恋心は好きな人に諦めてと言われて はい、分かりました。と割り切れるほど単純じゃないように思えます。 だから最後に主人公が茉莉ちゃんの思いに背いてもタイムスリップしたのは、ある意味嬉しかったです。 今度は成功するといいですね!(ちょっとしたネタバレでした!気になる人はぜひ本を読んでください 笑) 大切な人のためならどんな小さな望みにでもかけるという主人公、そしてヒロインの想いと行動は 純粋で少し不格好で、時には切なく読んでて微笑ましいラブストーリーでした! 追記:吉沢という茉莉ちゃんの幼馴染もとても素晴らしいです!後半ではあまりでて来なかったのでそこは少しガッカリですw | ||||
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ファミ通文庫が創刊19周年企画として打ち出したレーベル内レーベルとでもいうべき「ファミ通ネクスト」。 近年急速に失われつつある「青春小説のファミ通」の看板を取り戻せそうな予感を感じさせる作家のラインナップを掲げ かつてのファミ通文庫の愛読者としての期待が高まる中、ファミ通文庫に初登場となる瑞智士記作品を拝読する事に。 物語は2017年の夏、自室に引きこもったまま二年が過ぎた神名崇希が二十歳の誕生日を迎える場面から始まる。 二年前、一学期の終わりに忽然と姿はおろか崇希以外の人間の記憶すらも消失してしまった同級生・常盤茉莉が唯一残した ヘアカフスだけを手放そうとしないまま部屋に引きこもり続ける崇希だったが、その生活を妹の憧子に詰られたことで 衝動的に家を飛び出してしまう。めくら滅法に走った崇希は不用意に交差点に飛び出した結果、車に跳ね飛ばされる事に。 薄れていく意識の中、転がっていたヘアカフスを拾い上げた崇希は茉莉に「好きだ」と言えなかった事を後悔する。 意識の暗転の後、崇希は自室のベッドの上で憧子に揺り起こされている事に気付く。 引きこもりになった自分に見せていた辛辣な態度など微塵も感じられない甘えた感じと胸に付けた「6年3組」の名札に 中学生だった妹が何故小学生に、と愕然とする崇希だったが、埃まみれだった部屋は清潔なまま、 壁には自分が通っていた椋津高校の制服が掛かり、何より二年間の引きこもり生活で太っていた体型が細身になっている事に気付く。 慌てて枕元のスマホを確認するとそこには「2015年4月16日」の表示が。 俄かには信じがたい状況の中、崇希は「今日」が茉莉と出会った日である事を思い出す。 制服に着替え、自転車に飛び乗った崇希は一路旧椋津川の堤防を目指して走る。 堤防に登った崇希がかつて川底だった場所に目をやると、そこにはセーラー服に身を包んだ茉莉が 崇希の中にしか存在しない記憶のまま高々と跳躍し、軽やかなステップを踏んで踊っていた。 崇希の覗き見に気付いた茉莉との間で下着を見た・見てないのひと悶着が起きるものの 「一周目」と同じやり取りが起きた事に崇希は懐かしさを覚える。 そして一周目の記憶通り、同じ学校だからと自転車の二人乗りを要求する茉莉を後ろに乗せて自転車をこぐ崇希。 登校した椋津高校で幼馴染の真嶋に可愛い子との二人乗りをからかわれる崇希だったが幸せを隠しきれない。 基本的に引っ込み思案な崇希の変化に気付いたのは一年生の時から妙に気安く話し掛けてきた長身女子の吉沢だった。 崇希は一週目の記憶通り「川底で踊っていた女の子」について尋ね、茉莉が吉沢の幼馴染である事を聞き出す事に成功。 七月の終わりに発生する茉莉の消失を避けるべく、まずは一周目をなぞり、おかしな変化が無いか確認する崇希だったが、 翌朝再び茉莉に会いに行った旧椋津川の堤防で自転車の二人乗りをしようと登ってきた茉莉が足を滑らせてしまう。 危ないと思って手を伸ばした崇希だったが、掴んだ手すりが折れて茉莉ともども転落の危機に陥った瞬間、 気が付けば茉莉が堤防に登ってくる場面に巻き戻されていた。 自分が小規模なタイムリープに巻き込まれた事に気付いた崇希は、これを茉莉消失を回避する為に使えないと思索するが、 暗い顔をしているとペットボトルを押し付けてきた茉莉が「神名崇希くん」という自分のフルネームを知っていた事に驚き思索を中断。 茉莉が踊っていた曲がストラヴィンスキーの「春の祭典」という乙女を生贄にする曲だという話題に盛り上がりながら登校。 学校で待ち構えていた吉沢はゴールデンウィークに崇希に茉莉の彼氏役として 駅前の店でのカップル限定サービスに連れていくという話を持ち掛ける。 平日と休日という日取りも違えば、吉沢と組んだ苦しい小芝居も無くなるという一周目との明確な変化が生じている事に 崇希は気付き始めるが… 「瑞々しさ」や「初々しさ」をたらふく食わせて貰ったなあ、というのが読み終わっての第一印象。 全体的な雰囲気としては昨年同レーベルで発表された「近すぎる彼らの、十七歳の遠い関係」に非常に近いかと。 (当然そこには同じ和遥キナさんがイラストを担当された、という部分はあるにしても) とにかくライトノベルにありがちな過剰な装飾や読者サービスを排し、シンプルかつ繊細なタッチで 恋する少年少女たちの姿を鮮やかに描いた作品となっている。 物語の方は二年前にタイムリープした主人公の崇希が、かつて高校三年生の一学期の終わりに 抱えていた想いを明かすことが出来ないまま突如「消失」した同級生・茉莉の二度目の消失を回避するべく、 奇妙な小規模タイムリープや一周目との差異が生じる中消失現象の起きた七月が迫る中二周目の日々を送る事に。 そんな日々の中で一周目では気が付けなかった幼馴染のプレイボーイ・真嶋や女子バスケ部で「ゴジラ」と呼ばれる 長身少女で一年生の時から妙に積極的に話しかけてきてくれた吉沢の「秘めた想い」に気付いていくが、 とある事件を境に茉莉の「存在」が揺らぎ始める…という流れとなっている。 瑞智士記作品を読むのは8、9年ぶりぐらいになるが、こういう繊細な恋の話を描くとやっぱり上手いなあと実感。 かつて読んだ「幽霊列車とこんぺい糖」、「戦場のライラプス」、「あまがみエメンタール」といった百合系作品も良かったが、 こういうボーイ・ミーツ・ガールでも十分読ませる作品を書ける人なんだと再認識させられた。 主役の崇希や茉莉の描写も良いのだけど、特に上手いと感じさせられたのが彼らを取り巻く真嶋や吉沢といったサブキャラの描き方。 揃ってコミュニケーションに難がある崇希と茉莉の関係を進めるべくあれこれと世話を焼いてくれるこの二人が良い。 表向きは軽いプレイボーイである真嶋や、 引っ込み思案でクラスでも孤立しがちな崇希に一年生の時に同じクラスになってから妙に積極的に絡んできた吉沢が 口に出さないまま抱え続けている想いを「本当に好きな相手にしか取らない態度」という、ちょっとした仕草や表情の描写で 読者に「あ、このキャラはひょっとして…」と読み取らせる描写はややもすれば「うぶ」というか「おぼこっぽい」感じの 等身大の高校生らしい繊細な感情を丁寧に描いてあり非常に好感が持てた。 そして崇希や茉莉の大切な友人たちが抱えてきた想いが崇希や茉莉の関係が成立してしまえばどうなるか、という事を 暗に示して「カップルが成立すればめでたしめでたし」とは行かない状況である事を悟らせるので この四人の難しい関係がどういう形で収まるのか、という興味を読者に掻き立ててページを捲る手を止めさせない辺りも上手い。 …単純にメインヒロインの茉莉がめちゃくちゃ可愛い、というのも大きいかも 特に序盤の吉沢が用意してくれたカップル専用サービスのケーキ屋に出掛ける場面から茉莉の叔母のキサゲさんの家に行く場面で 見せてくれる「無警戒さ」が変にサービス過剰なラノベヒロインでは出せない「清潔な色気」を醸し出しており、これが実に良い。 次第にこの四人の状況が掴めてくる中で悲劇的な事件が起きた事を切っ掛けに物語のキーとなるタイムリープが発動するのだけど、 そのタイムリープを境に崇希が避けようとしてきた茉莉の消失に繋がりそうな、茉莉の「存在」の揺らぎ現象が始まり、 物語は一気に緊迫の度合いを増す事に。 そして次第にタイムリープにまつわる「真実」が明かされていくのだけど、これが非常に苦みが効いているのである。 憧れていたバレリーナの道を断たれた直後に出会った崇希との出会いから生じた想いを抱え続けてきた茉莉が 幼馴染である吉沢を利用するような形で崇希に接触していた事や、その吉沢の想いを知ってしまった上での感情の揺らぎが 恋という物が綺麗なだけではない、むしろ本質が「独占欲」であるが故に避けがたく己の醜さ、弱さと向き合わされるという 部分を真正面から描いているのである。 著名なラノベブロガーさんから聞いた話ではあるけども最近は恋愛を軸とした作品が苦手な人が増えておられるらしい。 別の軸に伴って恋愛関係が成立したりする話ならば読めても、恋愛その物が話を動かす作品が苦手という事らしいが、 個人的には上にも書いた恋愛の本質的な部分に根差す人間の醜さ・弱さを突き付ける様な話が苦すぎると感じる方が多いせいでは…と思う。 最近は売れ筋を意識して外す事が多いその部分を真正面から描こうとした瑞智士記の作家性は高く評価されるべきかと。 ただ、これだけ掘り下げてきた四人の関係を終盤の展開で活かしきれなかった点はちょっと疑問が残る。 タイムリープの秘密が明かされ、茉莉の消失の危機が迫る展開の中で何故か真嶋と吉沢がフェイドアウトしてしまうのである。 最終章ではほぼ完全に崇希と茉莉の「二人の世界」だけの話になってしまい、ここまで丁寧な描写を積み重ねて 読者の関心を引いてきた「四人の関係性の変化」という部分がどこかに行ってしまったのはちょっと理解できない。 ストラヴィンスキーの「春の祭典」に通じる自らを生贄の乙女として捉える茉莉の描き方は良いとしても 真嶋や吉沢という丁寧に描かれてきた登場人物がその存在ごと、まるごとリセットされるようなオチの付け方にした事で 「これまで丁寧に掘り下げてきた物は何だったの?」という釈然としない感情が後に残ってしまった。 高校生ならではの瑞々しさや初々しさを等身大で描いた人物描写、過剰な装飾や読者サービスを排した繊細な世界の雰囲気、 人間の独占欲にまつわる醜さや弱さに真正面から向き合った恋愛描写。こういった部分は間違いなく良い。 これこそファミ通文庫に求めてきた部分ではあるし、これだけの物が書けるのであれば何の文句も無い。 ただ、最後の最後でそれまで掘り下げ続けてきた主役四人の関係性がどこかに行ってしまったような終盤の展開が 大きく足を引っ張ってしまったように思われて仕方がない。 雰囲気や描写という点では満点をあげられる作品なのに起承転結の「結」で、体操競技で言えば最後の着地で ブレてしまい、大きく完成度を損ねてしまった実に勿体ない作品という印象が残った一冊だった。 追記 これ、舞台のモデルとなったのは滋賀県の草津だよね? | ||||
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