少女キネマ 或は暴想王と屋根裏姫の物語
- 映画 (14)
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少女キネマ 或は暴想王と屋根裏姫の物語の総合評価:
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後半の疾走感は「東京大学物語」を読んでいるような感覚。 | ||||
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一肇(にのまえはじめ)というペンネーム自体に変な方向にこだわっている特徴が現れている。「一」を「にのまえ」と読んでいるが、「一」を「はじめ」とも読む読み方もあるのである。だとすれば、この読み方で「一一」と書いても構わないわけだ。また、2014年の刊行らしいが、偶然にもイニャリトゥ監督の「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」が米国公開された年である。書名も内容も実は、既に話題となっていたその作品へのオマージュとも見れなくはないのである。要は、この新人作家の性癖は、「変な方向に拘る」というものだということがわかる。 イニャリトゥ監督は「BIUTIFUL ビューティフル」も「レヴェナント蘇えりし者」も、その年のマイベスト3に入れるほど私は大好きだった監督(私は年間100作以上は観る映画ファンである)だけど、アカデミー賞三冠に輝いた「バードマン」だけは頂けなかった。表現者の苦しみを描こうとしたこの作品、しかしその肝心の苦しみの中味は、台詞的にも映像的にも、私にはほとんど伝わらなかった。むしろ、これはあらすじが先にあって、それに合わせていろんな凝りに凝った映像と台詞を「創った」気がした。 という、全く同じ感想を、この一肇氏の作品にも与えたい。 それなのに、なぜこの本を手にとって最後まで読み通したのか?それは一つは編集者の文庫本の裏表紙にある紹介文「映画と、少女と、青春と。」という文句に惹かれたから。三つとも私の好きな言葉なのだ。それにもうひとつ、文庫の帯の「煽り」にやられた。そういう意味では、小説を創るのは作家ではあるが、本を創るのは編集者であることがわかる。実は、マアこれも 監督と制作の関係であり、映画的世界ではある。 あ、ちなみに「バードマン」のエマ・ストーンと「少女キネマ」の黒坂さちは良かった。 2017年3月14日読了 | ||||
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妄想癖の強い大学生と黒髪おかっぱの女子高生,オンボロ下宿にアクの強い友人たち. そこへ奇妙な出来事や古めかしい言い回しと,その作風は森見登美彦さんに似たものが. とはいえ,主人公がたぎらせる情熱と鬱屈は,氏のそれとはまた違う熱さを見せつけ, 親友の背中を追いかけ,沈んでは浮かびを繰り返し,それでも届かず,時に自分を責め, ついには鬼神のごとく,『向こう』に手を掛ける姿には,ただただ圧倒されるばかりです. また,少女が覗かせる小さな思い,そして大きな優しさは静かながらもじわりと響き, かと思えば,一時の戯れとなる真夏の逃避行は,何とも言えない甘酸っぱさが漂います. 何より,なぜ彼女は彼の前へ現れたのか,胸の痛む『告白』とその訪れはあまりに突然で, おおよそ予想通りではあったものの,目にした瞬間,体から力が抜けていくのを感じました. そのため,結末は出来過ぎにも映り,素直に受け容れられない部分もあったのですが, 明るい光が差し込む『最後の言葉』は,春という季節を嫌っていた彼に再び希望を与え, 居場所を見失い,朽ちかけていたこれまでから,一気に開けていくような余韻を残します. ただ,彼が探し求め,たどり着く真実の内,とある人物の背景にだけは違和感が拭えず, あふれる青春の感情と幻想の儚さの中,ここだけがどうしてもズレて見えてしまいました. | ||||
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2014年に1600円の単行本(電子書籍版)で本作を読んだ私です。ここのところで読んだ百数十冊の本の中で本作はベスト1か2だと思いますし、今もこの小説が大好きです。 ごく普通の大学生十倉君が、若者なりの衝動に動かされ、友人や不思議な乙女に支えられ、傍観者から主体へ変わっていき、映像作品を完成させることに挑む。その過程で、空想は妄想化し、暴走して暴想王になり、周りの皆とともに停滞を破って新たな世界へ歩み出す。 暴風雨の中をくぐり抜けていくようなこの小説の読後感は明るく、勇気をもらえた気がします。 最終段で十倉君も読者も落ち込みますが、そこに「エピローグ」が来る。これが優しくて良い。最後の一行には泣かされるので、絶対先に見てはいけませんよ。 | ||||
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