燦めく闇
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井上雅彦氏の自選短編集です。ほとんどの作品が異形コレクションに収録されたもので、異形コレクションを読み続けている身としては、重複していて、正直言ってちょっと損した気分もあります(^^;。ただし、今や膨大な数になった異形コレクション、読んだことがあるのを忘れていた作品も結構あり、井上氏作品の魅力をまとめて再認識できるのはいいと思います。 実はこの本はずっと以前に買ったまま積ん読状態になっていたのですが、それはなぜかと言えば、一番最初の作品「赤とグリーンの夜」を好きになれなかったからということがありました。極端に現実離れした耽美と残酷童話のようなお話で、意味もあまりわからず・・・・続く「舞踏会、西へ」もまた同様。けれど、ふとしたことからまた読み始めてみれば、普通?におもしろいホラー、怪奇、怪談も多数収録されていました。 「白い雪姫」恋人と共に向かった雪国、ロマンチックで穏やかな休暇になるはずだった。雪に降りこめられた別荘地で迷うまでは・・・。おびえる村人に追われ、たどりついた坂の上の館で見たものは・・・? 「海の蝙蝠」ホラー映画の撮影で海を見下ろす城館にやってきた一行。ヒロインを演じる女優は、精神バランスを崩してカウンセリングを受けていたがやっと回復してきたばかり。吸血鬼テーマの映画撮影の過程で、だんだんと見えてきたものは・・・。 「ボンボン」幼馴染の女の子にもらったリキュール入りボンボンの味は、まだ子供だった主人公に強烈な印象を残した。引越しで離れ離れになってしまった憧れの幼馴染。そして高校生になって偶然再会できた彼女はさらに美しくなっていて・・・。 「沈鐘」ダイビング教室。謎めいた講師がいざなったのはあまりにも深いクレバスが開いた深淵。どうしてこんな危険なところへ?といぶかる生徒たちが見たのは、海の底に沈む校舎だった・・・。 「クリープ・ショウ」先に准教授に出世した友人に、愛する女性を奪われてしまった主人公。未開の民族とその信仰を研究するため、共に向かったアマゾン流域で事故にまぎれて友人を殺してしまう。夫を亡くしたショックで精神的におかしくなってしまった女性の家から現れたものは・・・?それはアマゾンからついて来たのだろうか・・? 「化身遊戯」華族の末裔である主人公。父親の代で家は没落してしまい、今はつらい工場勤務でどうにか生計をたてている。彼のひそやかな楽しみは、かつて一族が持っていた屋敷やカテドラル、オペラハウスを模したドールハウスで遊ぶことだけ。夜毎、そこには奇怪な客たちが訪れる。 「火蜥蜴」実の父親に虐待されて育った少女は、夜の博物館に閉じ込められてしまい、蝋人形の展示に幻影を見る。 「北へ、深夜特急」仕事に疲れて雪国の故郷へ帰省するために乗った寝台列車。列車の中では「首都が大変なことになっている」「私たちは逃げ切れるかも」「まだ運がよかった」という囁きが飛び交っている。首都で何か起きたのか?といぶかしむ主人公のコンパートメントに美しい女性が飛び込んでくる。「乗客たちがみんな奇妙なんです。普通じゃないんです。」「なぜ僕に相談を?」「あなたと私だけなんです。部屋の中で手袋をしていないのは」そして、とうとう犠牲者が発生し・・・。 テーマは吸血鬼、夢魔、人魚姫、異境の怪異、異常心理、闇など。仮装舞踏会、万聖節、奥津城、経帷子(きょうかたびら)、木乃伊(ミイラ)、燐寸(マッチ)など、きらめくような耽美の言葉をちりばめて、奇怪なお話が語られます。井上氏が造詣が深い怪奇小説の古典、なつかしい昔のホラー映画の面影があちこちから顔を出し、同じ趣向のファンの方にはたまらないと思います。初期のブラッドベリ作品のような、そしてそれをさらに先鋭化したような小説群、必ずしも一般受けする作品とは言えませんが、このような雰囲気のものがお好きな方にはぜひおすすめです。 | ||||
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「たとえば、音楽のように愉しんで貰えれば、と思った次第なのだ」という、作中人物の語りがソノママ紹介になりそうな感じ ストーリーにがっつき、謎解き、じゃあなくて…距離をもってBGMのように読める怪奇幻想短編集古城、人形、深夜特急、博物館、聖夜、ゴシック趣味人のツボを抑えたモチーフを 癖のある独特の語り口で描き出す全13編収録 文体は装飾多いけども、内容はおもいっきし耽美ってわけでもないので 表紙にビビらずいってみて大丈夫どこかで必ず「え?」と、予想を裏切るストーリーは、 井上作品を読みなれている人には「愛すべきマンネリ」 初めて読むひとには「小洒落たトリックを読むよろこび」というあたり音楽というようりは、レトロなホラー映画を見終わったような読後感 著者がホラー映画マニアなので、 キャラクターの台詞に作品名の引用も盛りだくさん 作品自体が恐怖映画のオマージュなんじゃないかと勘ぐりたくなるものも有り ホラーパロディとしても読めます ホラー好きな人は、作品から辿って映画なんかもチェックしてみるとどっぷり浸れる類の本惜しむらくは、井上作品を読み倒していると再録が多く感じること でも、装丁も凝ってるんで、 ファンならば一冊くらい本棚に置いておいても、なかなか良さそうです | ||||
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