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ショボタン さんのレビュー一覧

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書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

レビュー数6

全6件 1~6 1/1ページ

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No.6:
(8pt)

もはやビジネス書

元・警視庁エリートキャリアで一警察署長となった竜崎を取り巻く人々を描いたスピンオフ第二段。
単なる警察小説としてだけでなく、部下を持つ管理職、あるいはなにかのセクションのリーダーとしての心得を説いたビジネス書としても読める。
「できないことをやろうとするからうろたえるのであり、できることをちゃんとやればうろたえることはない」「人と人の間に立って何かをまとめようとする時、自分なりのアイディアを持っていないと失敗する」「理想を追求するのに、何をためらうことがあろうか」ってもはやビジネス書である。
何よりも、まじめ人間竜崎の仕事に向き合う姿勢がとにかく基本に忠実であり、一般的常識のフィルタを通して客観的に自己を見る、市民(顧客)に説明できないことはしない、私情は一切挟まないなど管理職のあるべき姿として描かれている。
もちろん警察小説としても面白いけど、随所にひょっこり現れる戸高巡査部長のスピンオフがないのが物足りないので減点。
自覚: 隠蔽捜査5.5 (新潮文庫)
今野敏自覚 隠蔽捜査5.5 についてのレビュー
No.5: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

理想の上司!

前作で警察庁総務課長から大森署に左遷された東大卒の元スーパーエリート・竜崎が、海千山千の部下を率いて人質立てこもり事件に挑む。
警察内部のドロドロした腐敗を描いた前作に比べ、本作のほうがスピード感、ミステリとしてのロジックにも優れている。前半のサスペンスフルな展開に圧倒されてつい見逃してしまうが、犯人の不可解な行動については思わずあっと言わされてしまう。そして真犯人を追いつめていくクライマックスの臨場感。一流の警察小説でもあるが、ミステリとしても一級品。
また、個性的な部下たちやおっかない上役など、個々のキャラクターも魅力的に描かれている。特に竜崎の奥様と息子の意外な一面はちょっと笑える。奥様に頭を下げたり、息子とアニメの話をしたり、本作では竜崎と家族との絆が随所に描かれており、家庭人としての竜崎に親近感を覚える。1作目の冒頭で感じた鼻持ちならないエリート感はここへきてほぼ皆無となり、有能で冷静でありながら、どこか熱いものを秘めた「現場の警察官」としての竜崎に、理想の上司像を見たりするのである。

▼以下、ネタバレ感想
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果断―隠蔽捜査〈2〉 (新潮文庫)
今野敏果断: 隠蔽捜査2 についてのレビュー
No.4: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

キャリアは悪ではない

東大卒で国家公務員試験甲種に合格、警察庁総務課長という絵にかいたようなエリート、しかも「東大以外は大学じゃない」と私立一流大学を合格した息子に浪人させているうえに、「女は家庭で夫を支えるのが普通」と娘の就職には無関心。家の事は妻にまかせっきりで趣味もなし、深夜でも呼び出されれば背広にネクタイで赴く。それが主人公・竜崎。もうほんとうに嫌な人間のステロタイプのような主人公が、ある事件を通じて少しずつ変貌していく。といっても堅物であることには変わりないのだけど、この人の場合自分にまず厳しく、周りにも同じに厳しいところがよくいるクソ上司と違う。そして、清廉であれという信念がまったくぶれることがない。突き抜けちゃっているのだ。そのぶれない信念が、淀んで濁りまくった警察幹部の汚泥を文字通りひっかきまわし突き抜けていくさまは爽快。ただ、結末になんのほろ苦さも皮肉もない大団円なのがマイナスポイントか?
隠蔽捜査 (新潮文庫)
今野敏隠蔽捜査 についてのレビュー
No.3:
(9pt)

「オレのとぁ、違うなぁ」

TVが面白かったので読んでみたら、思った以上に面白かった。
どうしても内野聖陽演じる倉石のあの強烈なキャラが頭に浮かんでくるが、倉石の弟子たち(小坂、永嶋、イッチー)や小松崎など脇キャラも実に生き生きと描かれている。ストーリーはTVとほぼ同じなんだけど、制作側が原作をとても大事に読んだことが伺われ好感が持てた。
願わくば今度は長編で読んでみたい。横山先生なんとかなりませんか(笑)?
臨場 (光文社文庫)
横山秀夫臨場 についてのレビュー
No.2:
(7pt)

顔がかわいいのがお姫様、そうでないのが魔女??


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白ゆき姫殺人事件
湊かなえ白ゆき姫殺人事件 についてのレビュー
No.1: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

無邪気な悪意の連鎖

 作中、「因果応報」という言葉が数回出てくるが、これに尽きる。悪意を持って他人を傷つける者は、自分も傷を負う。そして人は傷つけられたことは忘れないのに、いとも簡単に傷つけたことは忘れてしまう。この作品に登場する少女たちは皆、可憐な見た目を装いながら、残酷さに満ちており、しかも無知ゆえか傷つけた自覚さえない。無邪気に人を傷つけ、そして自らが傷を負うと世の中を呪い、他人のせいにし、自分だけが被害者となる。こんな厄介な人種が現実に世の中にあふれかえっていると思うと、とにかくこの作品のような事件が起きないことを祈るばかりです。
少女 (双葉文庫)
湊かなえ少女 についてのレビュー