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非澄 さんのレビュー一覧
非澄さんのページへレビュー数4件
全4件 1~4 1/1ページ
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80年代アメリカ(U国)を舞台にしたシリーズ第2弾。ジェリーフィッシュ事件(前作『ジェリーフィッシュは凍らない』参照)以来閑職に回されていた漣&マリア。ある日、ふたりは共通の知人からブルーローズの調査を依頼される。当時開発することは不可能とされていた幻の青い薔薇。同時期に開発を発表した博士と牧師のふたりの面談を終え、マリアたちは帰路に着いた。
しかしすぐさま面談者のひとりが遺体で発見され、マリアたちは再び事件の調査へ向かうことに。 博士らの開発した青い薔薇は本物なのか? 挿話される「虐待に耐えかねた少年」の見たものとは? そして密室状態の温室で発見された遺体とメッセージの意味するものとは? 数々の謎が一気に解決に結びつくシリーズ第2弾。 科学的な解説がふんだんに盛り込まれており、相変わらずの重厚感である。それでも解決編を見ればなるほどと納得のいくレベルで、理系ミステリとまではいかない絶妙な匙加減である。事件もそうだが、存在し得ないはずの青い薔薇の秘密や、物語の節々で見え隠れする実験体の影、読者の頭をパンクさせるほどの謎のてんこ盛りが、最後まで読まずにいられなくなる魅力と言えるだろう。トリックもあるあるネタとオリジナルのネタの混ぜ方が見事である。 一方、前回は途中から登場した主役コンビだが、今作は冒頭から軽快な漫才を連発しており、海外舞台の作品を敬遠する人にも親しみやすい(漣のマリアに対する嫌味は完全に日本(J国)のノリである 笑)。 優秀で頭脳明晰な漣と、ズボラだが気概があり、ここぞというときの突破力のあるマリアはいいコンビである。 ただ難点としては、今回の犯人の犯行がここまで複雑である必然性はないように思われること。おかげで不可解さが増しておもしろくなっているのは事実なのだが。 前作と比べると結末のインパクトには欠けるが、それでも次回作を期待したくなる完成度である。このシリーズは今後も注目したい。 |
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直近のこのミスで1位を取ってそこらじゅうの書店で平積みになっていたので、見たことある人も多いかもしれない。
牧場智久という天才囲碁少年が探偵役を務めるシリーズの一作。今作は冒頭に殺人事件が発生するが、それをそっちのけで黒岩涙香という実在のジャーナリストが残した暗号に取り組む話となっている(一応事件は解決する)。「日本語の奇跡」と賞する人が多いのも頷ける話で、とにかくこの暗号群は「すごい」の一言。私のように国語が苦手な人間には絶対解けそうにない暗号だらけだが、殺人の謎なんてほっぽり出してさんざん驚かされる。これ書くのに何年かけたの? っていうくらいの力作である。 ただやはり良くも悪くもこのミス受賞作である。賛否の分かれるところもいくつか存在している。まず、設定が古い。今時こんな絵に描いたような少年名探偵が出てくる作品はないし、ワトソン役の女の子も然り。あってもいいと思うし、二十年以上続くシリーズとなるとある意味仕方ないのかもしれないが、やはり違和感がある(ここは人によるか)。 そして事件の扱いがひど過ぎる。暗号の他に黒岩涙香に関する豆知識、各種クイズ・パズルゲームが乱発され、もう事件がどうでもよくなるレベルである。挙句未解決に終わるクイズのせいで余韻もそちらに残されたまま。 個人的には日本語の奇跡を体感して欲しいし、クイズ・パズル好きにはぜひ読んでみてもらいたいと思う作品である。ただ、表紙とタイトルの取っつきにくさ、ミステリ好きには賛否の激しい事件の扱いも考えると、まあ、お好みで、というところかもしれない。 |
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原題は“The Deadly Truth”。
近年立て続けに翻訳され注目を集めているアメリカの推理作家・ヘレン・マクロイの一作。精神科医であるベイジル・ウィリングを探偵役としたシリーズのひとつで、度の過ぎた悪戯で毎回騒ぎを起こしている悪趣味な美女クローディアが何者かに殺害される事件が描かれている。昨年発売の翻訳であるし、作中の時代はすでに近代的な文明を充分に作り上げているため、この作品を読むことはそこまでハードルが高いとは思われない。だから八十年近く前の作品というのはびっくりである。 さて「なぜこれほどまでの名手の作品が今の今までほとんど翻訳されずにきたか、不思議でならない」と日本の本格ファンを唸らせるマクロイだが、この作品は終盤ギリギリで一気に謎が明かされる構成となっている。 「あー、この作品そんなにおもしろくな・・・・・・ごめんやっぱ好きだわコレ」 が、素直な感想だった。最後の最後まで容疑者を搾らせず、終わりがけにいきなり「驚くべき証拠」で犯人を特定。その「驚くべき証拠」はきれいに伏線が張り巡らされているので確かにすごいのだが、それより他の小さな記述をかき集めて犯人を追い詰める流れの方が個人的には好みである。 |
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名作、名作と高評価される作品はたいがい期待し過ぎてがっかりすることの多い私ですが、これはおもしろかったです。
あり得ないだろ~! と建物の設定にツッコむことは可能ですが、おかげで雰囲気が出ているのも事実。 大胆かつユニークなトリックで、『名探偵コナン』が好きな人は特に気に入りそうな気がします。 |
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