なぜ、吉原一の花魁葛城は、忽然と姿を消したのか？　遣手、幇間、女衒ーー人々の口から語られる廓の表と裏。

江戸の町を見下ろす三枚の大凧には、なぜか小判が結びつけられていた…。

大籬・舞鶴屋に売られてきた、容貌も気性もまったく違う、ふたりの少女。

吉原会所の頭取四郎兵衛の傷がようやく癒えた折り、またも吉原が脅威にさらされた。

育ての親、宮本武蔵の遺言に従い吉原を訪れた青年剣士・松永誠一郎。しかし、そこはただの色里ではなかった。

天明六年、将軍家治の逝去により、老中・田沼意次が失脚、吉原遊廓は閉門停止となった。

吉原の用心棒神守幹次郎を、豊後岡藩から二人の侍が訪ねてきた。かつて出奔した旧藩に復帰せよとの話に、幹次郎は戸惑う。

「その願い、全て俺が叶える」 業火の中で花魁と交わした約束――。

寛政五年十月、江戸を見舞った大火事のあと、吉原に大勢の客が押し寄せる。

吉原会所を嶋村澄乃と名乗る武家の娘が訪れた。裏同心として働きたいと言う澄乃に、一同は驚く。

鎌倉河岸の八重桜が花を咲かせた二月、金座裏の親分・宗五郎と番頭格の八百亀、酒問屋豊島屋の隠居・清蔵、 呉服屋松坂屋の隠居・松六の四人が、吉原の三浦屋へ登楼した。

天明八年正月、京で大火が発生、吉原を狙った島原の勢力は力を殺がれたかに思われた。

正月を迎えた江戸。

吉原が遊女らの白無垢の衣装で彩られる八朔の日、当代きっての人気太夫・香瀬川が忽然と姿を消した。

端午の節句のその日、大門前に立った男女。一年余の京での修業を終え、吉原に戻った神守幹次郎と加門麻であった。

吉原を過去最大の危機が襲う。会所頭取、四郎兵衛の無残な姿。

高齢の四郎兵衛に代わり、廓を御する吉原会所の八代目頭取を誰が継ぐのか。

長く廓の用心棒であった神守幹次郎が吉原を率いる八代目頭取四郎兵衛に就任、御免色里の大改革が始まった。

吉原で新たな太夫を客が選ぶ催しが行われることに。

廓に上がらず、吉原で金を使わない地廻りと呼ばれる男の骸が切見世で見つかった。

吉原にいる奈緒が山形の紅花商人に身請けされることになった。

吉原会所の裏同心神守幹次郎にして八代目頭取四郎兵衛は、九代目長吏頭に就任した十五歳の浅草弾左衛門に面会した。

南町奉行所の定町廻り同心・玉島千蔭は、猿若町の中村座から三階役者が首を吊ったと知らせを受ける。

江戸の天保年間、闇に生き、悪に駆ける者たちがいた。

女で稼ぐ商売ゆえ、体を張って女を守る――その矜持を胸に秘めて妾屋を営む山城屋昼兵衛。

妾屋稼業に安息なし。山城屋昼兵衛と大月新左衛門は、八重を妾にせんとした老舗呉服屋の主をやり込めたことで恨みを買った。

江戸の吉原で黒い狐面の集団による花魁殺しが頻発。

富岡八幡の相撲見物で浮き立つ十一月。吉原で最近人気の半籬に脅し文が投げ込まれた。

吉原裏同心・幹次郎の前に、人喰い猿を連れた三人の武芸者が現れる。男たちは廓に乗り込み、遊女を殺し金銭を奪う悪行に及ぶ。

花魁・薄墨太夫に驚きの運命が訪れた。 幹次郎と汀女、薄墨改め加門麻は、思いがけぬ新しい生活を始めたのだった。

かつて花魁を務め、今は切見世に落ちた女郎の白川が斬殺された。

虚栄と粋と張りを競い合う吉原が炎上、仮宅商いを余儀なくされた師走。遊女・花蕾が行方を断った。

七月、足田甚吉の祝言話が持ち上がり、玉菊灯籠で吉原が華やぐ季節、からくり提灯の職人が殺された。

頭脳明晰、剣も達者な美男与力、花房英之介には命懸けの秘密がある。

女髪結おりゅうの妹で髪結見習いのおきちが不審な客に狙われているという。

妾屋を支配下に入れて復権を狙う吉原惣名主。欲に駆られたその姿は、まさに悪鬼。

仲秋八月一日は、吉原でも「八朔」と称して大紋日であった。またその日は、白無垢を着た花魁道中が行われるのが仕来りだ。

さまざまな人生の交差する吉原で二十年余、按摩稼業で身を立てていた孫市が殺害された。

地獄から生き延びよ!　 脱出不可能な孤島　 足抜け厳禁の遊廓　 追手だらけの深山　 絶体絶命の窮地を 罪人は逃げきることができるのか!　 歴史小説の第一人者が描く江戸の闇　 唯一無二の逃亡短編集　 勘定奉行の不正の証である帳簿と書付を時機が来るまで

天明八年の正月、吉原にある引手茶屋の沽券が次々売り渡される事態が発生。

汀女の手習い塾に通う遊女に、偽の文を使って客から金子を詐取した疑いがかかる。

禁裏の刺客・不善院三十三坊を斬った幹次郎。その直後から、禁裏と、ある西国の雄藩の影が祇園の町にちらつきはじめる。

京での修業先が決まった幹次郎と麻。その新生活は不穏な空気に包まれていた。

吉原遊廓の陰の用心棒・神守幹次郎は、姉妹の売れっ子見番芸者が、禁忌を犯して客と床入りをしているとの噂を聞く。

久しぶりに幹次郎を訪ねてきた左吉。身代わりで入牢した間に財産を盗まれたという。

鎌倉の旅から帰った裏同心の幹次郎らは、玉藻と正三郎の祝言を控え、忙しい日常に戻る。

再建前夜の吉原。幼い孫娘のおみよを連れ、地蔵を背負った遍路が現れた。

安政地震の報に、旗本座光寺家(ざこうじけ)の江戸屋敷へ信州伊那から駆けつけた若者本宮藤之助(ほんぐうとうのすけ)。

直木賞作家の珠玉にして衝撃のデビュー作! 旗本の息子だが、ゆえあって家を出て町に暮らし、歌舞伎・森田座の笛方見習いをしている遠山金四郎は、朝帰りの日本堤田んぼで、女の骸を見つけた。

弘福寺に赤い寒椿が咲く頃、蔵前の板倉屋の離れで、旗本・本庄新兵衛が殺された。左胸には出刃庖丁が突き立てられていたという。

大籬の遣手のおしまが首吊りに見せかけて殺された。襟元に菖蒲の花が差し込まれた意味と悲しい顛末とは。

江戸・吉原で、評判の遣手らが不可解な辞職をし、相次いで姿を消した。

吉原遊廓の裏同心・神守幹次郎は、表向きは謹慎を装い、元花魁の加門麻を伴う修業の旅に出た。

日本橋に現れた、誰より走るのが速い若侍。

神守幹次郎と汀女が吉原会所に雇われ、一年余が過ぎた。弥生三月、吉原に桜が舞う季節、女たちの想いと生き様が廓を揺るがす。

年が明けた吉原で、客の懐中物や花魁の櫛笄が次々に盗まれる騒ぎが続いた。

平成51年の東京IC(インテリジェント・シティ)に一大事件が勃発した。

神守幹次郎・汀女夫婦は、札差の伊勢亀半右衛門から薄墨太夫との川遊びに誘われるが、それを機に新興札差・香取屋武七の魔手が忍び寄る。

安永五年、豊後岡藩の馬廻り役・神守幹次郎は、意に沿わぬ婚姻に苦しむ納戸頭の妻・汀女と出奔した。