犬はどこだ

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犬はどこだの評価:

3.78/5点 レビュー 41件。 B ランク

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平均点3.78pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全45件 41〜45 3/3ページ
No.5
(4pt)

ラストの展開に言いようのない恐怖が・・。

犬探し専門ではじめた探偵のもとに「失踪人の捜索」と「古文書の解読」の依頼が。最初はあまりやる気ではなかったが、弟子入り(?)してきたハンペーとともに分担して仕事をするうち、二つの事件は奇妙にリンクし始めて・・・。
だがこの二人、お互いにお互いの事件をほとんど報告しないため、リンクしている事に気づいていないところが面白い。軽快なタッチで書かれているためスラスラ読めるが、後半は前半の陽気さというか脱力感が一変する。ネタバレになるので書けないが、前半のなんでもないように書かれている些細なことが、後半で一気に繋がっていく。全く無駄のない前半の伏線の張り方に脱帽です。
ラストは下手なホラーよりもかなり怖い。どういう風に怖いかはぜひ読んで確かめてほしいですね。
犬はどこだ (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 犬はどこだ (創元推理文庫)より
4488451047
No.4
(3pt)

ご都合主義が引っかかる

05年07月刊行の単行本を文庫化した作品です.
青春ミステリなど,学生をメインにした作品の目立つ著者ですが,
本作の主人公は25歳.ややハードボイルド調なのが印象に残ります.
物語は,ふたつの事件をこの青年と助手の若者が調べるのですが,
それぞれ別々に進み,こまめな視点や場面の切り替えが特徴的です.
ただ,いつもは若者っぽい(?)軽い感じのやり取りの目立つ助手が,
彼のパートに移った途端,急に大人びてしまうのに違和感を感じますし,
ほかにも,必要とは思えない冗長な表現や説明が多いのも引っかかります.
また,チャットを使って見えない相手と事件の推理などを交わすのは,
著者のほかの作品でも見られるのですが,少しずるいかなという印象で,
ピースが続々とはまっていく終盤ともあわせ,ご都合主義に感じられます.
そのため,いわゆる『どんでん返し』とも言える事件の真相についても,
どこか傍観者のような,外から読まされている感が抜けないのが残念です.
犬はどこだ (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 犬はどこだ (創元推理文庫)より
4488451047
No.3
(4pt)

米澤作品初の大人主人公!!

 最近自分の中で人気急上昇中の米澤穂信の文庫最新作です。
 今までの米澤作品は主人公が中学生・高校生・大学生くらいの割合と若い層で、内容的にも青春小説といっていいほどの瑞々しさが全編に漂っていました。それが、本作はソフトとはいえ「探偵」が主人公のハードボイルドですからがらりと路線が違います。まぁ、「犬探し」を主体にした探偵事務所をひらこうとしているあたり、普通のハードボイルドではないですが、それでも、ある意味、米澤んさの本では主人公が学生でないというだけでも大きな路線変更です。
 また内容の方も、二つの関係なさそうな事件(まぁ、これは探偵助手がしっかりしていれば最初から一つの事件として認識されるわけですが)が一つに重なっていく展開であるとか、一冊で一冊の長編であるとか、彼にしてはいろいろと新機軸を試しておられます。
 結果としては、それが成功しており、個人的にはこの路線でも(青春小説はそれはそれでまた書き続けて欲しい)たくさんの小説を書いて欲しいなと思いました。
 ストーリーは、主人公の紺屋一郎が探偵事務所を開設するところから始まります。彼は、犬探し専門の探偵事務所を開いたつもりだったのですが、広告をうったりする前に、知り合いからの紹介の依頼が「失踪した女性の捜索」「村に伝わる古文書の由来調査」という全く別のものになってしまいつつも成り行きでそれを受け入れます。主人公の紺屋は、社会生活からドロップアウトしてしまった自分の社会復帰のために始めた探偵稼業なので、それほどこだわりがないのです。しかし、この二つの事件が思いの他シリアスな展開となっていき、最期の最期には米澤さん得意の大推理が始まり、予想外のどんでん返しのある本格ミステリとなっています。
 感触は丁寧に作り込まれたお菓子のようですが、中身はけっこう本格。ちょっと違いますが、方向的には、北村薫とか加納朋子とかああいう感じの丁寧なミステリ作品です。
犬はどこだ (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 犬はどこだ (創元推理文庫)より
4488451047
No.2
(3pt)

鮮やかにして論理的な逆転劇

本書は「このミステリーがすごい!」で’05年国内編・同点第8位にランクインした作品である。
都会生活での思わぬつまずきから故郷へ帰った紺屋(こうや)長一郎25才は、犬探し専門の調査会社を開くが、開業早々舞い込んできた依頼は、想定外の、失踪人の捜索と古文書の解読だった。
紺屋は押しかけ助手のハンペーこと半田平吉と分担して初仕事に乗り出す。
失踪人の捜索を担当する‘私’こと紺屋と、古文書解読の調査を担当する‘俺’ことハンペーの視点が章ごとに交互に交錯して、一人称で語られ続いてゆく。
いかにもテキトーそうなハンペーが、意外にマジメに仕事をこなす姿はユニークだし、紺屋がはじめは病み上がりで意気が上がらないが、失踪人に対して自分の姿を投影しながら、次第に真剣に捜索にのめりこんでゆく様子はなかなか読ませる。
著者はライトノベル系出身とのことだが、文章にもスピード感があり、登場人物たちのキャラクター造形も若々しくて好感が持て、テンポ良く読み進むことができる。
そして二人の調査はいつしか微妙にリンクしてくるのだが、本書の一番の見どころは、“追う者”と“追われる者”が一瞬にして反転する、鮮やかにして実に論理的な逆転劇であろう。
このプロセスをして本書は「このミス」第8位という評価を得たのだろうと思う。
それにしても彼らは、こんな調子でいつ、本来希望する「犬探し」ができるのだろう。ぜひ続編を読んでみたい。
犬はどこだ (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 犬はどこだ (創元推理文庫)より
4488451047
No.1
(5pt)

THE CITADEL OF THE WEAK

▼STORY
 銀行員の職を辞し、東京から故郷の八保市に戻った二十五歳の青年、
 紺屋長一郎は、犬探し専門の調査事務所〈紺屋S&R〉を開設する。
 しかし、そんな彼のところに舞い込んできた
 依頼は、失踪人捜しと古文書の解読だった。
 それでも、高校の後輩で押しかけ助手になった半田平吉とともに、
 調査を開始した紺屋だったが、次第に二つの依頼に奇妙な接点が現れて……。
▼EXPLANATION
 私立探偵小説において〈失踪〉はメインモチーフです。
 本作に限らず、多くの作品が失踪人調査の依頼を受ける
 場面から始まっています。
 そして、探偵が失踪人の行方を追うなかで、
 彼らが失踪せざるを得なかった状況が浮き彫りになり、
 そこに現代社会の歪みや不条理が映し出されていくのです。
 紺屋も、自分と同じく、傷ついて東京から出戻った失踪人、
 佐久良桐子に対し、シンパシーを抱くようになるのですが……。
 終盤、巧妙に張り巡らされていた伏線が回収されることで、
 物語が鮮やかなツイストを見せ、事件の構図が反転する
 展開は、圧巻です。
 そして、現代において、ただ「普通」であることが、
 いかに困難であるかを改めて痛感させられます。
 それでも、今回の仕事によって「再起」は果たした紺屋。
 戦慄すべき結末ではあるものの、彼が最後にもらす、
 落語の下げのような述懐には、意外なしたたかさも
 含まれているように感じるのです。
犬はどこだ (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 犬はどこだ (創元推理文庫)より
4488451047