よだかの片想い

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よだかの片想いの評価:

3.92/5点 レビュー 13件。 C ランク

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平均点3.92pt

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全26件 21〜26 2/2ページ
No.6
(3pt)

テーマは重いのに恋愛小説チック

「顔のあざ」というとても重たいテーマを取り扱っている。

「顔のあざ」は当然にその人の人格形成にも大きく影響する。思春期ならなおさらだ。恋愛については慎重にもなるだろう。この本は顔にあざのある人の機微を丁寧に描写している。

が、しかし、実際の恋愛は、その始まりはここに描かれているよりも難しく、一方で始まってしまえば(相手に受け容れられれば)意外と普通の話じゃないのかしらん?

初恋の相手が、ひと回りも離れた映画監督だったり、去っていく恋人に「あなたを好きでよかった」なんてのは恋愛小説の色が濃すぎてテーマを暈している気がします。

そもそも恋愛を美化しすぎ。無邪気に「僕は一途でない」と告白する男は、確信的に浮気性の男よりたちが悪い。映画監督ではなく大学院の後輩を選択するのは現実味があるが、それでも、映画監督といる方が文化的な生活を送れそうとか、収入が多そうといった下世話なことに葛藤してしまうのが人間。

顔にあざのある人はそこに葛藤するのかしないのか(多分しないと思うけど)?そこまで踏み込めば、顔にあざのある人の恋愛感がよく伝わると思います。
よだかの片想い Amazon書評・レビュー: よだかの片想いより
4087715078
No.5
(3pt)

テーマは重いのに恋愛小説チック

「顔のあざ」というとても重たいテーマを取り扱っている。

「顔のあざ」は当然にその人の人格形成にも大きく影響する。思春期ならなおさらだ。恋愛については慎重にもなるだろう。この本は顔にあざのある人の機微を丁寧に描写している。

が、しかし、実際の恋愛は、その始まりはここに描かれているよりも難しく、一方で始まってしまえば(相手に受け容れられれば)意外と普通の話じゃないのかしらん?

初恋の相手が、ひと回りも離れた映画監督だったり、去っていく恋人に「あなたを好きでよかった」なんてのは恋愛小説の色が濃すぎてテーマを暈している気がします。

そもそも恋愛を美化しすぎ。無邪気に「僕は一途でない」と告白する男は、確信的に浮気性の男よりたちが悪い。映画監督ではなく大学院の後輩を選択するのは現実味があるが、それでも、映画監督といる方が文化的な生活を送れそうとか、収入が多そうといった下世話なことに葛藤してしまうのが人間。

顔にあざのある人はそこに葛藤するのかしないのか(多分しないと思うけど)?そこまで踏み込めば、顔にあざのある人の恋愛感がよく伝わると思います。
よだかの片想い (集英社文庫) Amazon書評・レビュー: よだかの片想い (集英社文庫)より
4087453618
No.4
(5pt)

あざを経由して

蒼い太田母斑が顔面の片側を覆う24歳の理系大学院生の恋愛物語です。
「よだか」という単語だけで思わず本屋の棚から手にとりました。
勿論宮沢賢治の「よだかの星」を連想してです。

読み始めて美麗な文章が少し鼻につきましたが、読み易いです。
本の帯には 本当は全ての人間がアザを背負った当事者、すなわち「よだかの星」の「よだか」である
と標榜していますが、顔の傷や痣、瘤、変形はそんな生易しいものではないと思います。

作者はどこまで取材をして本作を書きあげたのか気になります。
作中の心理描写は実際の当事者と乖離はないのか。
ひょっとしたら痣をネタに変わった恋愛小説を書きたかっただけなのではないか。
と勘繰りました。

とはいうものの痣を経由して私は見られているという表現にはハッとします。
痣を経由してしか、市中のユニークフェースの人たちを見れない私には、非常に多くのことを考えされました。

作りものと言ってしまえばそれまでですが、中断できずに一日で読み切らせる小説です。
ただ、結末はあざとは関係なく、恋愛が最大の関心事か否かで終わります。

「よだかの星」は絶望のうちに天上へ消えますが、「よだかの片思い」は希望を持って飛び立ちます。
よだかの片想い Amazon書評・レビュー: よだかの片想いより
4087715078
No.3
(5pt)

あざを経由して

蒼い太田母斑が顔面の片側を覆う24歳の理系大学院生の恋愛物語です。
「よだか」という単語だけで思わず本屋の棚から手にとりました。
勿論宮沢賢治の「よだかの星」を連想してです。

読み始めて美麗な文章が少し鼻につきましたが、読み易いです。
本の帯には 本当は全ての人間がアザを背負った当事者、すなわち「よだかの星」の「よだか」である
と標榜していますが、顔の傷や痣、瘤、変形はそんな生易しいものではないと思います。

作者はどこまで取材をして本作を書きあげたのか気になります。
作中の心理描写は実際の当事者と乖離はないのか。
ひょっとしたら痣をネタに変わった恋愛小説を書きたかっただけなのではないか。
と勘繰りました。

とはいうものの痣を経由して私は見られているという表現にはハッとします。
痣を経由してしか、市中のユニークフェースの人たちを見れない私には、非常に多くのことを考えされました。

作りものと言ってしまえばそれまでですが、中断できずに一日で読み切らせる小説です。
ただ、結末はあざとは関係なく、恋愛が最大の関心事か否かで終わります。

「よだかの星」は絶望のうちに天上へ消えますが、「よだかの片思い」は希望を持って飛び立ちます。
よだかの片想い (集英社文庫) Amazon書評・レビュー: よだかの片想い (集英社文庫)より
4087453618
No.2
(5pt)

★透明で一途な美しき成長物語

■この作品では人間の成長が描かれている。主人公アイコの心の強さと美しさが浮かび上がる。心なき中傷の数々にさらされながらも、あたたかい親族友人たちに支えられて新たに生き始める人間の希望に満ちた歩みが、丁寧な筆致でつづられる。主人公の素朴で一途な純粋さが読者の心をふるわせる。島本理生さんの諸作品は常に「恋愛小説」というレッテルを貼られてきたが、むしろ「変容物語」なのだと言える。

 一人の女性が成長してゆく日々の心の変化。一人称の語りで、淡々と物語は進む。しかし、主人公は決して孤独ではない。家族・友人・指導教員、そして映画監督の織り成す関わりの輪の幾重にもわたる相互共振。まるで、水面(みなも)の同心円状の模様の重なり合いのような。
 しかし、だいたいの読者は共振の全体像を見ていない。恋愛の部分にしか目が向かないからだろう。むしろ、今回の作品の主題は「人の変容のダイナミズムそのもの」なのだから。作者は、決して個別的な恋愛物語を書こうとしているわけではない。あらゆる人間関係の根底に潜む普遍的な真実を探ろうとする哲学的な意図が感じられるから。そして、作家自身の執筆生活における格闘の日々もまた一人の人間のかけがえのない変容譚となっている。

 顔のあざを幼いころにクラスメイトから「琵琶湖」と嘲笑された主人公は、最愛の人からは「夏の夜空」として大切に理解された。相手を曇りのないまなざしで大切に眺めることの意味を問う作者の試みは「よだか」が夜空に飛翔し輝くまでの軌跡という変容の奇跡として、いつまでも私たちの心に残ってほのかなよろこびの源となる。

 『よだかの片想い』を読み終えてから、デヴュー作の『シルエット』(講談社、2001年)を読み直してみて驚かされた。最初の作品である『シルエット』と最新作の『よだかの片想い』とがループしているのだから。対応して響き合う二つの作品。そして、その間に挟み込まれた数々の小説群もまた呼応する一貫性を備えている。透徹した夜空のすがすがしさ。星々のきらめき。愛おしきいのちの輝き。
よだかの片想い Amazon書評・レビュー: よだかの片想いより
4087715078
No.1
(5pt)

★透明で一途な美しき成長物語

■この作品では人間の成長が描かれている。主人公アイコの心の強さと美しさが浮かび上がる。心なき中傷の数々にさらされながらも、あたたかい親族友人たちに支えられて新たに生き始める人間の希望に満ちた歩みが、丁寧な筆致でつづられる。主人公の素朴で一途な純粋さが読者の心をふるわせる。島本理生さんの諸作品は常に「恋愛小説」というレッテルを貼られてきたが、むしろ「変容物語」なのだと言える。

 一人の女性が成長してゆく日々の心の変化。一人称の語りで、淡々と物語は進む。しかし、主人公は決して孤独ではない。家族・友人・指導教員、そして映画監督の織り成す関わりの輪の幾重にもわたる相互共振。まるで、水面(みなも)の同心円状の模様の重なり合いのような。
 しかし、だいたいの読者は共振の全体像を見ていない。恋愛の部分にしか目が向かないからだろう。むしろ、今回の作品の主題は「人の変容のダイナミズムそのもの」なのだから。作者は、決して個別的な恋愛物語を書こうとしているわけではない。あらゆる人間関係の根底に潜む普遍的な真実を探ろうとする哲学的な意図が感じられるから。そして、作家自身の執筆生活における格闘の日々もまた一人の人間のかけがえのない変容譚となっている。

 顔のあざを幼いころにクラスメイトから「琵琶湖」と嘲笑された主人公は、最愛の人からは「夏の夜空」として大切に理解された。相手を曇りのないまなざしで大切に眺めることの意味を問う作者の試みは「よだか」が夜空に飛翔し輝くまでの軌跡という変容の奇跡として、いつまでも私たちの心に残ってほのかなよろこびの源となる。

 『よだかの片想い』を読み終えてから、デヴュー作の『シルエット』(講談社、2001年)を読み直してみて驚かされた。最初の作品である『シルエット』と最新作の『よだかの片想い』とがループしているのだから。対応して響き合う二つの作品。そして、その間に挟み込まれた数々の小説群もまた呼応する一貫性を備えている。透徹した夜空のすがすがしさ。星々のきらめき。愛おしきいのちの輝き。
よだかの片想い (集英社文庫) Amazon書評・レビュー: よだかの片想い (集英社文庫)より
4087453618