メリーゴーランド
評判
メリーゴーランドの評価:
4.23/5点 レビュー 57件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全90件 21〜40 2/5ページ
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メリーゴーランドの評価:
4.23/5点 レビュー 57件。 B ランク
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小説の詳細ページを閲覧すると、ここに履歴が表示されます。最近閲覧した小説詳細ページへ簡単に戻る事が出来ます。
駒谷アテネ村というギリシアふうテーマパークは市が予算をつぎこんだ事業でしたが、赤字続き。これを立て直すよう命じられた主人公、啓一はお役所組織の壁にはばまれ、あちこちで老害やら利権の垣根に右往左往しながら、ゴールデンウィーク中の売り上げを昨年一年間の4分の1まで達成します。
つぶれた隣のファミリーパークから動物や遊具をもらってきたり、昔いた前衛的な劇団の座長に声をかけてきてもらったり、と、普通の公務員である啓一のせいいっぱいの働きがみのった成果です。とくにこの劇団「ふたこぶらくだ」の面々の破壊的パワーによって、ペガサス企画の若手プランナーのたてた「不思議の国のアリス」の世界が、見事に立ち上がります。彼も、そして、啓一の下のこの出向部署に配属された部下も、謎の無口な女性公務員もいきいきと自分を発揮してゆきます。
しかし・・・政治と組織の壁は厚かった。市長が、女性評論家に選挙で敗れたとたん、アテネ村は廃止が決まり、新しい風が吹くかと思った啓一一家も、やっぱりいつも頭上には広々とした空ではなく「低い天井がある」ことをかみしめます。
最初は、テーマパークというものにほれ込んだ市役所の公務員が、夢を実現しようとする話(境港市のように)かなと思っていましたが、主人公は特にテーマパークに思い入れが強いわけではなく、ただ新しい企画を軌道にのせようという熱意で動いている感じでした。
それはそれでまた痛快でしたし、「前例がない」「慣例だ」「改変したら、これまでの自分たちがまちがっていたのを認めることになる」など、お歴々からの発言にいちいち憤ったりがっくりしたりしているうち、これこそまさに「アリス」のナンセンス世界だ、と感得するところも読みどころでした。
そして、あたかも進歩的で平等を標榜する世界を約束してくれるかに見えた新政権も、公約遵守、そして画一的なフェミニズム政策の実現など、やっぱり組織になったとたんに硬直してゆき、「どこか違う」。新たな「アリス」のコーカスレースが始まっただけ、と啓一は悟るのですが、家族のきずなはこの一連の事件で強まり、最後に、廃止されるメリーゴーランドに夜、みんなで乗りにゆくシーンはあたたかいものを胸にともしてくれます。
お役所とはこういうもの、なのですが、あきらめて心から切り捨てるのではなく、アリスの世界とわりきった主人公の心境が気持ちよく、久々に、リアルなのに失望でおわらずにすむ角度をもった、ユーモアの効いた社会小説を読んだ気がします。