■スポンサードリンク


聖者は口を閉ざす



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
聖者は口を閉ざす

聖者は口を閉ざすの評価: 4.00/5点 レビュー 3件。 -ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(4pt)

単純に善悪で割り切れない複雑な人間模様を描いた小説

TVの脚本家をやめて故郷の学校で創作を教えることになった男が何者かに襲撃され・・・というお話。
襲撃された主人公に当たる登場人物がその襲撃者のことを知っているようなのに何故か口を閉ざし、もう一人の主人公にあたる婦警がその謎に踏み込んでいく・・・というのが大体の主筋でそこに周辺社会の諸問題や諸相が傍筋として絡んでくるという社会派の言ってみればクライム・ノヴェル。
この、主人公が何故口を閉ざすのかという主筋の謎は一応解かれますが、その悲しい真相は胸を強く打つものがありました。ここで描かれるドラマは醜悪で不条理な現実の社会でもあり得る決して他人事ではない分、悲しみは一層深くなると思いました。
傍筋の現代社会の活写も舞台はアメリカなれど、どこの国でもあり得る普遍性があり、色々考えさせられると感じました。
最近翻訳された「黄金の街」でも感慨をだきましたが、この著者のプライスという人は市井の庶民が抱える問題を常に意識いて作品を書くタイプのようで、そこが正にプライスという人の真骨頂に思えました。
著者は本職はシナリオライターで小説はあまり沢山書く方ではない方らしいですが、絶版になっているものの復刊や未訳の作品の紹介も期待したいところです。
聖者は口を閉ざすAmazon書評・レビュー:聖者は口を閉ざすより
416326860X
No.1:
(5pt)

一読忘れがたい物語

ハリウッドでテレビドラマの脚本家として名声を得たレイは、すべてを捨てて故郷であるニュージャージーに帰ってくる。そこで彼はボランティアとして高校の創作講座の講師をはじめる。貧困にあえぐ人種の坩堝となった生まれ故郷。そこで彼は静かに善意を施して生きていこうと思っていたのだが、ある日何者かが彼の頭を殴打し、瀕死の重傷を負ってしまう。だが、一命をとりとめた彼は誰に殴られたのかを一切明かさない。事件を担当することになったレイの幼なじみでもあるネリーズは、真相を探るべくレイに関わる人々に話を聞いてまわるのだが・・・・。

物語は、レイが殴られる前と殴られた後を交互に描くことによって事件の真相をあぶりだしてゆく手法をとっている。ここで光ってくるのが、この物語が描こうとしている『善行』だ。善行とは施しである。施しとは恵むことだ。恵みすなわちいつくしみ。そしていつくしみとは慈愛のことなのだ。そう、行き着くところは『愛』なのだ。愛があって善行となる。だが、この愛を自分のためにつかうか、人のためにつかうかで恵みは人を傷つけることにもなるのである。その境界線は曖昧だ。自分にそのつもりがなかったとしても勝手に解釈される場合もあるし、自分の本意とは違った解釈にとられる場合もある。そして、事件は起こった。さまざまな思惑をはらんで人々が動き、一点に集約されていく。
ここではさまざまな悲劇が語られる。誰もがなんらかの物語を内包しており、それを語ることによって人々の心を動かしていくのである。本書で描かれるのは真実の物語だ。ここには真実がある。一読忘れがたい物語だ。上下二段組で550ページと非常に長い物語だが、読んでソンはない。
聖者は口を閉ざすAmazon書評・レビュー:聖者は口を閉ざすより
416326860X

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!