国境の雪

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評判

国境の雪の評価:

4.31/5点 レビュー 16件。 C ランク

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平均点4.31pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全37件 21〜37 2/2ページ
No.17
(5pt)

面白かったが少し残念な結末

実際にニュースとして聞いたことのある過去の事実に、フィクションを絡ませて物語が進行します。 だから先の見えている事実と先のわからないフィクションがどうなるのか、息もつかせず、読み進めることができました。 過去の事実に関するインテリジェンスという視点からの分析も秀逸で、なるほどと思わせる記述が多々ありました。 ただ結末は、759ページを読破したのに、少し残念な気がしました。
国境の雪 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の雪 (角川文庫)より
4041037190
No.16
(5pt)

面白かったが少し残念な結末

実際にニュースとして聞いたことのある過去の事実に、フィクションを絡ませて物語が進行します。 だから先の見えている事実と先のわからないフィクションがどうなるのか、息もつかせず、読み進めることができました。 過去の事実に関するインテリジェンスという視点からの分析も秀逸で、なるほどと思わせる記述が多々ありました。 ただ結末は、759ページを読破したのに、少し残念な気がしました。
国境の雪 Amazon書評・レビュー: 国境の雪より
4041103754
No.15
(4pt)

骨太の国際某略小説。

国家という幻想に翻弄される男女を描いた骨太の国際某略小説。 リアルな国際情勢を舞台にストーリーが展開しており、読み応えがある。 北朝鮮の国家の存亡に関わる秘密を手にした崔純子は生命を賭けて脱北を図る。 亜細亜政治研究所の甲斐長州の命を受けた工作員の設楽正明は身分を変えて、純子の握る秘密を奪還すべく中国へ飛ぶ。 北朝鮮、中国、アメリカ、日本…共産主義、資本主義、独裁国家、民主国家と、その体制やスタイルは違えど、結局は個人のエゴにより成り立っているのかと、読後、国への不信感が募った。
国境の雪 Amazon書評・レビュー: 国境の雪より
4041103754
No.14
(4pt)

骨太の国際某略小説。

国家という幻想に翻弄される男女を描いた骨太の国際某略小説。 リアルな国際情勢を舞台にストーリーが展開しており、読み応えがある。 北朝鮮の国家の存亡に関わる秘密を手にした崔純子は生命を賭けて脱北を図る。 亜細亜政治研究所の甲斐長州の命を受けた工作員の設楽正明は身分を変えて、純子の握る秘密を奪還すべく中国へ飛ぶ。 北朝鮮、中国、アメリカ、日本…共産主義、資本主義、独裁国家、民主国家と、その体制やスタイルは違えど、結局は個人のエゴにより成り立っているのかと、読後、国への不信感が募った。
国境の雪 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の雪 (角川文庫)より
4041037190
No.13
(5pt)

よかったです

狸穴近くに 過去に住んでたので あの周辺の 雰囲気など すんなり イメージがはいってきました。 最後の結末が 微妙な部分がありますが 全体的に 素晴らしい内容です 相当 取材を重ねられたと思います。 私の大好きな作家の一人です。
国境の雪 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の雪 (角川文庫)より
4041037190
No.12
(5pt)

よかったです

狸穴近くに 過去に住んでたので あの周辺の 雰囲気など すんなり イメージがはいってきました。 最後の結末が 微妙な部分がありますが 全体的に 素晴らしい内容です 相当 取材を重ねられたと思います。 私の大好きな作家の一人です。
国境の雪 Amazon書評・レビュー: 国境の雪より
4041103754
No.11
(5pt)

とても良い本です。

購入してからすぐに届き、とても良い品物でしたので、喜んでいます。
国境の雪 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の雪 (角川文庫)より
4041037190
No.10
(3pt)

細かい描写に間違いが結構あるのが・・・

ここ数年におきた国際政治情勢の様々な事件の裏を明かすような内容はなかなかおもしろいのですが、細かい部分で単純なミスが見受けられるのが残念です。
北京のホテルの場所の表記の間違いや、ラサの中心部から見える丘の上のポタラ宮のことをダライ・ラマの夏の離宮ノルブリンカと書いていたり・・・(ノルブリンカは丘の上にはないしラサ中心部から見通せません)、胡錦濤や温家宝が会議の時に食べる食事を飲茶、という日本人から見た中華のステレオタイプなイメージ、等が、ああ、実際に現地を見て来ていないんだなと思わせてしまうがっかり感があります。
また純子の心理変化も唐突な感じがありました。
その辺を差し引けば、面白く読めます。
国境の雪 Amazon書評・レビュー: 国境の雪より
4041103754
No.9
(5pt)

国境の雪

大変面白く読ませていただきました、ワクワクしながら本当に、これでフィクションなのかとも思いましたが。
本当に良い時間を過ごす事が出来ました、作家の柴田哲孝氏のは本当に感謝します、日本人に生まれたDNAが騒ぎます。
これからも本当に心に響く作品をお願い致します。
ありがとうございました。
国境の雪 Amazon書評・レビュー: 国境の雪より
4041103754
No.8
(3pt)

細かい描写に間違いが結構あるのが・・・

ここ数年におきた国際政治情勢の様々な事件の裏を明かすような内容はなかなかおもしろいのですが、細かい部分で単純なミスが見受けられるのが残念です。
北京のホテルの場所の表記の間違いや、ラサの中心部から見える丘の上のポタラ宮のことをダライ・ラマの夏の離宮ノルブリンカと書いていたり・・・(ノルブリンカは丘の上にはないしラサ中心部から見通せません)、胡錦濤や温家宝が会議の時に食べる食事を飲茶、という日本人から見た中華のステレオタイプなイメージ、等が、ああ、実際に現地を見て来ていないんだなと思わせてしまうがっかり感があります。
また純子の心理変化も唐突な感じがありました。
その辺を差し引けば、面白く読めます。
国境の雪 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の雪 (角川文庫)より
4041037190
No.7
(5pt)

国境の雪

大変面白く読ませていただきました、ワクワクしながら本当に、これでフィクションなのかとも思いましたが。 本当に良い時間を過ごす事が出来ました、作家の柴田哲孝氏のは本当に感謝します、日本人に生まれたDNAが騒ぎます。 これからも本当に心に響く作品をお願い致します。 ありがとうございました。
国境の雪 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の雪 (角川文庫)より
4041037190
No.6
(4pt)

国際政治と時事の把握

まさにアジアの主要国を舞台にしたハリウッド映画の原作といっていい。しかし作る側はハリウッドで、の方が成功しそうな。

北朝鮮の重要人物の脱北物語に国際政治というバック、男女のロマンスを加えたもので、今の事実上起こっている国際間摩擦が目白押しに出てきてその内幕を説明してくれるので、びっくりすることや、
え!?ちょっとこれ、ほんとう!?
え〜こんなこと書いていいの?というような危険なセリフなんかがたくさんある。
実際、オバマ大統領やヒラリークリントンが出てきたりする。

とにかく実在の人物や、いろんな人物が出てきて、またいろんな名称の国家機関や役職が出てきて、またそれが中国名や朝鮮名でなかなか誰がなんだか分かりにくい。最初に名と役職のリストがあるとチェックしやすいんだけど…

とにかく、脱北する女を追ういくつかのグループがあり、場面がそのグループごとに切り替わるのでこれもまた分かりにくいが、脱北ルートを追っていく、だけを念頭において読めば一貫性があり、読みやすい。が、政治の裏話がすごく多いのでその情報に疎いと読んでいて面白くないと思います。

しかしこれら全部をニュースやドキュメンタリで見ると面白くないが、こうやって小説化すると理解しやすいのでここ何年間の中国や北朝鮮との緊張が一挙に読めて、時事問題がかなりわかるのでうれしい。就活の題材になりそう。しかし本は非常に高いので図書館で借りるべきですね。
国境の雪 Amazon書評・レビュー: 国境の雪より
4041103754
No.5
(5pt)

東アジア諸国の内在的論理を描いたインテリジェンス小説の傑作。

現代に現われた、「ジョン・ル・カレ」という閑居人さんのレビューを見て躊躇なく読むことにした。
そして、それに相違ない出来栄えであった。
ストーリー、人間及び歴史についての深い洞察、登場人物の心理描写は腑に落ちた。確かなリアリティーは674頁を一気に読ませる。
東アジア諸国の中で只、日本のみが「一億総中流」という幸福を一時、経験した。しかし、敗戦からそう長くない期間で日本の社会は戦前とは断絶した、お花畑のような状況に変質してしまった。
東アジアの北朝鮮、中国はほんの一握りの支配層(=富裕層)が大多数を奴隷のように強権的に支配する体制であり、韓国もまたそれに近づいている。
そして、三国とも体制存続のためのスローガンとしての「反日」がすっかり根付いてしまった。
東アジアは均等には発展していない。近代以前の国々があり日本はそれらの国々から敵対されているという事実を明明白白に思い知らされる。
「半島回収」という同様の小説も傑作であったが、この小説は人間が深く描き込まれていて動いている。
そして黒幕は、当然アメリカという国である。
国境の雪 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の雪 (角川文庫)より
4041037190
No.4
(5pt)

東アジア諸国の内在的論理を描いたインテリジェンス小説の傑作。

現代に現われた、「ジョン・ル・カレ」という閑居人さんのレビューを見て躊躇なく読むことにした。
そして、それに相違ない出来栄えであった。
ストーリー、人間及び歴史についての深い洞察、登場人物の心理描写は腑に落ちた。確かなリアリティーは674頁を一気に読ませる。
東アジア諸国の中で只、日本のみが「一億総中流」という幸福を一時、経験した。しかし、敗戦からそう長くない期間で日本の社会は戦前とは断絶した、お花畑のような状況に変質してしまった。
東アジアの北朝鮮、中国はほんの一握りの支配層(=富裕層)が大多数を奴隷のように強権的に支配する体制であり、韓国もまたそれに近づいている。
そして、三国とも体制存続のためのスローガンとしての「反日」がすっかり根付いてしまった。
東アジアは均等には発展していない。近代以前の国々があり日本はそれらの国々から敵対されているという事実を明明白白に思い知らされる。
「半島回収」という同様の小説も傑作であったが、この小説は人間が深く描き込まれていて動いている。
そして黒幕は、当然アメリカという国である。
国境の雪 Amazon書評・レビュー: 国境の雪より
4041103754
No.3
(4pt)

国際政治と時事の把握

まさにアジアの主要国を舞台にしたハリウッド映画の原作といっていい。しかし作る側はハリウッドで、の方が成功しそうな。

北朝鮮の重要人物の脱北物語に国際政治というバック、男女のロマンスを加えたもので、今の事実上起こっている国際間摩擦が目白押しに出てきてその内幕を説明してくれるので、びっくりすることや、
え!?ちょっとこれ、ほんとう!?
え〜こんなこと書いていいの?というような危険なセリフなんかがたくさんある。
実際、オバマ大統領やヒラリークリントンが出てきたりする。

とにかく実在の人物や、いろんな人物が出てきて、またいろんな名称の国家機関や役職が出てきて、またそれが中国名や朝鮮名でなかなか誰がなんだか分かりにくい。最初に名と役職のリストがあるとチェックしやすいんだけど

とにかく、脱北する女を追ういくつかのグループがあり、場面がそのグループごとに切り替わるのでこれもまた分かりにくいが、脱北ルートを追っていく、だけを念頭において読めば一貫性があり、読みやすい。が、政治の裏話がすごく多いのでその情報に疎いと読んでいて面白くないと思います。

しかしこれら全部をニュースやドキュメンタリで見ると面白くないが、こうやって小説化すると理解しやすいのでここ何年間の中国や北朝鮮との緊張が一挙に読めて、時事問題がかなりわかるのでうれしい。就活の題材になりそう。しかし本は非常に高いので図書館で借りるべきですね。
国境の雪 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の雪 (角川文庫)より
4041037190
No.2
(5pt)

現代日本に現れた「ジョン・ル・カレ」

「この物語はフィクションである。だが登場する人物、団体、地名にはできる限り実名を使用し、主幹となるエピソードはすべて事実に基づいている。」こういった前置きは、柴田哲孝という作家のファンには、ある種の厳粛さを持って響くだろう。著者は、2006年「下山事件 最後の証言」で日本推理作家協会賞を受賞した。「推理小説」の形をとっているが、この作品は注意深く書かれたドキュメンタリーであり、著者は、この作品で1949年に起きた「下山事件」ひいては「松川事件」の真実の最も近くに立っていると考えられたからである。
「国境の雪」と題された700ページ近い小説は、北朝鮮の「最高機密」を粛清された愛人から託され脱北した元「喜組」の女と、彼女の脱出を助けるために日本の諜報機関から送り込まれた男の、中国国内での逃走とその間に生まれた愛の物語である。
女が隠し持つ「最高機密」は、北朝鮮の秘密であり、その暴露は東アジア情勢に決定的な影響を持つものと考えられた。そのために、北朝鮮保衛部、中国国家安全部・公安部、CIA、韓国中央情報部、そして日本の「内調」と通じる民間情報機関が、この秘密を掌握しようとして激しい戦いを展開する。
著者は、時折、「銀座服部時計店脇のライカビル」とか「湘南の児童養護施設(エリザベス・サンダーズホーム)」などをほのめかして読者に微笑して見せる。占領下日本の記憶と、しぶとく生き延びた戦後の諜報関係者、戦前の中野学校出身の残置諜者やその家族がハルビンや中国の奥地に存在し、物語を展開させる。
事実の細部への拘りは、まさしく著者ならではのものだ。それに今回の作品では、北朝鮮、韓国、中国、アメリカの政治家たちのプロフィールが丁寧に描かれる。日本で民主党政権が発足し崩壊した3年間の東アジア情勢をめぐる各国の対外政策とインテリジェンス活動が、ほぼ正確に描かれる。「ほぼ」というのは、著者は「公式説明」以外の推理を駆使しているからだ。(例えば、金正日の死が中国絡みの毒殺であった可能性。或いは、ビンラディンの所在が中国国家安全部から米・パキスタン関係の衝突のためにもたらされた可能性、等々。)しかしこれらは、荒唐無稽とは言えないリアリティをもって描かれており、余程丁寧に国際情勢とインテリジェンスを分析していない限り書くことのできない世界だ。
米ソの「冷戦終了後の世界」は、「寒い国からきたスパイ」「スマイリーシリーズ」のような優れたスパイ小説を書いた「ジョン・ル・カレ」のような作家の居場所を奪ってしまった。しかし、東アジアでは別な形の冷戦が継続している。柴田哲孝こそ、この作品で新しいインテリジェンス小説の世界を切り開いたように思える。

蛇足ながら付け加えると、この作品は映画化すればスリリングな名作になるだろう。評者は、特に、北朝鮮保衛部の処刑魔「朴成勇」に惹かれる。この作品の中でも人物像が最もよく描かれているのではないか。存在感のある役者が演ずれば、いい味が出るだろう。崔純子を演ずる美しい女優はたくさんいるかも知れない。ただ体を売って精神が壊れない、透明感を維持できる女は奇跡だ。そういう女優は誰だろう?もう一人の主人公、設楽正明を演ずる俳優は、うまく頭にフォーカスされない。二人の主人公の設定が少し抽象的にならざるを得ない部分があることも、影響しているかも知れない。
国境の雪 Amazon書評・レビュー: 国境の雪より
4041103754
No.1
(5pt)

現代日本に現れた「ジョン・ル・カレ」

「この物語はフィクションである。だが登場する人物、団体、地名にはできる限り実名を使用し、主幹となるエピソードはすべて事実に基づいている。」こういった前置きは、柴田哲孝という作家のファンには、ある種の厳粛さを持って響くだろう。著者は、2006年「下山事件 最後の証言」で日本推理作家協会賞を受賞した。「推理小説」の形をとっているが、この作品は注意深く書かれたドキュメンタリーであり、著者は、この作品で1949年に起きた「下山事件」ひいては「松川事件」の真実の最も近くに立っていると考えられたからである。
「国境の雪」と題された700ページ近い小説は、北朝鮮の「最高機密」を粛清された愛人から託され脱北した元「喜組」の女と、彼女の脱出を助けるために日本の諜報機関から送り込まれた男の、中国国内での逃走とその間に生まれた愛の物語である。
女が隠し持つ「最高機密」は、北朝鮮の秘密であり、その暴露は東アジア情勢に決定的な影響を持つものと考えられた。そのために、北朝鮮保衛部、中国国家安全部・公安部、CIA、韓国中央情報部、そして日本の「内調」と通じる民間情報機関が、この秘密を掌握しようとして激しい戦いを展開する。
著者は、時折、「銀座服部時計店脇のライカビル」とか「湘南の児童養護施設(エリザベス・サンダーズホーム)」などをほのめかして読者に微笑して見せる。占領下日本の記憶と、しぶとく生き延びた戦後の諜報関係者、戦前の中野学校出身の残置諜者やその家族がハルビンや中国の奥地に存在し、物語を展開させる。特にこの「残置諜者」は、ストーリーの展開に必要不可欠なものだ。なるほど、アイディアだ、という感想と、本当にいるのだろうか、いるとすれば「指揮命令の対象」はどうなるのかという疑問が湧く。
事実の細部への拘りは、まさしく著者ならではのものだ。それに今回の作品では、北朝鮮、韓国、中国、アメリカの政治家たちのプロフィールが丁寧に描かれる。日本で民主党政権が発足し崩壊した3年間の東アジア情勢をめぐる各国の対外政策とインテリジェンス活動が、ほぼ正確に描かれる。「ほぼ」というのは、著者は「公式説明」以外の推理を駆使しているからだ。(例えば、金正日の死が中国絡みの毒殺であった可能性。或いは、ビンラディンの所在が中国国家安全部から米・パキスタン関係の衝突のためにもたらされた可能性、等々。)しかしこれらは、荒唐無稽とは言えないリアリティをもって描かれており、余程丁寧に国際情勢とインテリジェンスを分析していない限り書くことのできない世界だ。
米ソの「冷戦終了後の世界」は、「寒い国からきたスパイ」「スマイリーシリーズ」のような優れたスパイ小説を書いた「ジョン・ル・カレ」のような作家の居場所を奪ってしまった。しかし、東アジアでは別な形の冷戦が継続している。柴田哲孝こそ、この作品で新しいインテリジェンス小説の世界を切り開いたように思える。

蛇足ながら付け加えると、この作品は映画化すればスリリングな名作になるだろう。評者は、特に、北朝鮮保衛部の処刑魔「朴成勇」に惹かれる。この作品の中でも人物像が最もよく描かれているのではないか。存在感のある役者が演ずれば、いい味が出るだろう。崔純子を演ずる美しい女優はたくさんいるかも知れない。ただ体を売って精神が壊れない、透明感を維持できる女は奇跡だ。そういう女優は誰だろう?もう一人の主人公、設楽正明を演ずる俳優は、うまく頭にフォーカスされない。二人の主人公の設定が入り組んでいることが示唆されて、抽象的にならざるを得ない部分があることも、影響しているかも知れない。
国境の雪 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の雪 (角川文庫)より
4041037190