瑠璃の雫

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評判

瑠璃の雫の評価:

4.09/5点 レビュー 43件。 B ランク

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平均点4.09pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全44件 41〜44 3/3ページ
No.4
(5pt)

最後まで興味深く読めます

両親が離婚し、重度アル中の母親と3歳下の弟と暮らす杉原美緒さん、それに彼女が敬愛する元検事の永瀬丈太郎さんの二人が主人公です。
崩壊状態の美緒さんの家庭をギリギリで支えているのは、母親の従姉妹の吉岡薫さんですが、彼女の紹介で、小学六年の美緒さんは、63歳の永瀬さんを知ることになります。ほとんど両親のせいで他人から貶められることの多い、まことに気の毒な境遇の美緒さんが、永瀬さんから一人の友人として応対され、誕生日プレゼントを渡されて泣き出す描写に、不覚にももらい泣きしてしまいました。
永瀬さんがまだ若い頃、一人娘の瑠璃さんが誘拐されますが、その事件がこの物語の中核になります。現役検事の永瀬さんが、ほとんどカンで犯行の一端を担ったと思われる人物と会い、瑠璃は今どうしているか教えてくれと切り出す、そのセリフの唐突さに驚きました。その時に永瀬さん本人は事件の真相を知るのですが、我々読者は、その後に彼の足跡を辿ってその事件を探る、19歳になった美緒さんによる解明を待たなければなりません。それが物語の後半で語られます。
最近読んだ中では一番の小説でした。
瑠璃の雫 (角川文庫 い 64-3) Amazon書評・レビュー: 瑠璃の雫 (角川文庫 い 64-3)より
4043897030
No.3
(5pt)

あらゆる意味で重厚

まず最初に言いたいのは「解説を先に読んだらダメ」です。
前のレビュアさんも言っておられますが、あらすじを書く解説者さんの神経はちょっと分からないですね。私らみたいな素人じゃないなら、解説基準で選ぶ愚か者も気にかけて欲しいと思う。

ただ解説の「それぞれの忌まわしい過去が呼応し、驚くべき事実が浮かび上がる重奏的な作りは大変凝っていて、物語の奥行きと読み応えは、間違いなく伊岡作品随一と言える」には納得しました。私はこの作家さんは初めてなので他の本は知りませんが、娯楽小説の中でもかなり重厚だと思います。

人物たちの抱える闇にしても、事件性にしても、展開の全てが濃厚です。もちろん世の中にはより凝っている重い小説があるでしょうが、この小説も軽々しく読むと後悔する本だと思います。それに割合スローテンポなところも苦痛になるかも知れません。どのような内容でも自分の中で昇華出来る読者さん向けだと思います。

まあ、正義感の強い方なら悶々とさせられるのは間違いないです。爽快感などどこにもありません。しかし、主要人物たちが押しつぶされそうになって足がいているなか、強く生きようとする人物たちもいます。私の場合、序盤では物語の核心に接しながらも明るさを失わない女性に救われ、最後の最後では己の境遇を知りながらそれを受入れてしまった人物の諦観が救いになりました。過去に消えて行った闇を風化させ、己や皆のためにも忘れようとする健気さを知っている方には、ぜひ読むことをお勧めします。

久々に読書らしい読書ができたように思う。
瑠璃の雫 (角川文庫 い 64-3) Amazon書評・レビュー: 瑠璃の雫 (角川文庫 い 64-3)より
4043897030
No.2
(5pt)

傑作だが重い。

桜木紫乃『凍原』と似た佇まいの作品。

 家族によって家庭を壊された少女と、赤の他人によって家庭を壊された男の出逢いから物語の幕は開け、登場人物の多くが消えてゆき、一人の人物が再登場して幕を閉じる。出来事の一つ一つがよく考えれば実に無残なのだが、決して曖昧でなく、かつ無残さを感じさせずに物語を進めていく筆致は見事。葉書のジオラマや石という小道具の演出も光っている。敢えてこれ以上語らないが、読み応え十分の傑作。

 ではあるが、すべては遠い過去の出来事であり、それゆえにもはや解決は決して叶わず、「解決のない解明」という結末は不快ではないのだが非常に重いので念のため。

 ところで、本書に収められた解説もそうなのだが、ただあらすじを辿っただけで良しとする中味のない解説がよく見られるが、これは単に邪魔でしかないし、書き手の神経を疑わずにはいられない。
瑠璃の雫 (角川文庫 い 64-3) Amazon書評・レビュー: 瑠璃の雫 (角川文庫 い 64-3)より
4043897030
No.1
(4pt)

敢えて苦言を・・・

伊岡作品は「いつか、虹の向こうへ」に続き2作目。
最近の売れ線といえば、とにかくおもしろおかしくて読みやすければOKという
風潮が蔓延している。
その点著者は、硬質な1本筋の通ったストーリーばかりで物語を読みこませる。
ただこの作品については、そういう著者の作風を踏襲しながらも、どこか読後に
不快感が残ったのも事実。「いつか、」の時のように一読者としての『救い』も
見つけられなかった。
ただし、このような作風を本線とする作家は今の世の中には非常に貴重で、今後
も読み続けていきたいと思う。
瑠璃の雫 (角川文庫 い 64-3) Amazon書評・レビュー: 瑠璃の雫 (角川文庫 い 64-3)より
4043897030