蒼穹の昴

評判

蒼穹の昴の評価:

4.59/5点 レビュー 271件。 A ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.59pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

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全309件 241〜260 13/16ページ
No.69
(4pt)

運命に立ち向かうには,ここまでやるのか!

春児は極貧の糞拾いの少年です.占い師の婆さんが,春児に希望を見いだすことができなかったため,やむをえず「途方もない希望」の嘘の予言を与えてしまいます.春児はその予言を信じてはいなかったのだけれども,あまりの絶望から信じ込むしかないと決めて生き始めます.希望の実現に必要と判断して,10歳でありながら自分の手で自分の体を宦官にしてしまう迫力.最後は西太后の側近となり,予言を叶えてしまうのです.一方,春児の兄貴分だった文秀は,科挙試験にトップで合格し,最後は光緒帝の側近になります.この二人を中心にロマンチストを泣かせるドキドキのストーリーが展開します.運命に立ち向かうには,ここまでやるのか,と驚きの連続.読む時には,時間を作ってまとめて最初から最後まで読破することをお勧めします.その方が,繰り返す波のように感動するはずです.私は間をあけてしまったので,途中で脇役の名前が読めなくなったり,話の中にちりばめられた小さな時限爆弾の存在を忘れてしまいそうでした.清朝末期という難しい時代の歴史解説本としても上出来です.それにしても浅田次郎は,分野の異なる小説の背景をよく勉強してるなあ!
蒼穹の昴(1) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(1) (講談社文庫)より
4062748916
No.68
(3pt)

滅びゆく王朝

主人公は寒村の貧苦の中でも明るい少年、春児。その彼に、村の占い師が「世界の宝をその手にするだろう」と予言をする。それを信じた春児は、都に出て宦官の世界にはいっていく。貧しい庶民の暮らしから、王宮での特殊な暮らしまでを精密に描きあげていく作品だ。そこに漂う匂いまでもが感じられた。徐々に予言が成就していくストーリーだけど、他にも科挙の進士の話がからまって、揺れる清朝の世界が見事に描き出されている。まあしいて言うなら、仏のような西太后がどうしてもイメージと違いすぎた。
蒼穹の昴(1) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(1) (講談社文庫)より
4062748916
No.67
(5pt)

文句なくおもしろい

これほど読み応えのある歴史小説はなかなか巡り会えないと思います。4巻すべての章が記憶に残っています。中国の清の末期と明治の日本の関わりがわかりやすく描かれていて,登場人物がまるで映画を観ているような感じでした。ちょっと登場した人物が,後で大きな関わりを持ってくるところは,推理小説のようなドキドキ感がありました。それにしても,泣かせてくれます。
蒼穹の昴(1) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(1) (講談社文庫)より
4062748916
No.66
(5pt)

最後に明かされる「蒼穹《あおぞら》」の由来

清朝末期時代を描いた歴史小説の最終巻。 いったんは引退を決意した西太后も、自分を殺そうとする暗殺者が自爆するのを目の前にして心が変わります。第11代光緒帝が構わずに親政を開始しますが、あまりの急進改革ぶりに支持者が雲散霧消してしまい、孤立。改革派の中心人物だった主人公の文秀は、死を覚悟します。 もうひとりの主人公の春児は西太后の側近宦官のトップとして困難な舵取りをする西太后を支えます。 清朝の断末魔のような動乱を描いた物語は、ラストエンペラー(溥儀)が登場する直前で終わっています。 私はネタばらしをしない方針なので、それぞれの主人公たちが最終巻でどのような運命を迎えたか、という核心部分は、省略させていただきます。 ……が、一つだけ、最後の場面を暗示する印象的な箇所を紹介します。 偉大な清朝第6代皇帝乾隆帝の時代に、イエズス会から派遣され異国の地に赴いたという、将来を嘱望されていた芸術家がいました。 この宮廷芸術家の手記に、次のような記述がありました。   たとえば百年ののち、この広大なチナ大陸のどこかで、主も神もヴァ  チカンも救えるはずのない貧しい少年が、私の芸術のもたらした福音に  よってすべての苦しみから解き放たれることを、私は信じています。   そのとき少年は、糞と泥とにまみれた小さな手を天に向かって拡げる  ことでしょう。   生命の歓喜にうちふるえる貧しい少年の瞳に映るもの――それは、す  べてのヴェネツィアンが、富も名誉も関係なく心から夢に見た青空、神  の作り給うた青空よりなお青い、蒼穹《あおぞら》にちがいありません。 本書を読み終わったとき、この手記が何を暗示しているかが初めてわかり、あまりの神々しさに、しばらく余韻に浸ってしまいました。 本書は私が昨年読んだ本のベスト5に入ります。ご一読をお薦めします。
蒼穹の昴(4) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(4) (講談社文庫)より
4062748940
No.65
(5pt)

ううーーーーおもしろい!!

浅田次郎の作品の中で一番好きな小説。文庫も出ているが、購入の際は一度買いがおすすめ。続きが気になって眠れなくなること間違いなし。
蒼穹の昴(上) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(上)より
4062074974
No.64
(4pt)

皆から慕われ、星の力を借りずに出世する主人公

清朝末期時代を描いた歴史小説の第3巻。 第11代光緒帝が即位しても西太后は政治の実権を手放しません。西太后に引退を迫る「変法」勢力と、西太后が引退すると失脚してしまう守旧派が勢力争いを展開していますが、その間に、列強諸国による中国の植民地化が一段と進みます。英国から香港の割譲を迫られた清朝廷は、李鴻章を全権大使に任命し、なんとか「99年租借」で決着をつけました。 主人公の文秀は「変法」勢力の中心人物となり、もうひとりの主人公の春児は西太后の側近の宦官として、敵対する政治勢力に身を置くことになります。 宦官となった春児には、もう守るべき家族がありません。寂しさを埋め合わせるように孤児院を経済的に支援したり同僚の借金返済に力を貸したりしますが、次第に皆から慕われるようになりました。 老いた宦官から「神様ってのは、こういうもんだ」と抱きしめられ、イエズス会の司教から「春児は、主イエスの現し身です。デウスがこの貧しい国の民のためにお遣わしになった、天の使徒ですよ」と賛嘆されます。 第2巻で昴の宿星など無かったことが明かされた春児でしたが、星の力を借りずに宦官の頂点に登りつめる日がいよいよやってきました。 文秀と同じ年に科挙の試験に合格した二人の友人にも、重要な役回りが回ってきます。 一人は光緒帝の伯父が死ぬときに「西太后を殺せ」という命令を受けました。 もう一人は、乾隆帝の霊から「真の龍玉を守護せよ」という使命を与えられます。 いよいよ第4巻は清朝末期の動乱に突入します。 この物語の壮大な伏線である「真の龍玉」とは何なのか、主人公たちがどのような運命をたどるのか。 あー、早く第4巻が読みたい!
蒼穹の昴(3) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(3) (講談社文庫)より
4062748932
No.63
(4pt)

か弱い女性として描かれる西太后

清朝末期時代を描いた歴史小説の第2巻。 この物語の主要人物である西太后が、まず権力の頂点で横暴にふるまう人物として登場しました。 公式の政治の世界で非情な最高権力者として振舞うことはもちろんですが、後宮でも、やれ饅頭に羽虫が入っていたといっては料理長の足を折って紫禁城から追放し、やれ芝居の演技が下手だといっては御前役者を棒叩きにします。そのためにこん棒を持った「散差」という役人が、いつも待機しているありさまです。 一方で西太后には偉大な清朝第六代皇帝の霊と対話する力があり、外国に蚕食される中国の舵取りを「おじいちゃん(乾隆帝)」に相談するという、か弱い女性としての側面も持っていました。 乾隆帝の霊は言います。  「天下に帝位なるものの続く限り、民は救われぬ。真の平和は民の力に   よって初めて実現するものだからの」 西太后は帝政にピリオドを打つ苦しみ耐えることを期待され、「ずるいよ、おじいちゃん」と泣き崩れます。 本書の主人公文秀と春児は、第1巻で占い師から将来の栄達を予言されました。第2巻で再び登場した占い師が、実は春児には昴の宿星など無かったことを明かしました。家族もろとも飢え死にする卦が出ていましたが、あまりに不憫になった占い師が、掟を破って偽りの卦を伝えたというのです。 その占いを信じた春児は、飢え死にすることなく、奇跡的なめぐり会いを経て西太后にお目通りできるまでに出世した宦官になりました。占い師は言います。  わしは信じたいのじゃよ。この世の中には本当に、日月星辰を動かす  ことのできる人間のいることを。自らの運命を自らの手で拓き、あら  ゆる艱難に打ち克ち、風雪によく耐え、天意なくして幸福を掴み取る  者のいることをな 崩れゆく清朝の政治の舞台で、主人公たちにどんな運命が待っているのか。 ……第3巻に続きます。
蒼穹の昴(2) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(2) (講談社文庫)より
4062748924
No.62
(5pt)

スケールがでかく時代考証が緻密 勉強になりました

今までいろいろ浅田次郎の作品を読んできて、「同じ作家の作品?」と思うくらいいわゆる硬派の作品に仕上がっていると思います。学校の時に習った清王朝や西太后、李鴻章など歴史上の人物がまさに目の前で顔が浮かぶくらいの表現で描かれており、改めて浅田さんの洞察力に感服しております。科挙の試験の状況や宦官になるための苦労などいろいろなところで勉強させてもらいました。そして浅田節もちりばめられており、いい作品でした。
蒼穹の昴(1) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(1) (講談社文庫)より
4062748916
No.61
(5pt)

勇気がわいてきました

寝る間、電車の中も惜しいくらいでした。そして強い心・優しい心に勇気付けられました。是非お読み下さい。
蒼穹の昴(上) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(上)より
4062074974
No.60
(5pt)

清朝末期を描いた屈指の大作。歴史文化の描写も見事。

舞台は中国の清朝末期であり、有名な西大后が権力を牛耳る腐敗した政治に列強の侵略がじわじわと始まる内憂外患の時代。二人の主人公のうち一人は、極貧の名もなき少年、春児(チュンル)、そしてもう一人は、春児と同じ村に生まれた名家の型破りにして明晰な頭脳の持ち主の青年、文秀(ウェンシウ)。この二人がそれぞれ力一杯生きて出世してそして歴史に翻弄されていく姿を綴った傑作である。トータル1500頁近くになる大作であるが実に面白いのは、史実とそして中国文化の克明な描写である。 宦官ができあがる様は、その背景から手術の様子まで描かれておりおもわず読みながら顔をしかめてしまう。また、科挙の仕組みとそして実際の試験を受ける部屋の様子や受験者の追い込まれた精神状態の描写は見事としかいいようがない。主人公二人をとりまく人物達は、太平天国の乱、日露戦争、そして香港租借にかかわった大将軍、李鴻章や、欧米化のための公羊学を説いた康有為とその弟子で任侠に生きた譚嗣同は実在の人物であり、それだけに描写に厚みがある。自らイタリアから中国へ宣教師として出向くという運命を受け入れた異色の登場人物である画家、ジュゼッペ・カスチリョーネも実在の人物であることもあとでわかった。台湾の故宮博物院にその作品があるらしい。 実在の人物といえば乾隆帝は皇帝のなかでも別格であり神格化されており西大后の心のよりどころとして、伝説のような存在でありながら、血の通った人物として描かれている。皇帝の家系に伝わる葉赫那拉氏の呪いの伝説も興味深い。フィクションの人物達は実在の人物達に対し、作者の意のままに自由闊達に動くのでこの作品に小説としての醍醐味を与えている。特に、王朝を、欧米と日本の目から観察する新聞記者の岡圭之助とトーマス・バートンは、混沌として内部としての中国と、列強と近代化という外部を結びつける重要な役を与えられている。
蒼穹の昴(1) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(1) (講談社文庫)より
4062748916
No.59
(5pt)

すすめられて読みました

あまり本を読まないので4巻全部読むのは大変でした。でも読んだ後、視野が開けたような幸せな気分になりました。がんばって最後まで読んで良かった。
蒼穹の昴(1) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(1) (講談社文庫)より
4062748916
No.58
(4pt)

時は清朝末期。壮大な歴史小説の始まりはじまり!

文庫本で4冊ある『蒼穹の昴』の第1巻には、主要な登場人物になる(たぶん)少年と青年が登場します。少年の名は春児(チュンル)。馬の糞を拾って生活の糧にしている貧しい境遇のなか、占い師から「汝は必ずや、あまねく天下の財宝を手中に収むるであろう」と予言されました。 幼なじみの兄貴分・文秀(ウェンシウ)も都で栄達することを予言され、その第一歩として科挙の試験を首席で及第しました。文秀が出世するのを待てない春児は、財力も学問もない人間の最後の手段である宦官の道を選び、文秀と決別します。 第1巻では、物語の進行に伴って、中国王朝独特のシステムである宦官と科挙の実態が描写されています。 特に文秀が経験した科挙の場面では何十年も浪人している受験生が登場し、人生を翻弄される秀才たちの悲劇、試験システムの厳格さに目を見張ります。 時は清朝末期。西太后や張作霖が活写される小説の始まりはじまりです。 第1巻から、ひとつトリビアをご紹介。 科挙の答案には、四書五経を前提にした高度な内容が求められますが、内容だけでなく、升目の埋め方も定められた形式に準じていなければなりません。 まず答案用紙の上2格を空欄にして書き始め、皇帝が関係する言葉は、上に突出させて記述します。こうした書式を「擡頭」といいますが、単に特別な言葉を突出させるだけでなく、前行の末尾に空白を作らぬよう工夫しなければなりません。常に字数を計算し、「也」や「矣」などの助辞を駆使して行を埋め、擡頭の敬語がちょうど次の行頭に現れるようにする。 この前行をぎっしりと最後まで埋めることを「徹底」と呼ぶそうです。 「徹底」がこういうところから来ているとは知りませんでした。もちろん、広辞苑にも載っていません。 ふ~ん……。(← 「へーへー」と言わんかい!)
蒼穹の昴(1) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(1) (講談社文庫)より
4062748916
No.57
(5pt)

運命とは?宿命とは?

中国。清末期を描いた大河物語最終章。様々な運命の導火線が交錯し、次々と火花を散らし始めてゆく。租界に身を置く世界中のジャーナリスト達。彼らはかつて伝道師が負っていた役割を背負わされていた。その立場とペンで歴史を書きとめてゆくという使命感が危険に立ち向かわせている。その清は、改革派がやっとの思いで近代国家への扉にたどりつくが、思わぬ運命が待ち受けている。文秀、春児は敵同士の立場にありながら巨大な運命の奔流に飲み込まれてゆく。それは、生まれ持った星の定めだったのか。それとも自ら獲得した運命だったのか。自らの運命は自らの努力によって切り開けるものなのか。ふーっと読み終えて溜息の出る壮大なスケールのクライマックス。中国に関心のある方にはお勧め。
蒼穹の昴(4) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(4) (講談社文庫)より
4062748940
No.56
(5pt)

列強と中国分割

全4巻で描かれる清朝末期の中国。後半に入り、日清戦争の勝利で西洋列強の仲間入り(又は競争相手)を果たした日本も加わっての中国が切り刻まれてゆく様子が描き出される。租界地を拡大し、中国の中に自国の領土を拡大してゆく姿は、他国蹂躙以外の何物でもない。そういう中で中国を守り抜こうとする人達の活躍が胸打つ。中でもイギリスと香港租借を巡って李将軍が登場するシーンは名場面。香港が何年か前に中国に返還されたが、その交渉が描き出される。99年(99とは永遠の意味と説明し)という今から見れば遥か彼方だが99年後の人から見ればそれ程昔ではない期間を貸し出すという5000年の歴史を持つ人達の知恵を振り絞った防衛が行われた。主人公達も階位が上がり、歴史的人物の間に入って活躍をし始める。著者の作品に共通するリズミカルな文章であっという間に読み進められるのが良い。
蒼穹の昴(3) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(3) (講談社文庫)より
4062748932
No.55
(5pt)

西太后と紫禁城

西太后とはどんな人だったのだろうか。そして中国皇帝の権力とは以下ほどのものであったか。西太后については、とかく化け物のような喧伝がなされておりすこぶるイメージは悪い。しかしどうも中国王朝文化の習慣が理解出来ない当時の列強諸国がプロパガンダとして用いたイメージのようである。中華思想とは宇宙の真ん中という意味でその最大権力者が中国皇帝である。西太后は、権力を私物化するために政敵の命を奪っていった非道の人なのか、それとも清朝末期、蹂躙される中国を支えるつわものであったのか。西太后の「人」に迫ってゆく第2巻であった。春児がついに西太后にお目通りする名場面もあり、一気に読み進められた。中国への思いが高まること請け合い。中国に関心のある方にはお勧め。
蒼穹の昴(2) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(2) (講談社文庫)より
4062748924
No.54
(5pt)

科挙と宦官

文庫本で全4巻で描かれる清朝末期の中国。当時、日本は維新によって既に立憲君主体制を整えていたが、中国も西洋の圧迫から国家体制の変革を迫られていた。日本の明治維新は西洋列強に食い物にされる清を見て早まったともいわれる。中国の歴史は実に5000年。6世紀、隋の時代から続く科挙という学力試験により登用された官僚による政治体制も実に1300年の歴史を持つ。この体制を変革するということは途方もないことであった。まさに太陽の軌道が変わるくらいの変化である。今の中国は急激な工業発展をしているが近代に入っては長らく途上国の位置づけにある。しかし、中国というのはこの1世紀程はそういう状態にあるがそれ以前は人類史において最も長い期間進んだ文化を持つ国である。支配者は変わっても中国は変わらない。この物語はその中国の維新ともいえる時代を数奇な運命をもった主人公によって描いている。実に面白く中国の魅力に触れられる。第一巻では、科挙と宦官という中国王朝の謎めいた部分の描写が行われている。日本でも受験戦争など言われたが、さすがに中国。スケールが10桁ほど違っている。死人まで出てくる猛烈な受験戦争が科挙。そして男性を捨てることによって王宮の奴隷となる他国から見れば奇怪な風習である宦官。しかし宦官たちが中国文化の担い手であったことも確かで、中国という国の独特の色彩を創り上げたと思える。重厚な作品。中国清朝に関心のある方にはお勧め。
蒼穹の昴(1) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(1) (講談社文庫)より
4062748916
No.53
(5pt)

価値観を変えられた小説

私はずっと漫画が大好きであった。子供のころからたくさん漫画雑誌を買い、コミックもいっぱい持っていた。なので、小説というものは滅多に読まず、読んだとしてもライトノベル程度だった。そんな私が書店で偶然見つけ、自分でも大して意識せずなぜか買ってしまったのが「蒼穹の昴」である。私があの時、自分の趣味とは全く違うこの本をなぜ購入したのか、いまだに分からない。しかしそれは運命的な出会いであった。一度読み始めると、今まで感じたことの無い夢中さで必死にページをめくり、寝る時間を惜しんで読書をし、頭の中が完全に支配され、仕事も手につかなくなった。読み終わった後のなんとも言えない感情・・。充実感もあるのだが、もう終わってしまったという喪失感もあり・・・。そして自分の本棚にあった漫画たちを見て、私はいままでこんなものがおもしろかったのか?と自分の中に大きな変化が生まれた。漫画では絶対にこの面白さは表現できない。今ではまったく漫画というジャンルに興味がなくなり、毎日本ばかり読みふけっている。「蒼穹の昴」は私の価値観を完全に変えてしまったのである。ただ、その後相当数の本を読んでいるがいまだに本書を越える作品には出会っていない。可能性があるのは続編の「中原の虹」ぐらいである。ただ、まとめて一つの物語とも取れるし・・・。すこしオーバーに聞こえるかも知れないが、私にとって本書はバイブルである。この作品に出会えたことは人生の財産だと思っているし、一生心に残る作品であるのは間違いない。浅田次郎に心からお礼を言いたい。
蒼穹の昴(4) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(4) (講談社文庫)より
4062748940
No.52
(5pt)

渾身の1作だと思う。

筆力ある職業作家として、ある程度なんでも書けてしまう浅田次郎の、渾身の1作。自分はこの第1巻がいちばん好き。張られた壮大な伏線、出だしからキャラクター/魅力を振り撒く登場人物、たった4巻で終わってしまうのが寂しくなるほど壮大な物語、清朝末期の雰囲気に飲み込まれる。
蒼穹の昴(1) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(1) (講談社文庫)より
4062748916
No.51
(4pt)

好みの問題でしょうか。

ハードカバーの発売当初から文庫化を待ち焦がれてました。(ハードカバーを買えってか)飽きることも疲れることもなく一気に読める作品です。魅力的なキャラクターに溢れ、読みながら常に映像を思い浮かべることのできる、酔える小説だと思います。・・・ただし、人間ドラマとしてはやはり「浅田次郎」かな。ところどころ直球すぎて、苦笑してしまいます。「鉄道員」で泣けない、と、思った方はやや注意が必要です。それを差し引いても読む価値は間違いなくあり、この時代に興味のない人にこそ、読んで頂きたいです。一気に読んでください。酔えます。
蒼穹の昴(4) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(4) (講談社文庫)より
4062748940
No.50
(5pt)

物語としての面白さと宦官と科挙の制度のディテール

4冊トータルのレビューとします。映画「ラスト・エンペラー」で描かれた清朝末期の姿とその仕組み。スケールの大きさと物語としての圧倒的な面白さに引き込まれ、徹夜で一気に読まされた、という感じです。私は歴史が好きですが、この作家の歴史の徹底的な調査に関心もし、このディテールが物語の面白さを支えていますと思います。とりわけ、映画ではほとんど表現されていなかった宦官と科挙の制度の仕組みにもっとも興味を抱きました。それとともに、「眠れる獅子」清朝(あえて中国とはいいません)の腐敗堕落と崩壊の過程がリアリティをもって描かれたおり、滅びるべくして滅んだ王朝と思えました。この物語はたかだか100数十年前の話です。日本の幕末から明治にかけての時代です。この小説を読んで私の浅田次郎氏へのイメージが一新しました。新刊のとき、一度読み、文庫本でさらにもう一度読みました。傑作小説であることは間違いありませんが、読後感としては、私は中国のことをほとんど知らないと感じたものです。いま、騒がれている「反日問題」の理解のためにも、いま中国の歴史に関するものを読んでいます。読めば読むほど、同じ漢字を使い、多くの文化が中国から日本に伝わってきた国でも有りますが、私たちの国、日本人とはまったく異質な国と思えるようになりました。この本はそんな興味、関心を抱くキッカケを私に与えてくれた小説でもあります。いろんな読み方があるとは思いますが、誰が読んでもその面白さは変わらない、著者が渾身の力で書いた小説であることは間違いありません。
蒼穹の昴(4) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(4) (講談社文庫)より
4062748940