蒼穹の昴

評判

蒼穹の昴の評価:

4.59/5点 レビュー 271件。 A ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.59pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全309件 221〜240 12/16ページ
No.89
(4pt)

さて第二巻は…

清朝末期を題材に西太后、李鴻章など歴史上の人物と、浅田次郎の創作である主人公・春児(チュンル)と文秀(ウェンシュウ)が登場する歴史小説ですが、第二巻は舞台がいよいよ「紫禁城」へ移ります。同郷の春児(チュンル)と文秀(ウェンシュウ)は歩む道は違えど、舞台を同じくする者同士です。小説自体は創作なのですが、歴史的事件や事実はそのままなので、当時の時代背景などの勉強にもなります。特に日清戦争が日本と清朝との戦争ではなく、日本と李鴻章の私兵とのいざこざであったこと、さらには戦争の舞台が中国本土ではなく朝鮮半島であったことなどは面白いところだと思います。第一巻の見所は科挙試験の様子と宦官の製造方法でありましたが、登場人物も増える第二巻では、やはりそれぞれの登場人物の絡み、繰り広げられる政治絵巻が見所だと言えるでしょう。ちなみにこの小説の親切なところは、登場人物を見失わないように各巻に付属の栞(しおり)に人物説明が載っているので、忘れたらいちいち確認しながら読めるところでしょう。
蒼穹の昴(2) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(2) (講談社文庫)より
4062748924
No.88
(4pt)

いよいよ最終巻

清朝末期を舞台にした「蒼穹の昴」もいよいよ最終巻です。中国が様々な部族の集合体であり、各王朝もそれぞれ異なる部族が入れ替わり立ち代わり統治してきたので、本書ではたびたび各部族の名称が登場します。その中に「韃靼(タルタル)」という部族がありますが、これはご存知「タルタルソース」のタルタルなんですね。モンゴル系の一部族タタールのことで、クラシック音楽好きの人ならロシア人作曲家であるボロディンの名曲「ダッタン人の踊り」が思い出されるのではないでしょうか?脱線してしまいましたが、第四巻の見所はあれよあれよという間に終局へ突き進んでいくスピード感でしょうか?物語の終わり方については、読まれた方それぞれが、各人各様、異なる印象を抱かれると思うので敢えて書きません。ただ私は「えっ、もう終わり?」という感想を持ちました。最終巻である本書には、ラストに陳舜臣さんの寄せ書きが掲載されていますが、これがたいへん面白かった。「圧巻」や「破天荒」などの熟語が実は科挙試験に由来した熟語であることなど、なぜそう表現するのか説明も交えて興味深い。本当は本書を手にとって読んで確認して欲しいが、ひとつだけ「圧巻」についてネタをばらしてしまうと…科挙試験の答案はたいへん長く、巻物状になって提出されます。それを採点官が採点していきますが、受験者の数も膨大ですから採点された巻物がそれこそ山のようにどんどん積まれていきます。その一番上に、一番出来の良い、つまり首席である状元の巻物が置かれます。その巻物は他の巻物を押さえつけているので「圧巻」となるわけです…。面白いですね。
蒼穹の昴(4) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(4) (講談社文庫)より
4062748940
No.87
(5pt)

さすが。

4冊、一気に読みました。寝不足になるくらい…ハマりました。浅田作品は、よく調べてあるのと、登場人物で引っ張り込まれるパターンにヤラれます。知人達にも勧めましたが、登場人物の多さでヒク人もいました^^;でも、栞で説明がきちんとされているので、まぁ、それは問題ないかと私は思います。日常を忘れつつ、仕事への信念を復活させたいときに読み直したい本になりました。
蒼穹の昴(1) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(1) (講談社文庫)より
4062748916
No.86
(4pt)

史実+フィクション

以前、ハードカバーで上下二分冊であったものが、文庫で全四冊となって登場した。物語は清朝末期の中国で、有名な西太后の時代である。映画「ラストエンペラー」で描かれる最後の皇帝溥儀よりも少し前のお話である。物語を書くにあたって著者は膨大な資料を研究したようで、宦官の作り方や、科挙試験はいかに実施されたのか…などの記述はたいへん興味深い。歴史の教科書でしか知らなかった清朝末期の時代絵巻が、まるで眼前に現れたようであった。もちろん主人公・春児や文秀など史実には登場しない人物も多く活躍するが、西太后、李鴻章、袁世凱、伊藤博文などお馴染みの歴史上の人物も数多く登場する。それら史実と想像上の人物の絡みがこの小説の面白さではないかと思う。特に田舎の糞拾いであった春児がどのように物語りに関わってくるのかが見所である。アヘン戦争などで列強に蹂躙され、領土を侵食された清朝。近代化を妨げる中国古来の「旧法=祖宗の法」を排し、近代的国家建設のために、政治改革である「変法」を行いたい科挙登第の進士たち。日本のような維新を早急に実現したい4億人(当時)もの人口を抱えた中国・清朝末期を舞台に、国が病んでもなおも輝かしい人間存在の美しさをこの「蒼穹の昴」に感じた。
蒼穹の昴(1) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(1) (講談社文庫)より
4062748916
No.85
(5pt)

大清帝国、崩壊

下巻にはいり、話の展開はそのスピードを上げてゆく。上巻ではほぼ主人公の座を動かずにいた春児(チュンル)と梁文秀(リャンウェンシウ)だが、下巻にはいると、誰を真の主人公と呼ぶべきなのか悩むほどに大勢の登場人物が、断末魔の咆哮を上げる大清帝国の落日を次々と飾ってゆく。宮廷の奥深くで、あるいは紫禁城の城壁の外で、密かに絶えることなく続けられる陰謀・企ての数々も、帝国崩壊への歯止めには全くなり得ない。人間の浅慮をあざ笑うがごとくに歴史の輪は音を立てて廻り続け、避けられない結末はまさに目前にある。自らの手で宦官となった春児も優秀な若き政治家となった梁文秀も、それぞれの道を昇り続け、やがて望まぬままに政敵の立場となって再会する。権力者西太后の側近として仕える春児と、その対抗勢力として光渚帝の擁立を画策する梁文秀。やがて、勝負にもならない政治対決を制した西太后は三たび政権の座に就き、そして清の倒壊が急速に進む。それはたとえば、西に傾く落陽を再び東の空に引き戻す事が誰にもできない、というほどに当たり前の真理なのだが、それに気づく者は少ない。著者は、強権比類なき西太后にも、貧農の名もない文盲の娘にも、軍人にも政治家にも宦官にも、等しくその人生に目を向ける。春児の口を借りて、まるで教会の司教が信者に語って聞かせるような慈愛と人間の幸福についての言葉は、深く印象に残る。激動の時代を必死に生きた人々への言葉であるだけになおさらだ。動乱と流血の100年として後世に記憶されるであろう20世紀は、東洋の大帝国崩壊とともに始まる。そして、あまりにも有名なラストエンペラー愛親覚羅溥儀の登場を待ちつつ、壮大なストーリーは静かに幕を降ろす。人間は生きる時代を選べない。その厳然たる事実が心に迫って、しばらくは感動のうねりが止まらない。
蒼穹の昴(下) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(下)より
4062080397
No.84
(5pt)

大きな歴史の渦へ

歴史の巨大な輪は、定めれた方向以外には決して廻る事はない。おそらくそれは、誰にも何にも決して影響される事のない、言わば宇宙の真理なのだろう。だから、この壮大無比な小説に綺羅星の如く次々と登場する歴史の英雄や国家の頭脳たちも、その例外とはなり得ないのだと心の底から思う。舞台は19世紀最末期の清朝。帝国は、絶命寸前の巨大な龍以外の何物でもなかった。歴史の車輪に轢きつぶされながら、それでも紫禁城を取り巻く人々はそれぞれの思惑と野心の命ずるままに奔走を続ける。君臨する西太后。従う光渚帝。清の富と大地を虎視眈々と狙う外国列強。暴発し木っ端微塵になる寸前の綱渡りのような状況の中、極貧の農家に生まれた春児(チュンル)と家族親戚から蔑まれて生きる地方豪族の次男梁文秀(リャンウェンシウ)は、星と天体に操られるようにして次第に歴史の大渦の中に巻き込まれてゆく。風雲急を告げる大陸を吹き抜けてゆく黄砂は、一瞬もやむ事がない。歴史小説ではあるものの、実在の人物が数多く登場し、ストーリー展開から目を離せない。しかも、ほんの100年前に生きた人々だから写真も多く残されていて、一層現実味のある内容に感じられる。富に憧れ、権力を望み、国を憂い、人を想う。人間はたった一度だけ与えられる自分の人生をどのように歩めばいいのか、あるいはどのように歩むよう運命づけられているのか。どれほど抵抗しても暴れても、歴史の巨大な輪がその方向を変える事はない。決してない。それでも、人は精一杯に抗って上へ上へともがき苦しむ。それを見下ろす天空の昴。まこと激しい時代のうねりが、全編に溢れている。
蒼穹の昴(上) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(上)より
4062074974
No.83
(5pt)

激動の時代、壮絶な人生

つくづく凄い小説だなと思う。まず最初から面白い。その面白さが一度も失速することなく、むしろ加速し続けて最後まで行ってしまう。特に下巻の後半はなかなか言葉にできない何ともいえない心の揺れを経験すると思う。春児、梁文秀をはじめ魅力的な登場人物がたくさん登場し、そのほか清朝末期オールスターといった感じでその描かれ方が個性的で普通の歴史小説とは感情移入の深さが変わってくると思う。歴史に不勉強な僕は、この本に出てくる李連栄を架空の人物と思っていた。最近ネットでその白黒写真を見て呆然とした。
蒼穹の昴(上) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(上)より
4062074974
No.82
(5pt)

浅田文学の最高峰

もう10年近く前、学生時代にこの本を読んだが未だ蒼穹の昴を越える歴史小説を見つけられない程すばらしい内容であった。以降、浅田次郎の本はすべて読むようになったがお涙頂戴ものの短編が多く鉄道員の2番煎じでつまらない。蒼穹の昴を越える文学を浅田が生み出せる時は来るのだろうか?今のところ蒼穹の昴で浅田は燃え尽きたように思うのは私だけであろうか・・・。
蒼穹の昴(4) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(4) (講談社文庫)より
4062748940
No.81
(5pt)

めったにない感動巨編。老若男女を問わず読まれたい。

中国清王朝末期が舞台の、まさに感動巨編小説というにふさわしい物語だ。「神に抗い 運命に立ち向かう人間 その勇気と凱歌を 私はこの物語に描いた」という、新聞広告欄にあった著者のうたい文句を見てすぐに買った。そしてすぐに読み終えてしまった。運命を決するのは、自分の心次第。他人のために、と思う気持ちの強さと大切さを感じずにはいられないはず。この本ほど、勇気と正義感と感動と希望を僕たちの中に湧き出させてくれる本は、めったにない。
蒼穹の昴(1) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(1) (講談社文庫)より
4062748916
No.80
(3pt)

良くも悪くも善人オンパレードの浅田節

前半はエンタメとして抜群におもしろい。宦官、科挙、異民族に征服されて誕生した清王朝の歩み、宿命を告げる占い婆など、中国の歴史モノに期待されるスケールの大きな道具立て満載で、徒手空拳の少年/青年二人の、運命に導かれた悲壮な出世譚を描く。いただけないのが、登場人物が増えて絵巻風になる後半。愛を知らぬ中興の祖の皇帝、国を憂う老将、列強国の記者達、国を捨てた宣教師、「確信犯の暴君」という新解釈で描く西太后、など、浅田らしい人間味あふれるキャラクターがこれでもかとばかりに大挙して登場してくるのだが、物語の根幹となる歴史のダイナミックな流れと、各登場人物の造形やプチエピソードがうまく融合せずに違和感が募っていく。急にひょうきんな幽霊にキャラチェンジする乾隆帝、愚鈍なはずが最後で突如粋な気遣いを見せる若君に変身する載沢殿下、あたりはまだしも、前半の主人公二人が完全に埋没して顔が見えなくなってしまうこと、王朝を終わらせるという重責を背負った確信犯のはずの西太后が単なる本当に愚かな老女としてしか描けていないこと、この2点が何よりも痛い。「作家の想像力を駆使した歴史の新解釈」のはずが、不出来なでっちあげに堕した挙句、歴史との辻褄合わせに終始、最後はいつもの人情節でお茶を濁した印象。新境地、野心作たりえた作品が、結果的にいつもの浅田の、「狭い範囲での、憎めない悪役や善人ばかりが登場する都合の良い人情劇」に矮小化された感がある。魅力も欠点も、実に浅田らしい作品といえるのではないだろうか。
蒼穹の昴(1) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(1) (講談社文庫)より
4062748916
No.79
(4pt)

やはり何度読んでも面白い!!

毎年恒例の旅行には、この4冊をカバンに入れ、いつも読んでいます。一気呵成に読ませる、本当に面白い本だとは思います。それぞれの人物の描き方は素晴らしいです。建隆帝、西太后、それぞれの宦官、春児、その妹玲々(なんてカワイイのでしょうか)、それに、梁文秀、中でも、李鴻章ですね、格好良いですね、この本で読んでいると、西太后を愛しているかのように感じますね。李鴻章が出てくるところが、一番生き生きと書かれていると思うのは、私だけでしょうか?何度も読んで、ようやく「蒼穹の昴」の意味が分かりました。最期の、春児が宦官になるシーンで終わっています。それは、何を暗示しているのでしょうか? このシーンが一番、印象的です。浅田次郎氏は、稀代の語り手の一人ですね。これこそ、小説の醍醐味というのを味わわせてくれる4冊だと思います。
蒼穹の昴(4) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(4) (講談社文庫)より
4062748940
No.78
(5pt)

読み終わるのがもったいない・・・

この本ほど、読みおわるのがもったいないと思った作品はありません。エンターテイメント性に富み、泣かせどころも随所に配置しながら、歴史の大局を崩すことのないストーリー展開は、もう圧巻です。この本に出会えたことに感謝しなければなりません。物語の終盤は、やはり歴史の流れを踏まえていかねばならず、ちょっと(ほんのちょっとです。)トーンダウンのような気がしましたが、それを差し引いても、十分楽しめる作品でした。浅田作品のなかでは、『壬生義士伝』と双璧をなす作品ではないでしょうか。
蒼穹の昴(1) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(1) (講談社文庫)より
4062748916
No.77
(5pt)

おもしろ過ぎて、思わず単行本を買いなおしてしまった

最初は文庫本で買って読んでいたのですが、途中で「これは我が家の永久保存文庫」と認定し、単行本を買いなおしてしまいました。近代、中国の清朝末期の話。二人の主人公の内、一方は科挙と呼ばれる超難関の国家試験をトップで合格しエリート役人に、一方は自分の未来を信じて、ある行為を行い皇后の付き人にそれぞれの人生は一点を目指して進んでいくが、絡み合う運命の中、何度もすれ違いそして終着点にたどり着く。誰が主人公か。それすらもわからないほど、各登場人物が深く広く描かれていて、物語を彩ります。この本を読み終えたころには、確実に登場人物誰かのファンになっていること間違いなし。健気に強く生きる春児に。強く生きることを強いられた西太后に。みなが強く、やさしくあろうとした人々で、誰もが愛せる人たちです。作者自身が、「この本を書くために作家になった」と言い切るのは納得です。
蒼穹の昴(下) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(下)より
4062080397
No.76
(5pt)

おもしろ過ぎて、思わず単行本を買いなおしてしまった

最初は文庫本で買って読んでいたのですが、途中で「これは我が家の永久保存文庫」と認定し、単行本を買いなおしてしまいました。近代、中国の清朝末期の話。二人の主人公の内、一方は科挙と呼ばれる超難関の国家試験をトップで合格しエリート役人に、一方は自分の未来を信じて、ある行為を行い皇后の付き人にそれぞれの人生は一点を目指して進んでいくが、絡み合う運命の中、何度もすれ違いそして終着点にたどり着く。誰が主人公か。それすらもわからないほど、各登場人物が深く広く描かれていて、物語を彩ります。この本を読み終えたころには、確実に登場人物誰かのファンになっていること間違いなし。健気に強く生きる春児に。強く生きることを強いられた西太后に。みなが強く、やさしくあろうとした人々で、誰もが愛せる人たちです。作者自身が、「この本を書くために作家になった」と言い切るのは納得です。
蒼穹の昴(上) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(上)より
4062074974
No.75
(5pt)

おもしろ過ぎて、思わず単行本を買いなおしてしまった

最初は文庫本で買って読んでいたのですが、途中で

「これは我が家の永久保存文庫」

と認定し、単行本を買いなおしてしまいました。

近代、中国の清朝末期の話。

二人の主人公の内、

一方は科挙と呼ばれる超難関の国家試験をトップで合格しエリート役人に、

一方は自分の未来を信じて、ある行為を行い皇后の付き人に

それぞれの人生は一点を目指して進んでいくが、

絡み合う運命の中、何度もすれ違いそして終着点にたどり着く。

誰が主人公か。それすらもわからないほど、

各登場人物が深く広く描かれていて、物語を彩ります。

この本を読み終えたころには、確実に登場人物誰かのファンになっていること間違いなし。

健気に強く生きる春児に。強く生きることを強いられた西太后に。

みなが強く、やさしくあろうとした人々で、誰もが愛せる人たちです。

作者自身が、

「この本を書くために作家になった」と言い切るのは納得です。
蒼穹の昴(下) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(下)より
4062080397
No.74
(5pt)

おもしろ過ぎて、思わず単行本を買いなおしてしまった

最初は文庫本で買って読んでいたのですが、途中で

「これは我が家の永久保存文庫」

と認定し、単行本を買いなおしてしまいました。

近代、中国の清朝末期の話。

二人の主人公の内、

一方は科挙と呼ばれる超難関の国家試験をトップで合格しエリート役人に、

一方は自分の未来を信じて、ある行為を行い皇后の付き人に

それぞれの人生は一点を目指して進んでいくが、

絡み合う運命の中、何度もすれ違いそして終着点にたどり着く。

誰が主人公か。それすらもわからないほど、

各登場人物が深く広く描かれていて、物語を彩ります。

この本を読み終えたころには、確実に登場人物誰かのファンになっていること間違いなし。

健気に強く生きる春児に。強く生きることを強いられた西太后に。

みなが強く、やさしくあろうとした人々で、誰もが愛せる人たちです。

作者自身が、

「この本を書くために作家になった」と言い切るのは納得です。
蒼穹の昴(上) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(上)より
4062074974
No.73
(5pt)

作者の最高傑作

少年期に強い絆で結ばれた二人が、清王朝末期の混乱において、時代に翻弄されながら、それぞれまったくちがった道のりで立身出世をはかります。弱いものは虐げられ、国を憂う理想は踏みにじられるという厳しい現実の中で、自分たちの運命を変えるために、主人公二人が権力を握るための決意をしていく過程は、強い悲壮感が漂います。また、彼らが出世のために支払う多大な犠牲については、感動的ですらあります。当時の中国の歴史が分かるのも良いですね。こういう複雑な心象風景を描ける作家はなかなかいないです。膨大な時代考証も含め作者の気合が伝わってくる名作です。
蒼穹の昴(上) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(上)より
4062074974
No.72
(4pt)

浅田氏は上手いなぁ〜けどアザトイ

中国語のピンイン表記は五月蝿い。毛沢東と西太后が同時代の空気を吸ったという事実を知らしめるのは意味あるものの、無理やり。という風に浅田氏のアザトサを上げれば切りがないものの、とはいえそれでも氏の筆力はさすが。一気に読ませる。まぁ清朝末期の小説決定版手付かずの時代に司馬の「韃靼疾風録」を参考にし、認めたのであろう。小説としては司馬の自己完結型・自己物語創作型の史観がないだけ、説教臭くなく良い。・・・結論:浅田氏は面白い、けどあざといという稀有な作家。
蒼穹の昴(4) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(4) (講談社文庫)より
4062748940
No.71
(5pt)

続きを読みたい

西太后から政権を奪取しようとする企てに敗れた皇帝と、主人公の末路が後半で描かれている。

 この話の中の「白眉」に当たるので、ネタバレになってしまうかもしれないが、清国というか中華の政権の象徴は、実は、このときには存在しなかったと言うさりげない話が、織り交ぜられており、結末を予感させる。

 この間、歴史の本では弱腰外交の象徴のように言われた李氏の思慮遠謀は、香港返還としてこの本が出るときに実現している。また、主人公と科挙の順位を争った人物が、(ネタバレで申し訳ないが)毛沢東の家庭教師になるという結末も、その後の中国の行く末を示している。

 では、若き皇帝と主人公はその後どうなったのか?そして、謎の女性チャンはどうなったのか?

 前者については、ミステリータッチで「珍妃の井戸」として後に出版されたが、他の部分は謎のまま残った。

 このことが、この本の最大の欠点で、気になって仕方ない。

 しかし、そうした続編を望ませる力量と言うものこそ、この後の名作のスタートになっていると思う。
蒼穹の昴(下) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(下)より
4062080397
No.70
(5pt)

壮大なスケールの中国近代史〜これで直木賞をとるべきだった。

まず、予断だが、前半の「科挙」の物語は、日本にこける「科挙」と言われる司法試験を受けてきたものには、日本の司法試験など科挙に比べれば、なんと簡単であったかと思わせるものがあった。 この話は、天衣無縫な地方豪族の次男が科挙に挑戦し、混乱を極める清国最後の時代の歴史の舵取りに向かうと同時に、同じ村の出身者が、宦官となって、もう一つの政権の中枢に向かっていくと言う話を、歴史の流れに沿って、壮大に描いている。西太后の評価は、歴史書とは違った「ああ、こういう見方もあるのか」と思わせるものもあるし、イタリアの画家と「四季」のビバルディーの関係など「本当かな?」でも本当らしいと思わせる迫力がある。ハードカバー2分冊の作品であるが、一気に読めるテンポのある作品である。 続きは、下巻の方で・・・
蒼穹の昴(上) Amazon書評・レビュー: 蒼穹の昴(上)より
4062074974