江戸川乱歩は執筆に行き詰まったあげく、通りかかった異人ホテルに身を隠す。

ある六月上旬の早朝、上野発青森行急行「十和田3号」を一ノ関近くの赤壁で緊急停車させた男たちがいた。

秋田の貧しい小作農に生まれた富治は、伝統のマタギを生業とし、獣を狩る喜びを知るが、地主の一人娘と恋に落ち、村を追われる。

日本橋「いせ辰」の手代・英助には誰にも言えない秘密があった。

男髷を結い、女剣士として身を立てることを夢見る知佐。

蛙一匹百両の絵が消えた…。またたく間に値のつりあがる吉祥画ばかりを狙う怪盗自来也小町。

四十二歳。円熟の十手さばき 将軍様の鷹が殺された──。

39歳独身の歩は突然会社を辞めるが、折しも趣味は映画とギャンブルという父が倒れ、多額の借金が発覚した。

天明六年。

「鳥居の赤兵衛」は大盗賊の活躍を描いた貸本屋限定・十巻ものの手書きの読本だ。

宝引の辰は千両町ではちょっといい顔の岡っ引。千種の股引に茶弁慶の羽織、帯には十手が突っ込んである。

時は寛政の改革の頃。

わしは、そのとき、蒼い炎を初めて見た。人を殺した者は蒼火を背負うというぞ―。

紋章上絵師の章次は、元恋人の賢子から「着物に蔭桔梗の紋を入れてほしい」と、20年前と同じ依頼をされる。

最高に格好いい87歳、伝説の元刑事。

竜崎伸也は、警察官僚である。現在は警察庁長官官房でマスコミ対策を担っている。

親友に“離婚した女と一緒になってくれ”と頼まれたら…?二見幸夫は、能勢陶吉の頼みを断われず、彼の元妻・波妙と奇妙な同居生活を始める。

江戸の町を見下ろす三枚の大凧には、なぜか小判が結びつけられていた…。

幕末の江戸。

泡坂妻夫。奇術師にして紋章上絵師そして推理作家。

新内節を語れる友禅差しの模様師・脇田は、旅先で三味線弾きの芸妓・彩子と出会う。