ぼくらが死神に祈る日
- 死神 (120)
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評論家のようなレビューしかありませんでしたので、この作品を誤解されてはいけないと思い筆を執ります。 こちら楽しく読了しました。 文庫本としても分厚いほうではなく、また描写力も高く(この点は長文レビューにもありましたね)、疲れることなく読めるというのは、私が重きを置いている要素です。それは質が悪い(=内容がない)という意味ではありません。最後の方のシーンでは手に汗を握るような気持ちで読んでおりました。緩急がしっかりあります。 構成が〜、登場人物の頻度が〜、省略すべきところが〜、描写すべきところが〜、などと構成にばかり目を向けるのは勿体ない! 作中でもありますが、この物語の主役は年端もいかぬ高校生です。少年少女がどんな想いで「死」と向き合うのか。何を選択するのか。 噛めば噛むほど味がしますよ! この作者様の次回作があれば手を出したいな(作家買い)のリストがまたひとり増えました(∩'∀`)∩ あとは死神さんのキャラ造詣がとても秀逸だと思いました。私は好きです! | ||||
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第27回電撃小説大賞『選考委員奨励賞』受賞作品。 物語は主人公の高校生・田越作楽が姉の葉月を交通事故で喪った場面から始まる。自分と違い誰からも愛され、それ以上に他人を愛し、助けて回る事で有名だった姉の葬儀で親ですらもが「どうして葉月の方が死ななくてはならなかったのか」と口にするのを耳にしてしまう作楽。 葬儀の後、「神様が住む」と生前に姉が教えてくれた高校裏の教会の跡地に足を運んだ作楽は、そこで「モーンガータ」と名乗る奇妙な人物(?)と接触。残りが4ヶ月となってしまう程の寿命と引き換えに葉月が蘇る事を、葉月が死んだという事実を取り消してもらう。 果たして何ごとも無かったかの如く作楽が家に帰れば葉月が待っている日常が戻ってくるが、日にちが経つにつれて葉月は「自分が生きている事の不自然さ」に気付き、かつてのスーパーウーマンぶりを失ってしまう。そんな姉を前に作楽は自らの残りの寿命が尽きるまで葉月と同様に人助けを続ける事を誓うが…… うーん?なんというか「闇鍋」を食わされた様な印象。鍋の材料として何を用意してきたかを明かさず、暗闇の中で取りあえず鍋にぶち込んでみて全体像が見えないまま煮えた材料を口にする、というアレ。作者がこのテーマを書きたいと決めたは良いけど「こんなドラマも書いてみたい」「こんな人物も出してみたい」と絞り込みが不十分なまま次から次に材料を放り込んで「結局これは何味なの?」となってしまったというか…… ストーリーの方はスーパーウーマンである姉の葉月に対してコンプレックスの塊みたいになっていた少年・作楽が自分なんか生きていても仕方ないし、と半ばヤケッパチみたいな状態で神様だか悪魔だかよく分からない存在「モーンガータ」と取引をした結果、蘇った姉が思った様なスーパーウーマンに戻らなかったので自分が代わりにスーパーマンになろうとするお話……うん、ごめん、書いていて自分もこの動機が今一つ理解できていない事がはっきりした。 姉が自分の復活に違和感を抱き元に戻らないから姉に代わって自分が人助けをしてみよう……なんだかよく分からない理屈のまま話が動き出し始めるので序盤から目を白黒させながら見切り発車みたいにして第二章へ。全四章構成なのだけど、第二章と第三章は作楽による人助けの様子が、悪意の塊みたいな「モーンガータ」と取引をしてしまった少女達の作楽による救済劇が描かれる……主要キャラと思われた葉月を舞台の端に追いやる様な形で。 こう書くと最初から最後までダメダメな作品かと思われる方もおられるかもしれないが、この中盤の人助けパートは意外に楽しめたりするので評価が難しい。「モーンガータ」に寿命を引き換えにして願いを叶えて貰った作楽の同級生の造形は妙にユニーク。特にその願い自体の「しょうもなさ」に思春期独特の青臭さが反映されている様でいい歳こいた中年としては「ほんまにもう」と呆れながらもニヤニヤさせられてしまう部分があった。 「ここぞ」という所で失敗を続けた結果、人の注目を浴びる事がすっかり苦手になった上にがこっそりと作楽たちの教室に紛れ込んでいた富士見やモーンガータと14もの契約を取り交わしてモデルやアイドルを掛け持ちするスーパー女子高生になった仲町といったヒロインとの交流パートは人物造形の独自性や短い尺の中でテキパキと話が進むスピード感も感じさせ「決して下手な作者じゃ無いんだよなあ」とは思わせてくれる。 特に富士見の過剰な自意識は悪目立ちする事を極端に恐れている様に見える最近の若い方の心象が反映されている様で「こういうのは見た事無かった」と妙に感心させられた。こういうテンプレートに収まらない人物造形が出来る人って中々貴重だし。 ただ終盤でフェイドアウト状態だった葉月が再び舞台の中央に戻ってくると今度は折角登場させたこのユニークなヒロインがあまり活用されていないのが勿体ない。結局姉弟の二人だけで決着が着くなら間に挟まれた第二章・第三章のヒロインや彼女たちと作楽が繰り広げた騒動は一体何だったの、という疑問が沸く。 言い方として正しいかどうかわからないが「作楽・葉月という姉弟の物語」と「悪魔と取引をしてしまった少女たちを助ける物語」が噛み合わないまま一つの物語の中に押し込まれている様な印象で「これなら別の話を二本仕立てた方が良かったのでは?」という気がする。 もう何回繰り返したか分からないが、「取捨選択」というのは徹底して頂きたいなあと改めて思わされる。作家を目指してこられた方なのだからアイデアが溢れて「あれも書きたい」「これも書きたい」になってしまうのはお察しするけれども、一本の物語として不自然にならん程度には不要な枝葉を落としていく作業をすっとばしてはいけないと思わされた一冊。 | ||||
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