(短編集)

ランクA病院の愉悦(ガンコロリン)

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種別
短編集
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あらすじ

2016年05月28日 ランクA病院の愉悦

とんでもない医療格差が出現した近未来の日本。売れない作家の終田(ついた)千粒(せんりゅう)は「ランクC病院」で銀行のATMに似たロボットの診察しか受けられない。そんな彼に「ランクA病院」への潜入取材が舞い込む表題作。“日本一の健康優良児”を目指す国家プロジェクトに選ばれた男の悲喜劇「健康増進モデル事業」など、奇抜な着想で医療の未来を映し出す傑作短篇集。『ガンコロリン』改題(「BOOK」データベースより)

評判

ランクA病院の愉悦(ガンコロリン)の評価:

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ランクA病院の愉悦(ガンコロリン)の総合評価:

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感想一覧

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Amazonレビュー

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No.27
(5pt)

こんな近未来は嫌だ!

映画化もされた「チーム・バチスタの栄光」「ジェネラル・ルージュの凱旋」などでお馴染みの、医師で作家の海堂尊による短編集だ。

「健康増進モデル事業」――完全な健康体を作り出す国家プロジェクトに選ばれた木佐。彼のストレスを取り除くべく、厚生労働省により上司は更迭され、競合他社を出し抜き、木佐はとんとん拍子に出世した。そんな彼に悲劇が――国家権力振り回される会社と従業員が面白くもあり、悲しくもある。

「緑剥樹の下で」――内乱で荒廃したノルガ王国で、非科学的な習慣と対峙するセイ。彼は王子の命を救うために全力を尽くすが――少しもの悲しいお話。

「ガンコロリン」――飲むだけで癌を抑制できる夢の新薬が発明された。長編シリーズでもお馴染みのサンザシ薬品が商品名「ガンコロリン」として販売開始。サンザシ薬品の株価は急騰、発見者はノーベル賞を受賞し、日本の医療構造まで変わった。しかし20年後に悲劇が訪れる――外科医療をよく知る作者ならではの痛烈な近未来SF。

「被災地の空へ」――東北地方で大地震が発生。ジェネラルルージュこと速水は現地に駆けつけるが、救護所にやって来るのは軽傷者と溺死体ばかり。取り残された医療機関からの患者搬送が必要であることに気づいた速水は、全国のドクターヘリに招集をかけるが――速水という男の生き様は、長編シリーズも合わせて読むと、より楽しめる。

「ランクA病院の愉悦」――TPP導入で自由診療になった。医療機関は、受診料が安いランクCから高いランクAまでに分類。片頭痛に悩まされている作家の終田は、ふとしたことからランクC病院とランクA病院の取材をすることに。ランクCの診療はロボットが行うが、ランクA病院の医療サービスは――“長いものに巻かれない”海堂節が炸裂する。
ガンコロリン Amazon書評・レビュー: ガンコロリンより
4103065745
No.26
(4pt)

懐かしい登場人物との再会

その後の渡海、東日本大震災時の速水が登場する。海堂作品では硬派なキャラが好きなので短編ではあるが再び彼らの動向が知れて嬉しい。
ガンコロリン Amazon書評・レビュー: ガンコロリンより
4103065745
No.25
(4pt)

近未来の医療現場の短編集だけど、メッセージは日本や資本主義の進む先への警告

近未来の医療現場の短編集です。作者も自覚してるみたいだけど、表現が助長で回りくどく感じることはある。けど、「ガンコロリン」と「ランクA病院の愉悦」は考えさせられた。とくに、最後の「ランクA病院の愉悦」

医療現場の話だけど、メッセージは日本や資本主義の進む先への警告。それがオモシロおかしく描かれている。資本主義では経済的に成長し続けないといけないし、資本家のために「情報」は流れるし、「ルール」も作られる。どんな業界でもお金がある人のほうが選択肢は多い。そうやって進んで行く日本の医療現場フィクション。

作者曰く、「私は愛国者なので日本にワクチンを売っておきたいと考えている。」
ランクA病院の愉悦 Amazon書評・レビュー: ランクA病院の愉悦より
4101333149
No.24
(4pt)

官僚への憤懣

海堂尊『ランクA病院の愉悦』(新潮文庫、2016年)は医療小説の短編集である。『ガンコロリン』を改題した文庫本である。

「緑剥樹の下で」は『ブラックペアン1988』の渡海征一郎のその後が描かれる。テレビドラマ『ブラックペアン』で二宮和也が演じて話題になったキャラクターである。『モルフェウスの領域』で日比野涼子の回想シーンで渡海らしい人物が登場していたが、やはり渡海だったのだろう。

渡海は「医療が壊れたら住民は大変な思いをする。政治と医療を分離しなければ、民は滅びてしまう」(85頁)。これはスカラムーシュの医療庁構想にも重なる。政治が医療に横槍を入れることへの著者の憤懣が感じられる。

著者は後書きでも以下のように書いている。「いいものをいじり回してダメにしてしまうのは官僚の習い性だ。官僚の意識には、病で苦しむ患者を救おうという、一番大切な気持ちがすっぽり欠けているように思えてならない」(237頁)

「被災地の空へ」は『ジェネラル・ルージュの凱旋』の速水晃一が主人公である。傲岸不遜なイメージのある速水であったが、ここでは学ぶ人になっている。

「ランクA病院の愉悦」は医療格差が進む近未来の日本を描く。病院はランクA、ランクB、ランクCと料金によって分けられる。ランクC病院は人工知能による診断しかしない。この人工知能も近年話題の機械学習のレベルではなく、if文で実装する単純なレベルである。

低所得者は、このランクC病院しか事実上受診できない。格差社会のディストピアを描く作品と想像したが、良い意味で裏切られた。価格と品質が比例するというような浅ましい拝金主義への批判になっていた。ただ価格が高いだけのサービスには意味がない。

この作品では病院のランク制はTPPのようなグローバリゼーションによって起きたとされるが、その問題は競争が起きていないことにある。競争がないから低レベルのサービスになる。むしろ市場原理を活かすことが制度設計に大切であると感じた。
ランクA病院の愉悦 Amazon書評・レビュー: ランクA病院の愉悦より
4101333149
No.23
(4pt)

軽やかな皮肉もまじり楽しく読みやすい短編集でした

特に「ランクA病院の愉悦」が気に入ってます
近い将来このような形になるのかも知れないなぁと
妙にリアルなストーリーに納得したりして・・・
医療問題も色々深刻だなと思いました
ランクA病院の愉悦 Amazon書評・レビュー: ランクA病院の愉悦より
4101333149

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