クラーク巴里探偵録
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おそらく19世紀末くらいのパリを舞台に、曲芸団の事務員たちが謎に取り組むというミステリ。 4本の短編が収められている。 ポルターガイストやトロンプルイユで扱われており、テーマ的には興味深いのだが、ミステリとしてのおもしろさは少なめだ。自作自演系のものが多いのはちょっと……。 また、改行がやたらと多いので読みにくい。地の文では、1文ごとに改行してあり、せわしない。 そこはかとなくBLっぽさが漂うのは、このひとの作品ならでは。 | ||||
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日露戦争直後の巴里。那須一座と呼ばれる日本の軽業の一座が、大評判を博していました。 中でも綱の上での座長の傘芸のみごとさは、巴里の人士の瞠目の的、ジャポニスムの余韻もあいまって、人気を集めています。 この一冊は、一座の番頭である青年、片桐孝介と、わけあって彼に近づいて助手となる山中晴彦のふたりが、ホームズとワトソンのようにいくつかの事件にかかわってゆくというものです。 1話目はポルターガイスト?と思われる謎、2話目はさる下宿の美人未亡人に近づく怪しい男の事件、どちらも当時の巴里の生活が映画のように、ノスタルジックに描写されていて、その時代が目のあたりにあらわれてくるかのようです。お金持ちの屋敷の暖炉の掃除、そして流行していた世界各地のポストカードの収集などの、時代らしいディテールが謎ときのキーになっています。 中でも3話目は、だまし絵をちりばめた建物の中での事件で、札束が絵の中に消え、トリッキーな謎ときも魅力的ですが、それ以上にこの時代と世界の古雅な味わいに魅せられてしまいます。 そして第4話。これまで伏線として張られてきた晴彦の目的が明らかにされます。孝介に近づいて、できるだけ彼を真似、なりきるようにすること。その背景にあったものは何か。 ふたりの青年の友情の背後にはある陰謀があり、実はそこにもひそかな友情という動機が介在していました。 すべてが明らかになったあとのラストでは、初めて、物語の背景をなしていた「那須一座」の芸の意味がたちあがります。 日本の技と、古き良き時代の巴里の駘蕩たる雰囲気が溶け合い、孝介と晴彦、ふたりの物語を包みます。おそらくシリーズ化されるのかなと思いますが、著者としても会心の舞台、会心の世界を描いているのではないか。 (ミステリといってもトリックが主眼ではなく、この時代の雰囲気をつかんでのエピソードという感じです。ポーによって、世界最初に探偵小説の舞台として設定されたのも巴里でした。謎ときふくめて、それへのオマージュのニュアンスも感じます。) ひねくれ者でありながら、おそろしく頭の切れる孝介、料理がうまく、一座からは孝介の「お守り」とみなされている晴彦。 ふたりのこれからを見守ってゆきたいと思います。 | ||||
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