国境の南、太陽の西

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評判

国境の南、太陽の西の評価:

4.22/5点 レビュー 233件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.22pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全375件 181〜200 10/19ページ
No.195
(5pt)

ソウルメイト

ネタバレって程じゃないけど、ちょっとネタバレしてます。
少しの情報も欲しくない人はこのレビューは読まないでください。

さて、本作ですが、
自身から一歩離れたところから自分の出来事や感情を描写してる感じが、これが村上春樹流のハードボイルドなんだと思いました。一歩離れてるところから自分の事を描写しているからこそこの主人公はとても冷めてる男のように読者の目にうつるけれど、その内面はおそらく狂人のようなものなのかもしれません。

リアルな物語だったけれど、とてもファンタジー的でもあって、どこまでが現実でどこまでが幻想なのかが最後まで分からなく読者に考える余地を与えてる感じがします。すべてが主人公の美化された初恋の像が生み出した幻想だったかの様にも思えますし、そのような伏線も思い返してみれば沢山ありました。

そして物語の内容にかなり共感しました。
主人公は人生の中で何人かの女と出会うわけですが、その何人かの女性像や相手に対しての愛の形はかなり異なるのですけれど、その全部の愛の形が矛盾するけれども僕の中にも在ったからです。物語の中盤から終盤はリアル(家庭)とファンタジー(初恋で突然現れたソウルメイト)との間での葛藤が描かれていますけれども、これにはとても共感しました。僕のような非現実的な人間にとって、リアルとファンタジーとの葛藤は一生背負って生きていかなければならない問題でもあったし、よくよく考えてみると、そこにはやはり中間的なことは許されていなかったのであったから、とても孤独です。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.194
(5pt)

ソウルメイト

ネタバレって程じゃないけど、ちょっとネタバレしてます。
少しの情報も欲しくない人はこのレビューは読まないでください。

さて、本作ですが、
自身から一歩離れたところから自分の出来事や感情を描写してる感じが、これが村上春樹流のハードボイルドなんだと思いました。一歩離れてるところから自分の事を描写しているからこそこの主人公はとても冷めてる男のように読者の目にうつるけれど、その内面はおそらく狂人のようなものなのかもしれません。

リアルな物語だったけれど、とてもファンタジー的でもあって、どこまでが現実でどこまでが幻想なのかが最後まで分からなく読者に考える余地を与えてる感じがします。すべてが主人公の美化された初恋の像が生み出した幻想だったかの様にも思えますし、そのような伏線も思い返してみれば沢山ありました。

そして物語の内容にかなり共感しました。
主人公は人生の中で何人かの女と出会うわけですが、その何人かの女性像や相手に対しての愛の形はかなり異なるのですけれど、その全部の愛の形が矛盾するけれども僕の中にも在ったからです。物語の中盤から終盤はリアル(家庭)とファンタジー(初恋で突然現れたソウルメイト)との間での葛藤が描かれていますけれども、これにはとても共感しました。僕のような非現実的な人間にとって、リアルとファンタジーとの葛藤は一生背負って生きていかなければならない問題でもあったし、よくよく考えてみると、そこにはやはり中間的なことは許されていなかったのであったから、とても孤独です。
国境の南、太陽の西 Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西より
4062060817
No.193
(5pt)

胸が熱くなる恋のドラマ。

何といえば良いのでしょう。
12歳の少年が大好きだった初恋の相手と25年ぶりに巡り合う大恋愛物語。
大人になった少年が、一人の人間として新しく更新する物語。
傷つけあいながらも幸福を求めてさまよい続ける男と女の物語。

思春期の頃に抱いた思いは、一生消えることはありません。
好きでたまらないのに、嫌われることが怖くて遠ざかったのは何故?
好きになればなるほど、怖くなっていったんですね。
忘れかけていた思いが必ず甦ってくる作品です。
『国境の南』は、ナット・キング・コールの歌の題名からとられています。
作中で、使われているのが『スタークロスト・ラヴァーズ』というデューク・エリントンの曲です。
不運な恋人、という意味で、ロミオとジュリエットを言い表している言葉だと解説されています。
胸が熱くなる恋のドラマでした。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.192
(5pt)

胸が熱くなる恋のドラマ。

何といえば良いのでしょう。
12歳の少年が大好きだった初恋の相手と25年ぶりに巡り合う大恋愛物語。
大人になった少年が、一人の人間として新しく更新する物語。
傷つけあいながらも幸福を求めてさまよい続ける男と女の物語。

思春期の頃に抱いた思いは、一生消えることはありません。
好きでたまらないのに、嫌われることが怖くて遠ざかったのは何故?
好きになればなるほど、怖くなっていったんですね。
忘れかけていた思いが必ず甦ってくる作品です。
『国境の南』は、ナット・キング・コールの歌の題名からとられています。
作中で、使われているのが『スタークロスト・ラヴァーズ』というデューク・エリントンの曲です。
不運な恋人、という意味で、ロミオとジュリエットを言い表している言葉だと解説されています。
胸が熱くなる恋のドラマでした。
国境の南、太陽の西 Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西より
4062060817
No.191
(5pt)

失ったものは二度と取り戻せない

そんなに頻繁ではないが、無性に読みたくなる佳作。単行本の表紙にはレコードの
取り扱い方法が記載されている。CD がほぼメンテナンスフリーなのに対してレコードは、
ひどいときには内袋から取り出した瞬間に静電気でほこりまみれになってしまう。
(宇宙戦艦を彷彿させる)静電気除去装置や乾/湿式クリーナはもちろんパックや
洗浄まで行い細心の注意を払っているのにもかかわらず(だからこそ?)、緊張のあまり
手が震えてレコード針を盤上に落として傷つけてしまうことがある。しかし失わない
術はなく、失わないモノもない。この葛藤は自分自身が失われることで終わる。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.190
(5pt)

私小説

私がこれまで読んできた村上春樹は羊、ねじまき鳥、1Q84、とちりばめられた謎がページを追うごとに解明されていく、
もしくは進められていく、ミステリーのような長編作ばかりだった。
どれも抽象的でいて、重要な本質を内に含ませる村上春樹独特の文体で創りだされてはいたけれども
これらにはストーリーがあり、冒険があり、どきどきわくわくしながら続きをめくってしまうものだった。

しかしこの「南の国境、太陽の西」はそれらとは少しばかり雰囲気が異なっていた。
なんていうか、純文学なのだ。
しかもこれまでに読んだ村上春樹の中でも、彼の人生が沢山につまっているように感じる。
ん、これは以前にも感じたことがあるエネルギーの色だ。
それは太宰治の人間失格を読んでいたときだった。

これはもしかして村上春樹の私小説なのではないだろうか。

太宰治の私小説と異なると感じた部分は、それは流石村上春樹とでも言えば良いのか、これこそが村上春樹を成しているとでもいえばいいのか
その物事の本質のみを抜き出す抽象的な文体だ。

人間が成長するにつれて「普通」になっていく、まるで魔法が解けていくみたいに。
そこから感じる空白や虚無感。そして具体的に自己に迫ってくる孤独。好きな音楽を好きと思えなくなってくることによる恐怖。
どんな形にもなりえた少年時代が、歳をとり大人になるにつれてセメントのように固まっていく。
これで、いいのだろうか。何が正しいのだろうか。自分とはいったい何者なのか。
数多くの失敗、そこから努力次第で新しい立派な自分に生まれ変われる。
そのために捨ててきた、多くのモノたち。まだ、間に合う。大丈夫…。

そこに現れたのは昔から変わらない島本。
12歳のころから変わらない音楽や読書の趣味を持つ彼女に焦り
自分の事を変わらないねと言ってくれる彼女に安心し、
また僕は同じ過ちを繰り返すのだ。

どうやっても、自分は自分でしかありえない。
努力したところで自分は自分なのだ。
自分を受け入れなくては話は進まない。自分は作っていくものなのだ。
捨てて生まれ変わることなんてできない。

全てを抽象化しているからこそ、物事の一番重要な本質が光っている。
さまざまな要素がどんな経験にも感じられる。

太宰治のように、一人の人間をくっきりはっきりと思い浮かばせることのできる主人公ではありません。
現実にこのような人はいない、でも、抽象的で本質的であるからこそ誰にでもなりうる。そんな主人公のように感じます。

きっと、いくつになっても何十年後になって私がこの話を再び読んだとしても
また同じことを思い、辛くなり
しかし同じことを思う自分に安堵するのだろうと思います。

とても良い本でした。ありがとうございました。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.189
(5pt)

初めて本を購入

文庫になった村上春樹さんの長編を買い忘れていると気づいて、アマゾンで初めて買った本がこれでした。磨き上げているのかと思ったほど、ピカピカの状態で配達されてきました。既にハードカバーで読んでいましたが、再読すると新たな発見があり、楽しくなりました。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.188
(5pt)

失ったものは二度と取り戻せない

そんなに頻繁ではないが、無性に読みたくなる佳作。単行本の表紙にはレコードの
取り扱い方法が記載されている。CD がほぼメンテナンスフリーなのに対してレコードは、
ひどいときには内袋から取り出した瞬間に静電気でほこりまみれになってしまう。
(宇宙戦艦を彷彿させる)静電気除去装置や乾/湿式クリーナはもちろんパックや
洗浄まで行い細心の注意を払っているのにもかかわらず(だからこそ?)、緊張のあまり
手が震えてレコード針を盤上に落として傷つけてしまうことがある。しかし失わない
術はなく、失わないモノもない。この葛藤は自分自身が失われることで終わる。
国境の南、太陽の西 Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西より
4062060817
No.187
(5pt)

私小説

私がこれまで読んできた村上春樹は羊、ねじまき鳥、1Q84、とちりばめられた謎がページを追うごとに解明されていく、
もしくは進められていく、ミステリーのような長編作ばかりだった。
どれも抽象的でいて、重要な本質を内に含ませる村上春樹独特の文体で創りだされてはいたけれども
これらにはストーリーがあり、冒険があり、どきどきわくわくしながら続きをめくってしまうものだった。

しかしこの「南の国境、太陽の西」はそれらとは少しばかり雰囲気が異なっていた。
なんていうか、純文学なのだ。
しかもこれまでに読んだ村上春樹の中でも、彼の人生が沢山につまっているように感じる。
ん、これは以前にも感じたことがあるエネルギーの色だ。
それは太宰治の人間失格を読んでいたときだった。

これはもしかして村上春樹の私小説なのではないだろうか。

太宰治の私小説と異なると感じた部分は、それは流石村上春樹とでも言えば良いのか、これこそが村上春樹を成しているとでもいえばいいのか
その物事の本質のみを抜き出す抽象的な文体だ。

人間が成長するにつれて「普通」になっていく、まるで魔法が解けていくみたいに。
そこから感じる空白や虚無感。そして具体的に自己に迫ってくる孤独。好きな音楽を好きと思えなくなってくることによる恐怖。
どんな形にもなりえた少年時代が、歳をとり大人になるにつれてセメントのように固まっていく。
これで、いいのだろうか。何が正しいのだろうか。自分とはいったい何者なのか。
数多くの失敗、そこから努力次第で新しい立派な自分に生まれ変われる。
そのために捨ててきた、多くのモノたち。まだ、間に合う。大丈夫…。

そこに現れたのは昔から変わらない島本。
12歳のころから変わらない音楽や読書の趣味を持つ彼女に焦り
自分の事を変わらないねと言ってくれる彼女に安心し、
また僕は同じ過ちを繰り返すのだ。

どうやっても、自分は自分でしかありえない。
努力したところで自分は自分なのだ。
自分を受け入れなくては話は進まない。自分は作っていくものなのだ。
捨てて生まれ変わることなんてできない。

全てを抽象化しているからこそ、物事の一番重要な本質が光っている。
さまざまな要素がどんな経験にも感じられる。

太宰治のように、一人の人間をくっきりはっきりと思い浮かばせることのできる主人公ではありません。
現実にこのような人はいない、でも、抽象的で本質的であるからこそ誰にでもなりうる。そんな主人公のように感じます。

きっと、いくつになっても何十年後になって私がこの話を再び読んだとしても
また同じことを思い、辛くなり
しかし同じことを思う自分に安堵するのだろうと思います。

とても良い本でした。ありがとうございました。
国境の南、太陽の西 Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西より
4062060817
No.186
(5pt)

初めて本を購入

文庫になった村上春樹さんの長編を買い忘れていると気づいて、アマゾンで初めて買った本がこれでした。磨き上げているのかと思ったほど、ピカピカの状態で配達されてきました。既にハードカバーで読んでいましたが、再読すると新たな発見があり、楽しくなりました。
国境の南、太陽の西 Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西より
4062060817
No.185
(5pt)

人生の参考書

この本を読んだのは二十歳の時でした。
村上春樹は当時、読者とのメールのやり取りをまとめてサイトにアップしていて、そこでこの本を読んだ読者の感想に村上氏自身が解答していました。

ここのレビューにもあるように年を追うごとに理解が深まり共感ができる本だとあったので、当時若かった自分は、もしかしたら未来の自分の姿がこの本の中にあるのかもしれないと考え何十回も読み返し頭の中に叩き込みました。

年を重ねるという事は今まで自分が選択してきたものに押しつぶされていったり、自分が生み出した次の世代の肥やしになっていく事であり、愛する人や子供や成功したビジネスがその選択を正当化する理由にはなりえても、最後に待っているのは責任であり、十分に成熟していないとその責任に耐え切れず夢に逃げてしまう場合が多々あるのでしょう。

人間は状況に流されて自分に合わないものを選択してしまったり、無理に相手に合わせてしまったりしながら膨大な時間を過ごしてしまいます。そいうことを若いうちに気がつくことができました。

周りには不倫で家庭を崩壊させていったり、夢を追って無鉄砲な賭けにでて大やけどしたり、お金を手にしても自分の時間が全くなくなってしまったりする大人であふれかえっています。

辛い時、寂し時、飢え渇いている時、妥協した決断はしない方がいいのかもしれないと思いました。そして妥協しないのであれば腹を括る覚悟も必要です。
もしはじめが寂しさに耐え抜き独身で36歳までいればどこかでまた島本さんと結ばれたかもしれないのですから。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.184
(5pt)

人生の参考書

この本を読んだのは二十歳の時でした。
村上春樹は当時、読者とのメールのやり取りをまとめてサイトにアップしていて、そこでこの本を読んだ読者の感想に村上氏自身が解答していました。

ここのレビューにもあるように年を追うごとに理解が深まり共感ができる本だとあったので、当時若かった自分は、もしかしたら未来の自分の姿がこの本の中にあるのかもしれないと考え何十回も読み返し頭の中に叩き込みました。

年を重ねるという事は今まで自分が選択してきたものに押しつぶされていったり、自分が生み出した次の世代の肥やしになっていく事であり、愛する人や子供や成功したビジネスがその選択を正当化する理由にはなりえても、最後に待っているのは責任であり、十分に成熟していないとその責任に耐え切れず夢に逃げてしまう場合が多々あるのでしょう。

人間は状況に流されて自分に合わないものを選択してしまったり、無理に相手に合わせてしまったりしながら膨大な時間を過ごしてしまいます。そいうことを若いうちに気がつくことができました。

周りには不倫で家庭を崩壊させていったり、夢を追って無鉄砲な賭けにでて大やけどしたり、お金を手にしても自分の時間が全くなくなってしまったりする大人であふれかえっています。

辛い時、寂し時、飢え渇いている時、妥協した決断はしない方がいいのかもしれないと思いました。そして妥協しないのであれば腹を括る覚悟も必要です。
もしはじめが寂しさに耐え抜き独身で36歳までいればどこかでまた島本さんと結ばれたかもしれないのですから。
国境の南、太陽の西 Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西より
4062060817
No.183
(5pt)

一人っ子の、一人っ子による、一人っ子のためのとても一人っ子な作品です。

村上春樹さんの作品は、これまでほとんど読みましたが、もしも一つだけ選ぶとしたらダントツでこの作品を挙げます。
 もちろん、『ノルウェイの森』や 『ねじまき鳥クロニクル』なども傑作だとは思います。
 が、私は断然にこの『国境の南、太陽の西』です。
理由は至ってシンプルなもので、それは私が作中の主人公と同じように一人っ子だからです。

 2012年には珍しくありませんが、私(現在、29歳)の子どもの頃はまだ、作中と同様に一人っ子は珍しく、クラスに一人か二人でした。
 そのことに疎外感や劣等感を抱いて育ったわけではありませんが、作中で描かれる一人っ子の心情や考え方について、共感する部分は私自身とても多く、高校生の頃に初めて読んだ時には、一人っ子のことを言語化する作品にようやく出会うことができたのだと感銘を受けました。

 それ以来、この作品は、母子家庭の少年を爽やかに描いた山田詠美さんの『僕は勉強ができない』と並び、私の読書史における金字塔的な存在となりました。

 現在は、少子化の流れを受けて、一人っ子も市民権を獲得し、作中で描かれる一人っ子の持つ希少性(そうしたものがあるとしたらの場合ですが)は、わかりにくく、伝わりにくいものになりつつあります。

 それは、一人っ子とはとても対照的な存在である子だくさんの大家族をテーマにしたドキュメンタリー番組が多く放送され、一般の耳目を集めていることからも明らかだと思われます。
 現在は、一人っ子であることよりも、兄弟が多いことが特異性を獲得してしまったのです。

 もう十年も経てば、一人っ子であることは、今以上に当たり前になり、集団における多数の地位を占めるでしょう。残念なことですが、この作品の時代性も序々に失われてしまうわけです。が、その時になったらなったで、私はまた、『国境の南、太陽の西』の描く一人っ子の希少性がわかる一人っ子として、自らに希少性を見い出すために再びこの本を手にとるのではないかと思っています。
国境の南、太陽の西 Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西より
4062060817
No.182
(5pt)

一人っ子の、一人っ子による、一人っ子のためのとても一人っ子な作品です。

村上春樹さんの作品は、これまでほとんど読みましたが、もしも一つだけ選ぶとしたらダントツでこの作品を挙げます。
 もちろん、『ノルウェイの森』や 『ねじまき鳥クロニクル』なども傑作だとは思います。
 が、私は断然にこの『国境の南、太陽の西』です。
理由は至ってシンプルなもので、それは私が作中の主人公と同じように一人っ子だからです。

 2012年には珍しくありませんが、私(現在、29歳)の子どもの頃はまだ、作中と同様に一人っ子は珍しく、クラスに一人か二人でした。
 そのことに疎外感や劣等感を抱いて育ったわけではありませんが、作中で描かれる一人っ子の心情や考え方について、共感する部分は私自身とても多く、高校生の頃に初めて読んだ時には、一人っ子のことを言語化する作品にようやく出会うことができたのだと感銘を受けました。

 それ以来、この作品は、母子家庭の少年を爽やかに描いた山田詠美さんの『僕は勉強ができない』と並び、私の読書史における金字塔的な存在となりました。

 現在は、少子化の流れを受けて、一人っ子も市民権を獲得し、作中で描かれる一人っ子の持つ希少性(そうしたものがあるとしたらの場合ですが)は、わかりにくく、伝わりにくいものになりつつあります。

 それは、一人っ子とはとても対照的な存在である子だくさんの大家族をテーマにしたドキュメンタリー番組が多く放送され、一般の耳目を集めていることからも明らかだと思われます。
 現在は、一人っ子であることよりも、兄弟が多いことが特異性を獲得してしまったのです。

 もう十年も経てば、一人っ子であることは、今以上に当たり前になり、集団における多数の地位を占めるでしょう。残念なことですが、この作品の時代性も序々に失われてしまうわけです。が、その時になったらなったで、私はまた、『国境の南、太陽の西』の描く一人っ子の希少性がわかる一人っ子として、自らに希少性を見い出すために再びこの本を手にとるのではないかと思っています。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.181
(5pt)

村上春樹の長編入門に良いかも

基本的に村上春樹を読み始めたい人には「めくらやなぎと眠る女」や「象の消滅」あたりの短編集をオススメしていますが、初めてだけどどうしても長編を読みたい!という人にはこの作品をオススメします。

「ねじまき鳥クロニクル」から枝分かれして生まれた本作は、村上春樹の長編の中では珍しく“王道”で非常に読みやすいです。それでいて村上春樹らしさも薄味ながら溶け込んでいるので、入門編としてはベストなんじゃないでしょうか。(ちなみに濃い味をご所望の方には「ねじまき鳥クロニクル」をオススメしています)
終始暗い雰囲気はあるのですが、それでも描写は鮮やかなんですよね。
切ない物語ですが、どこか生命力を与えてくれます。
少し前には「秒速5センチメートル」というアニメーション映画が明らかにこの作品と似ていて(というか、全く同じセリフがあります)一部で話題になりました。
パクられるのも魅力があるからだと思います。
文句なくオススメです。
国境の南、太陽の西 Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西より
4062060817
No.180
(5pt)

村上春樹の長編入門に良いかも

基本的に村上春樹を読み始めたい人には「めくらやなぎと眠る女」や「象の消滅」あたりの短編集をオススメしていますが、初めてだけどどうしても長編を読みたい!という人にはこの作品をオススメします。

「ねじまき鳥クロニクル」から枝分かれして生まれた本作は、村上春樹の長編の中では珍しく“王道”で非常に読みやすいです。それでいて村上春樹らしさも薄味ながら溶け込んでいるので、入門編としてはベストなんじゃないでしょうか。(ちなみに濃い味をご所望の方には「ねじまき鳥クロニクル」をオススメしています)
終始暗い雰囲気はあるのですが、それでも描写は鮮やかなんですよね。
切ない物語ですが、どこか生命力を与えてくれます。
少し前には「秒速5センチメートル」というアニメーション映画が明らかにこの作品と似ていて(というか、全く同じセリフがあります)一部で話題になりました。
パクられるのも魅力があるからだと思います。
文句なくオススメです。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.179
(4pt)

満たされないもの

一人っ子だった主人公の少年時代、同じ一人っ子だった女の子との淡い初恋がスタートです。
主人公の性格やこだわりはこれまでの村上作品の主人公と共通するものがある。
恋人ができても初恋の人を忘れられず、それでもようやく何を感じた相手と結婚する。
仕事も家庭も順調だったある日、初恋の相手と再会した。
謎めいた美女になった彼女との関係は、仕事と家庭をすべて捨てる決意をした夜に終わりを迎える。
かなり露骨な性描写もあるけれど、それがあくまで肉体だけではなく精神的なものへと発展しているのが文学なのでしょうか。
心の中にある満たされないものをリアルに描き出していた。
それにしても初恋の人はあまりにミステリアスだったけどね。
国境の南、太陽の西 Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西より
4062060817
No.178
(5pt)

一人っ子必読。

主人公が最後に妻にむけて話す言葉が、最高に心を打つ。
本当に大好きな作品。

国境の南、太陽の西 Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西より
4062060817
No.177
(4pt)

純恋愛

現実的なストーリーであるが、幻想的でもある。

恋愛で得る、感動と経験。失った代償としての欠落感、喪失感。
二度と会えないと思った人物と巡り合える奇跡と激情。

一見、分かりやすく、しかし読書後は何か見落としてしまった気がする。浅いのか深いのか、現実的なのか、幻想的なのか。よく分からないが、傑作であることはなんとなく分かった。


国境の南、太陽の西 Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西より
4062060817
No.176
(5pt)

村上春樹の私小説めいた

村上春樹の奥さんが、彼の作品の中で一番好きな作品と評した本。(の、はず。出典がわからなくて恐縮ですが・・。記憶違いだったらすみません。)で、それをきっかけに読みました。
村上春樹作品は「海辺のカフカ」「ねじまき鳥・・」以外は、ほぼ読んでいるのですが、これは読み逃していました。

村上春樹作品は、「幻想フィクション(設定が現実離れしている)」「現実フィクション(現実的な設定)」「エッセー・対談・ルポ等のノンフィクション」と大きく大別できるように思うのですが、この本は2番目の「現実フィクション」です。

「ノルウェーの森」も現実フィクションだったのでとっつきが良かったのですが、この「国境の南、太陽の西」も読みやすかったです。
女性は、「村上春樹作品は読みにくい」と思っている人が結構いるように思います。それは、村上春樹の「幻想フィクション」モノが苦手なのではないでしょうか?
実は、私も昔から村上春樹作品を読んでも読んでも面白さが腹に落ちず、「ノルウェイの森」で初めて「面白い!」とようやく思えた人間です。その後は「村上春樹ノンフィクションもの」を読んで、「幻想フィクションもの」もようやく面白いと思えるようになりました。

村上春樹の奥さんが「この本が好き」と言っていたのもの分かる気がします。

内容は非常に私小説めいています。太宰治が繰り返し自分をモデルにしたような作品を書いていますが、それに近いものを感じます。

この本を読む前に村上春樹 インタビュー集「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」を読みましたが、その中で、「様々な文体にチャレンジしながら作品を書いている」とありましたので、この作品は、いわば「私小説文体」とでもいうものではないかと。

結論としては、読みやすく、飽きることなく集中して楽しんで読めた本です。(別に楽しい内容ではないですが)
「村上春樹の面白さが分からない!」と周りの女性に言われてしまうムラカミファンの男性陣は、「ノルウェイの森」又はこの本を薦めてムラカミ作品とっつきにすることをお勧めします。
国境の南、太陽の西 Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西より
4062060817