きみとぼくの壊れた世界
評判
きみとぼくの壊れた世界の評価:
3.75/5点 レビュー 60件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全83件 21〜40 2/5ページ
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きみとぼくの壊れた世界の評価:
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読んでみて、「意外にオーソドックスな推理作家さんなのだ」と感じました。(ただ、高齢者には登場人物の造形が、「自分の過去の物語体験」のなかに似たものを見出せず、イメージしづらい、という難点があります。たとえばヒロインの少女が、自分のことを「僕様ちゃん」と呼んだりします。)
そこで、この「きみとぼく」も読みたくなったのですが、現行の新書版にはどうしても表紙に抵抗があり、結局古書のハードカバーを入手しました。
歌謡のようなリフレインが、文章のなかにときおり現れる文体の作家さんですが、この作品ではそこに装飾部分が盛り込まれ、句読点も減らされ、速いスピードで文章が流れていきます。そして小説の中では、「若者の衒学」がたっぷりと描かれています。
その二作だけで印象を決めるのは乱暴なのですが、この人の小説には、中心に常に「一人称の人物の懊悩」があって、それがミステリーとは別に、独立した流れになっているのじゃないか、と感じました。(その人物は冷静なので、はためには悩んでいるように見えないけれど。)
ミステリーはミステリーで、別の流れで存在し、決着へ向かっていきます。(そして、この本で書かれる「ミステリそのもの」は、目新しくはないけれど、「押さえるべきところをきちんと押さえている」のじゃないか、という感じがしました。)
一人称の人物の「懊悩」は、この物語のなかの「現実のトラブル」と、もうひとつ、「人間が、特別な異性と心を結びつけたいと望む気持ち」とに、向かっている気がします。
相手の異性が自分に好意を持ってくれていることはさほど問題でなく、肉体の結びつきもあまり視野になく、それでも一人称の人物は、その特定の異性との「同化」を、心底にもとめています。
そしてこの作家さんは、その「同化の瞬間」を実際に持つことのない男女に、なんらかの形で見えない精神世界での同化を獲得させようとしていて、その触媒として「ミステリーの謎解き」がある、という小説を書いている人なのじゃないか、という気がしました。
この物語では、「一人称の人物」の思考は、論理にかたむきすぎる、少しゆがんだものとして感じられるのですが、その「一人称の人物」の、天秤の反対側にいる「病院坂黒猫」という少女探偵が、逆方向にバランスをとる役割を果たして、ゆがんだなかでの、ひとつの「悲喜劇」を完成させています。
私の買った古書の奥付は2007年初版、「2003年に刊行されたノベルスを底本に、加筆訂正を行ったものです」と書かれています。
(現行のノベルスは、中身はどちらになっているのでしょうか…?)