木乃伊男
評判
木乃伊男の評価:
3.38/5点 レビュー 8件。 D ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1〜10 1/1ページ
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木乃伊男の評価:
3.38/5点 レビュー 8件。 D ランク
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舞台設定は、やや時代がかって大仰です。語り手の主人公・布部正男は、21歳の大学生です。布部家には、一代で財を成した曾祖父の代から伝わる、木乃伊男に関する怖ろしい伝説があります。曾祖母に誘惑され、性病をうつされた挙句に解雇された庭師・下田が、溶け出した顔を包帯で覆った木乃伊男の姿で今も生きており、布部家の子孫を根絶やしにすべく、機をうかがって布部家の周辺を徘徊しているというのです。そんな不気味な伝説とは裏腹に、隣に住む加賀美家の姉妹は美しく、しかも主人公は、姉・美玲香とすでに婚約しています。ある朝、療養中の病院で主人公が目覚めると、隣のベッドには木乃伊男が眠っていました。これを発端に、主人公のまわりで、不審な出来事が次々に起こりはじめます。……
著者のやや無骨な文体は、「六とんシリーズ」のようなバカミステリに最も似合っています。江戸川乱歩も顔負けのおどろおどろしい設定や、ラスト近くで散りばめられるセンチメンタリズムは、どうも著者の文体とは、ずれている気がしてなりません。里中満智子のイラストも、本文の雰囲気といまいちそぐわない。イラスト自体は、それなりに凝った使い方がなされています。木乃伊男の正体を描くだけでなく、謎解きのヒントが隠されていたり、最後の1枚には、ちょっとしたどんでん返しさえ隠されています。それだけに、このちぐはぐさには、残念な感じが残ります。
「木乃伊男は誰か」というのが、この作品の主軸です。木乃伊男の正体は、何度となく暴かれ、しかもその都度別人です。なかには、「ほう、そうきたか」と唸らされるような箇所もあり、作者の思考の汗を感じとることができます。この点に絞って言えば、平均的なミステリよりも面白く、読み応えもあるかもしれません。正直なところ、この著者は、いつも本文とは別のところで奇を衒い過ぎるような気がします。「絵で犯人がわかる」などというのは余計です。よく練られているにもかかわらず、何かがずれています。
ベンチに腰掛けた人物の後ろ姿が描かれた最後のイラストの意味には、気が付かない読者も多いかもしれません。右手の癖です。主人公は気が付くのか……。