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氾濫の家
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氾濫の家の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.86pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
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『氾濫の家』(佐野広実著、講談社)のページを繰りながら、いらいらしっ放しだったことを白状します。 いらいらの原因の第1は、主人公の新井妙子です。郊外の住宅地に住む50代の専業主婦だが、結婚以来、自己中心主義、男尊女卑の見本ともいうべき夫から精神的苦痛を与えられ続けたため、「『自分』がすり減っていく」のを自覚しながら、何もできない不甲斐なさに、いらいらさせられたのです。 原因の第2は、本書の全篇に漲るヘイトの実態と、いそいそとそれを実行する人間たちの群れです。妙子の夫・新井篤史が勤める新浪建設がヘイト社長に率いられたヘイト企業で、篤史は企業の汚れ仕事を担当する課の課長なのです。ヘイト企業や、汚れ仕事を秘密裏に請け負う業者だけでなく、政治家や警察までがヘイトに加担している情けない実態に、いらいらさせられたのです。 原因の第3は、「『自分』がすり減っていく」人間を救うシステム、「すり減ってしまった『自分』を取り戻す」システムが確立されていないことです。何とかできないのかといらいらさせられたのです。 篤史の論理。「新浪建設の後ろには政府がついているんだ。つまり、この再開発は政府の方針だ。政府の方針に盾突くやつは叩き潰せ。こんなやつらに好き勝手をされてたまるか。年寄りは早く割腹自殺しろ。ガイジンは強制送還だ。女どもは黙ってろ」。 中堅どころの新浪建設の社長・新浪信三の発言。「外国人はなにを考えているかわからないから雇用するのは危険だ。障碍者が会社の役に立つとは思えないのに、なぜ一定数雇用しなくてはならないのか。女は結婚して妊娠すれは辞めていくし、こどもを生み育てるのが仕事なのだから、会社内で重要なポストにつけることなど問題外だ」。 政府支持の経済学者(大学教授)・正木芳光の主張。「正社員を削減して派遣社員ばかりにすることで経済は活性化する」。 警察の内実。「穏健な組織に対しても、警察庁全体が『政府に対抗する組織』として注意を払っていた。中には内実をたしかめもせず『極左暴力集団』と目している警察関係者も少なくはない」。「民族が違うから『犯罪に手を染める危険がある』」。 ヘイト意識の根絶、差別の撤廃、外国人の人権遵守――の難しさを再認識させられました。 あまりにいらいらし過ぎたので、新井家の隣家の正木芳光刺殺事件の犯人は誰かというストーリー展開、篤史が画策した企業を守るための汚れ仕事の恐るべき顛末などに意識を集中するのに、いささか苦労しました。 | ||||
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材料多すぎて調理に失敗した見本。 作者の言いたいことは分かりすぎるくらいわかるが、それをストレートに説明してどうすんの? 料理=作品ってのは、食べたときに、ああ、なるほどってならなきゃ。 食べる前からこんな料理作りますって説明してるけど、食べてみたら全然美味しくない。 ここからネタバレ 妙子が不審者を見て黙ってるのありえないよ。 もしそうならちゃんとした必然性がなきゃ。 精神疾患ゆえになんてのは都合良すぎ。 犯人の薬剤師もそう。 妹の自殺を逆恨みして、しかもすでに死んでいる相手を刺す? んで、その話を姿を見られた妙子に聞いて欲しい? まぁ他にもありすぎて書ききれないです。 ここまで酷くても、登場人物が魅力的だったり、キャラが立っていればまだ救いはあったと思うけどそれもないしなぁ。 とにかく作者の都合の良いように適当に書かれた中身の薄っぺらな作品になっちゃった。 これ講談社だよね??? | ||||
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ミステリー小説のていでいて、ミステリーでもなんでもない 別になんのトリックもなければ、隠ぺい工作もない単純な事件なのになぜか警察の捜査は行き詰まるが、小説の中心はそこにはなく、隣の家の家族に起きる さまざまなトラブルを描くことに主題がおかれている。冒頭の事件は 傍らに置いて、作家さんが自分の政治思想を主張するためだけにストーリーが展開される。 しかし、その主張がいかにも古臭い、ヘイトや引きこもりなど 近年の話題をとりこんで今どき風にしたてあげようとしているが、政治家と癒着した土建屋が悪辣な行為を繰り返すという、もう何十年も前から描かれてきたステレオパターンが根底にあり、もう昭和臭、加齢臭がひどい。資本主義を推奨する経済学者のせいで、貧困な人が死に追いやられていることが犯罪の動機だったりして左翼臭までする。悪臭ぷんぷん、臭すぎる小説でした。 | ||||
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あるある、もしくはあるかも知れないリアル感で読んでいたが 急に日常とはかけ離れた「いつの時代?」みたいなのが入ってきてしまい 落差が激しく醒めちゃった… 結局読後感は なんで高卒で派遣行くかなあ。成績良ければ高卒枠の正社員採用あるだろうに カッコいい仕事じゃないかも知れんが、最初はきついし安いかも知れんが、 将来の頭打ちはあろうが、コツコツやりゃそこそこ安定するのに …に帰してしまった 概ね楽しみました | ||||
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終始にわたって不穏な空気が漂っている。 人権問題、レイシスト、ヘイトに警笛を鳴らしたサスペンス。 それは見た目は普通で身近な家庭でさえも、会社でも起こっていると。 そして、その行為を受けて、”徐々に自分というものがすり減っていく”のだと。 勇気を出して。 | ||||
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氾濫の家 佐野広美 家父長制をテーマにした社会派サスペンス。400ページ以上あったけど文章のうまさが後押ししてくれて一気読み。本作には今の価値観ではありえない挙動の人物が二人ほど登場するのだけど、今どきこんなのいるかと思えるクズっぷりで読んでてくらくらする。もっとも数十年ぐらいで人の価値観が大きく変化することはないだろうから全国にこういう人物が大量にいると思うと恐怖。犯人の動機と行動がちょっと共感できなかったけど、主人公の精神の変容が終盤で綺麗に描写されていて救われる。 | ||||
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隣家で殺人事件が起こり、その時刻に犯人を目撃していたかもしれない主婦が主人公の話です。 ただの隣の家というだけで、それほど付き合いもない家庭に起きた事件なのに、この隣家の主婦、妙子の気持ちにじわじわと影響を与えるようになります。 今までアタリマエとして洗脳されてきた行動を見直すきっかけとなり、妙子自身が変わっていくのです。その変化が面白い。 この事件を積極的に捜査している加賀美刑事が、またいい味出しています。 本自体は400ページ弱と結構長いんですよね。でも、それが気にならないくらいサクサク読めます。 家庭内で自分の意見が無視され続けていても「和を以て貴しとなす」を最優先とすべきとの洗脳を受けている(かもしれない)方や、日頃から自分を押し殺して生きているな、と思われる方には特にお勧めの本です。 | ||||
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