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夢の夢
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夢の夢の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.86pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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この『鎌倉河岸捕物控』シリーズ、言っちゃ悪いが、中子供向けライトノベルの水準。 だが、本編『夢の夢』は一皮剥けたというか、一段レベルが上の大人の読み物になっている。 現代物であれ、時代物であれ、こういう推理もの分野の小説は、やはり、「悪役=本編では、秋乃という名の女性」が読者を引きつける魅力のある「悪(わる)」なことが面白く読ませるキーポイント。本編、このシリーズ一連のなかで一番の出来といってよく、文庫本1冊が一つ物語の長編だが最後まで一気に読み通してしまった。 むろん、例によって、おかしなところも些かディテールの部分になくはないが、このレベルになっていると、そんな時代考証の細かい傷など大して気にならないほど読ませる魅力があるし、何よりも評価したいのは、ちゃんとストーリーの舞台になった現地を作者がロケハンして本編を書いている点。小学校1年の遠足で行ってからこっち、あのあたりは何十遍となく足を運んで好く知ったところ。コチトラの土地勘にピタリ嵌って、地図の上の知識だけで書いた「道行き」じゃないリアリティーを感じるね。 この鎌倉河岸シリーズ、毎度、「金座裏ご一統様」の「お江戸の地理不案内」にウンザリさせられていた読者の一人としては、著者に、ご足労賃をあげても良いかな、くらいの気持ちになった。 だから、お武家の言葉遣い、TPOでの政次、彦四郎の言葉の使い分けがなっちゃないとか、六人組の押込事件なんか、まるで蛇足で削ったほうがスッキリするとか、多寡が職人風情の娘に「秋乃」なんて凝った名前は不自然だとか、あそこの険しい峠道を女性が馬の背で越えられるわけがないとか、前半後半で話の辻褄が微妙に喰い違っているとか、色恋の道を描くのが本当に下手くそだとか、イチャモンを付ける気なら付けられないこともないけれど、本編の上質さに免じて、このさい止めとくことにするわ。 シリーズ第16作『八丁堀の火事』に続く。 | ||||
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