ecriture 新人作家・杉浦李奈の推論 IV シンデレラはどこに
評判
ecriture 新人作家・杉浦李奈の推論 IV シンデレラはどこにの評価:
4.43/5点 レビュー 7件。 D ランク
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1〜6 1/1ページ
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シンデレラの原点を巡る脅迫とRENの盗作騒動。シンデレラがここまで世界に類例のある伝承、民話として普遍的な性質を持ちつつ伝播してたとは知らなかったです。ヨーロッパ中心主義の弊害だったんですね。(シンデレラとは関係ないけどそこを見抜いてたレヴィストロースは流石!)
常に多くの作品を掛け持ちつつ執筆している作者ですが、文化史の研究者、例えば巻末にもある浜本隆志氏の「シンデレラの謎」(2017年。もちろん研究書です…。)のような内容もちゃんと消化したうえで、杉浦ワールド、シンデレラはどこに、という作品に昇華させてますね。博覧強記ゆえ、例えば千里眼背徳のシンデレラのネーミングから、その頃から、またはディズニーがらみですでにチラっと構想はあったりしたのでしょうか…わかりませんが…。
浜本氏はまだ読んでないけど、中身をざっと見てもエッセンスが見事に李奈たちの推論に要所で反映されてるようです。
「シンデレラの謎」ではみんなの発想の同一性、つまりはユング的原型と原話の民族移動による伝播を合わせて考慮しています。そしてエジプトのロドピスの靴からのヨーロッパルートとアジア中近東ルートをメインにしてるようですが、松岡氏は巻末解説の通り、大胆な日本発ルートを選んでる。ここが作中のシンデレラ大好き老女千重子さんのソウルフルな生き様、思想と重なって重厚感が、また李奈との関係性の切なさがありました。
今作はシンデレラの原点探しと盗作騒動の繋がりがずっと不明なまま進む感じでした。前作のようにラスト30ページとかで畳みかけるように明らかにされる。
それも犯人のいい加減さが場を混乱させていたということがわかる。犯人がわかってない、ということが謎を呼ぶという…。そしてラストの犯人の失態は印象的でした。
李奈たちが自ら解析サンプルを作成する下りは少々超人的すぎでしたが、
その二通りの解析結果の落とし所が対極的明暗を映し出していて非常にダイナミックでした。
300数ページのミステリーにシンデレラという作品の文化史とそれに対する一つの見解を盛り込み、登場人物それぞれの情動を描き、異なるような複数の事件、ピースを破綻なく繋ぎ合わせる、というのは改めて見事でした。
Jkのような作品とシンデレラはどこにのような作品、振れ幅大き過ぎですけどまぁ本書のテキストマイニングとやらにかけたら同一の作家によるもの、と出るんでしょうけどね…。