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夢の殺人



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【この小説が収録されている参考書籍】
日本探偵小説全集〈5〉浜尾四郎集 (創元推理文庫)

夢の殺人の評価: 4.00/5点 レビュー 6件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全6件 1~6 1/1ページ
No.6:
(4pt)

検事・弁護士にして、子爵で貴族院議員の探偵作家

日本の創作探偵小説の祖と云えば、なんといっても江戸川乱歩の名を挙げることになるが、最初期の短篇はともかく、頁数が多くなると幻想味や通俗味が増えて来て、昭和に入ると、――個人的には『陰獣』や『孤島の鬼』はとても好きな作品だが――、基本的に通俗小説の人になってしまう。
 この界隈の戦前のビッグ・ネームでは、小栗虫太郎や夢野久作の名が現在でも有名だが、『黒死館殺人事件』や『ドグラ・マグラ』といった有名長篇も、とても本格探偵小説とは云えないw

 そうした中で、昭和六年に新聞連載された500頁近い『殺人鬼』が存在するのは、日本の探偵小説史にとって貴重である。

 著者が探偵小説作家としてで活躍したのはほんの数年で、若くして他界されてしまったが、衆道に造詣が深くて、なんでもそのスジで乱歩の師匠でもあったらしいw
 この日本探偵小説全集では、家族が書いた文章や家族写真が掲載されていたりするが、著者に関してはそのどちらもない。Wikipediaの項でも家族情報がないところをみれば、最期まで独身だったのだろう。
 衆道への造詣というか、モノホンのアチラ趣味だったのかもしれない……。
日本探偵小説全集〈5〉浜尾四郎集 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:日本探偵小説全集〈5〉浜尾四郎集 (創元推理文庫)より
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No.5:
(4pt)

夭折した作家の実力が判る作品集

日本探偵小説全集第五巻、浜尾四郎集。

著者の浜尾という人は元々は検事や弁護士で法律に精通した人だったという事で、各作品にもその法律関係の蘊蓄も出てきます。

作家としては、S・S・バン・ダインに影響を受けたそうで、約500ページある大作「殺人鬼」でも作中で「グリーン家殺人事件」が出てきたりします。これが書かれた当時はエラリー・クィーンやアガサ・クリスティーよりもバン・ダインの方が人気があったのが如実に判ります。

その「殺人鬼」ですが、ただ長ければいいという訳でもないですが、あまり無駄に長いだけではなく、必然的にこういうページ数になった本格推理小説として、当時は画期的だったろうと思います。今の視点で読むと、時代を感じさせる部分もありますが。

その他の短篇でも、法律に精通していた著者の見識が判る作品が多く、楽しめました。

夭折した作家の作品集。機会があったら是非ご一読を。
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No.4:
(4pt)

戦前の本格推理小説

著者は、子爵にして検事、弁護士、貴族院議員、そして探偵小説家という華麗な経歴を持ち、そのまま探偵のモデルになりそうな人物です。(容姿は別にしてですが)
特に大作『殺人鬼』は、戦前に日本人が書いたヴァン・ダイン直系の本格推理小説であり、同じくその鬼子とも言うべき小栗虫太郎の『黒死館殺人事件』(こちらは異端の探偵小説)と双璧をなす作品です。まずは本家が一線で活躍していた時期に、それに迫る水準の作品が書かれたことに驚かされます。
法律家という肩書から、法律の執行は常に正義たりうるのか、あるいは人間が人間を裁くことへの疑念をテーマとした作品が並びます。それと同時に変態性欲や同性愛といった異常心理を取り上げている点も特色です。
著者の高貴な出自からは意外な嗜好ですが、心理学的探偵法を売りにしていたヴァン・ダインから、その点では一歩異なる方向に進んでいるように感じました。
巻頭の『彼が殺したか』は、純情な青年が異常な情欲の世界に踏み込んだ末の悲劇であり、事件現場での、関係者たちの生命が永遠に呪われることになったとされる、奇怪な心理状況とやり取りは、強烈な印象を残します。
個性派揃いの戦前の探偵小説家たちの中にあって、著者は地味な存在ですが、本書に収録されている作品はどれも面白く、あの時代にここまで正当な推理小説を書きえたという点で、突出した地位を占める作家だと思います。
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No.3:
(5pt)

法による正義を問うた短編群と戦前の純粋本格長編を楽しめる一冊

浜尾四郎は戦前に検事から弁護士になり貴族院議員まで務めた人物。
若くして亡くなられたので作品数が少ないが、「殺人鬼」なんかは
映画化、ドラマ化などされればヒットしたであろう内容なのに知名度ないのが惜しい。

本の大半を占める「殺人鬼」(これだけで482ページある)、グリーン家殺人事件から影響を
受けたと言われるこの作品は、日本にもこんな本格モノが日本にもあったのだと驚かされる作品。
ドグラ・マグラや黒死館殺人事件と異なり、純粋な本格モノとして今でも十分に楽しめる作品と
なっている。

短編の方はうって変わって、検事から弁護士になったと言われる経歴の通り、法律に絡んだ作品が多く、
後の社会派と言われるような人々への魁となるような作品群になっている。
”法による正義とは何か?”を訴えかけるような作品が多く、
特に「殺された天一坊」は法による正義とは何か?、正義の為に法をねじ曲げて良いのか?、
を問いかける純文学にまで高められた絶品の作品となっている。
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No.2:
(4pt)

今読んでもそこそこ面白い

著者の代表作「殺人鬼」は、身もふたも無いタイトルですが、いわくありげな金持ち一家を舞台にした連続殺人事件を描いており、今読んでもそこそこ面白く読めます。
時代も却ってこれくらい経ったほうが、古典と割り切って読むことが出来るので違和感もあまり無いと思います。
ただ、個人的な好みとしては、あまりに理屈が勝ちすぎる内容だったので、もう少し人間的なドラマが盛り込まれていたほうが楽しめたと思います。
名探偵二人に、推理小説マニアの令嬢も巻き込んだ推理合戦など、謎解きが好きな人は寄り楽しめるでしょう。
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No.1:
(3pt)

殺人鬼

大部である本書の三分の二ほどを占める「殺人鬼」は、探偵小説史の中では重要な作品だが、現在のすれた探偵小説好きの目から見ると、あまりにも素朴である。
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