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散り行く花



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散り行く花

散り行く花の評価: 5.00/5点 レビュー 1件。 -ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点5.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(5pt)

女たちを縛りつける因習と、身中の深い業を描いた傑作

ときは大正。罪を犯した女たちの視点で語られる、四編からなる連作短編集。

陋習の軛から逃れんと、あるいは禁忌に触れた生き方を貫かんとして、大きな罪に身を染める女たち。その罪の内容は、読者にも明かされる。当時の捜査能力では、警察は、犯人である女たちに辿り着くことができない。

ところがここに、美人画を生業とする画家が全編に登場し、情況証拠と聞き込み、供述の矛盾だけで女たちを追い詰め、自白に導いてしまう。ただ、罪から解放された女たちの美しさを描くためだけに。

この画家の推理が、見事。ネタがばれるため詳しくは書けないが、読者を騙すトリックが随所に埋め込まれており、最後まで何度も何度も騙された。

ミステリー的な面でも読み応えがあるが、自分の望むままには生きられなかった女たちの哀しさが、何より胸に沁みた。

巧みに本編と絡み合っているプロローグとエピローグもまた、秀逸。最後まで読みきると、装丁が、この作品の世界観を的確に表していることもわかった。

哀しみに満ちた物語だったが、読み終えると、その中に仄かな光を見つけたような不思議な余韻に浸っている。よい作品に出会った。
散り行く花Amazon書評・レビュー:散り行く花より
4062206927

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