スギハラ・ダラー

【この小説が収録されている参考書籍】

【この小説が載っている参考書籍】

評判

スギハラ・ダラーの評価:

3.89/5点 レビュー 46件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点3.89pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全15件 1〜15 1/1ページ
No.15
(3pt)

それぞれの章の内容は面白いが…

かつて、リトアニア・カウナスの千畝博物館にも脚を運んだことがあったので、当時の話や描写が克明に頭の中でイメージできました。

ただ、最後の物語の締め方が、自分には「なぜそのような締め方をするのか」と分からないまま終わってしまったので、自分にはこの作品の本当の良さは理解できていないのかもしれません。
スギハラ・ダラー Amazon書評・レビュー: スギハラ・ダラーより
4103823046
No.14
(1pt)

終始、秘密工作を魔法と勘違いしているウルトラ・陰謀論

U.S. Bureau of Economic Analysis のWebページで、2021年第3四半期のGross Domestic Products [Billions of dollars] に占める輸入額とInternational Transaction Account Data [Millions of dollars]における資本収支黒字額を検索しようとしていた矢先に、ホーム画面で奇天烈な記事が目に飛び込んできた。2022年1月13日午前7時付けのNEWS ポストセブン紙に寄稿された『2022年の中国情勢「草の根で中国人と付き合うことで習近平独裁に痛打も」』に手嶋の氏名が掲載されていたので、Bureau of Economic Analysis を一瞥した後、最寄りの丸善店舗に電話をかけ、一度立ち読みに行く事にした。
というのも、冷戦期のCIAばりの秘密工作―ワイナーの代表的著書たる「CIA秘録」において酷評している通りに、諜報活動の領分を逸脱する為、本業が疎かになり、副業以下の領分である King Making も現地の社会構造的反動性によって失敗している―によって、香港の民主派運動にすら勝利して見せた共産党レジームを転覆させる事に希望を抱くという内容の記事に動揺させられた為である。近年の日本民主主義の急激な硬直化を鑑みても尚、フランシスコ教皇までも秘密工作者と推定するこの記事の荒唐無稽ぶりに驚かされた。共著者の谷口智彦と佐藤優には自民党政治に仕えた経歴があり、元NHK記者の手嶋も右派寄りのインテリジェンス決定論者である事からも推察できる通りに、マスメディア向けの主張展開によく見かける悲観的現実主義者が書いた記事である。悲観的リアリストといえども、資本主義世界経済の拡大を鑑みて、経済学的パワーの比較優位を認める者もいるのだが、少なくとも谷口以外の2名は諜報決定論に固執していると言えよう。兎も角、強力な皇帝―共産党も大差ない―が指導し続けてきた中華帝国を政権転覆の対象とする政治的冒険主義には、開いた口が塞がらなかった。第一、14憶の経済成長―工業産出高・貿易総額・小売市場規模においても、為替換算GDPから世界商業及び金融の主導権までに比較優位を持つ米国の特権的位置に近づきつつある―を享受している中国人が経済的繁栄を担保する共産党政治を全面否定するはずがない。統治機構の刷新に伴う混乱に乗じて利益獲得を目論む火事場泥棒の夢想を読まされる身にもなって欲しかった。

故に、丸善に足を運んで、興味本位で手嶋の小説2冊を立ち読みしてきた。その内の一冊である「ウルトラ・ダラー」はまだ、北朝鮮の外貨調達政策の報道もあって、辛うじて理解可能な範疇―贋札流通によるドル紙幣価値の下落という計画も極めて即効性が薄く、気が遠くなる程の忍耐を必要とする世界政策上の小事ではあるが―にあった。
それはどうでも良い。最大の問題は、ユダヤ陰謀論混じりで、市場経済機能モデルを悉く超越する飛躍性に満ちた本作「スギハラ・ダラー」である。ストーリーの概要は、杉原千畝のビザによって命を拾われたユダヤ人-後述するように、インテリジェンス・コミュニティにおける黒魔術師なのだろうか。経済学的無知といい、大概にして欲しい-が金融投資・投機・資産家を組織し、各国金融市場から経済危機の趨勢に関与しているという愚癡な与太話となっている。前作もそうだが、インテリジェンスにまつわる蘊蓄の豊富さばかりが先行しているこの諜報決定論者は、金融市場自体の規模・極めて潤沢な投資資産・各国通貨資産及び債券流動性・集団や個人を選別しない多様な投資主体・連邦準備銀行の貨幣流通政策がもたらす影響力といった構造的慣性を悉く無視あるいは軽視している。とりわけ “妄想” の根幹を成すユダヤ人組織なぞ、各々の利害関心に基づいた上で、世界の貨幣流動性に関与している各国財務部門・中央銀行・市中銀行・機関投資家・個人投資家の意思の統一に成功しているという設定はあまりにも荒唐無稽であった。質の悪い事に、手嶋の "思想” に史実や歴史上の人物を織り込んでおり、非現実的な空想に現実味を帯びさせようとする浅慮が見え透いている。国粋主義を燻る事で定評のある百田尚樹ばりのユダヤ‐日本人間の友情物語―史実に基づかない手嶋の妄想でしかない―の項にも失笑が絶えなかったし、その低俗さによる薄ら寒さに苦しめられた。そして、最大のお笑い話は、バラク・オバマ暗殺-本書出版から11年経って、無事御年60歳を迎えた-と中国の門戸解放-輸入品市場なのか金融市場なのかは不明。少なくとも、2020年の中国の対外直接投資純流入額に関しては約1800憶ドルで、米国に次ぐ額を記録している。結局、手嶋がいう市場は全く意味不明である-というノストラダムスの大予言を騙って見せている事だった。語るまでもない程に、詐欺師的な "無" 論理性が充満しており、手嶋の大予言は最も読むのが苦痛な箇所でもある。

感想としては、数学以前に経済史学もまともに読破できない陰謀論者の書き物としか考えられない程、酷い空想金融読本―しかも、諜報決定論に満ち溢れている―であった。情勢遅れの悲観的リアリストの主張ならまだしも、その経済学的無知にも関わらず市場機能を騙り、近視眼的思考に満ちた諜報決定的な陰謀論者が跋扈するまでに、日本の言論界は凋落してしまったのだろうか。
スギハラ・ダラー Amazon書評・レビュー: スギハラ・ダラーより
4103823046
No.13
(3pt)

素材が上手い材料をただ混ぜ合わせた料理みたい

インテリジェンスの素材はそろっているけど、肝心な小説として平凡でストーリーが全く生きていない。

著者の知識があるのは認めるが、それをとにかく詰め込みたいのか余計な広がりだけで人物にも、出来事にもフォーカスされていなくてぼやけている。
文体も読みにくい。

もっと軸になる出来事の周辺で展開されたら、面白くなっただろうに残念。
スギハラ・サバイバル (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: スギハラ・サバイバル (新潮文庫)より
4101381178
No.12
(2pt)

つまらない

余分な文章を詰め込んでいるせいかテンポ悪く感じます
教養を出したいのかがっかりでした。
スギハラ・サバイバル (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: スギハラ・サバイバル (新潮文庫)より
4101381178
No.11
(3pt)

雑な出来上がりが残念

面白い…のかもしれないけれど、「ウルトラ・ダラー」よりも推敲が足りないというか
完成度が低く感じられるのはなぜでしょう。
デビュー作よりつたなく思えます。

思い入れあるシーンをつなぎ合わせているだけで、書き込み過剰なところがあるかと思えば
その過剰な描写が喚起するイメージはあまりにも薄っぺらい。
ラスト近く、登場人物の一人が「すべてを吐き出す」シーンなども圧巻の名場面になるはずだったんでしょうが…
瀬戸内寂聴の筆で描きだしてほしかった、と思ってしまいました。

筋書きは面白く、人物造型も描写はいびつだけど設定は上手だと感じました。
もう少し丁寧に仕上げてほしかったです。
スギハラ・サバイバル (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: スギハラ・サバイバル (新潮文庫)より
4101381178
No.10
(3pt)

激賞のレビューにけちをつけるようで申し訳ありませんが

正直、うーん、な、内容だった。面白いので読むのだけれど、それにしても、物足りない。

ウルトラ・ダラーの著者と同一人物とは、とても思えない。とにかく、

無駄な文章が多い、いや、そればっか

町の美しさを言葉を尽くして描写する、のは、いいんだが、この小説に必要か?

色々な場所に行くのだが、どうでも良いことに文字数を使うばかりで、冗長になってしまう。しまいにゃあ、そこで何があったのか忘れて、戻って読み返した回数、多々。

不安になってアマゾンのレビュー(スギハラ・ダラーの方)を観たが、大体、同じようなことを言ってる人が多くて安心した、というのが本音。まさか、自分だけが判らないおもしろさがあったりして、と冷や汗をかく前に、確認しておいて良かった。

彼の作品が好きな人は、恐らく読まない方が良い。これが、初めての人にも、あんまりお勧めできない手島作品

ウルトラ・ダラーが大好きで、その続きが読みたい、って人にだけ、お勧めします

ただし、暇な人向け。基本的に面白くない部分が多くて、進まない、進まない。そのくせ、文庫で465ページの大部。時間が無い人には、全く不向きだと思います。
スギハラ・サバイバル (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: スギハラ・サバイバル (新潮文庫)より
4101381178
No.9
(1pt)

金融バブルでメタボになったジェームス・ボンドもどき

の主人公はどうでもいい蘊蓄を語ってばかりで、世界中が舞台のリアリティも必然性もない。シカゴ・マーカンタイルを兜町に、NYをロンドンに書き換えても同じ、名前を借りているだけ。「ブルータス」や『サライ』の記事のようで、小説としては最低です。
政治危機や経済危機のたびに、いつも出るユダヤの陰謀だの、フリーメイソンだの与太話をスパイ小説ばりの筋書きしにしました、というだけの読み物です。
結末も、「あ、そう」という感じの尻切れとんぼで、読後感悪し。
経済小説かと期待すると、空振りしますし、サスペンスも期待してはいけません。
スギハラ・ダラー Amazon書評・レビュー: スギハラ・ダラーより
4103823046
No.8
(3pt)

無理やりつけた題名

スギハラ・ダラー。
聞きなれない言葉で作品を読んでもほとんど何を言っているのかわからない。
この言葉さえ作品最後に一回しか登場しない。
リトアニア大使であった杉原千畝が発行したゴム印の査証で生き延びた6000人のユダヤ難民が後に世界経済を塗り替える種であると言っているが、なかなか理解しがたいが小説であれば仕方ない。
一般文学通算1484作品目の感想。2015/08/16 11:50
スギハラ・ダラー Amazon書評・レビュー: スギハラ・ダラーより
4103823046
No.7
(2pt)

物語としての面白さは皆無〜ジャーナリストとしての予言は如何に ?

杉原千畝の"命のビザ"によって生き延びた一人のユダヤ系ポーランド女性が全世界の市場を縦横に操っているという荒唐無稽なお話。「ユダヤ人が世界の経済を牛耳っている」との俗説の類と言って良い。これを歴史的史実を交えて綴っているのだから尚更始末が悪い。作者は情報通のジャーナリストを自認している様だが、情報を知っている事と、それを物語として構成する手腕との間には天と地の落差がある事は認識していないらしい。最初の頁を操っただけで、作者に作家としての才能がない事が良く分かる。

視点も相変わらずのアメリカナイズされ過ぎたもので、これをカバーするためか、金沢を主要舞台の1つに持って来ているが、何とも据わりが悪い。また、全体分量の割には、その骨子は極めて薄っぺらなのである。無駄な情報を垂れ流しているからであろう。本作で作者が予言している事が2つある。

(1) オバマ大統領暗殺
(2) 中国市場の開放(外国への自由化)

物語としての面白さは皆無なのだから、せめてこの予言の幾分かは正鵠を射ていなければ(決して暗殺を願っている訳ではありません)作者としては大恥だろう。作品として発表したからには、それがジャーナリストとしての最低限の意地ではないだろうか。
スギハラ・ダラー Amazon書評・レビュー: スギハラ・ダラーより
4103823046
No.6
(3pt)

好みの文体

手嶋さんは、好みの文体。

日本人とは思えない重厚な文体で、外国小説を読んでいる感じ。

しかし、ストーリーの落ちにはキレがなかった。
スギハラ・ダラー Amazon書評・レビュー: スギハラ・ダラーより
4103823046
No.5
(2pt)

次回作で失地地挽回を

「ウルトラ・ダラー」が大変面白かったので、本作も期待して読んだ。しかし、残念ながら、前作が傑作すぎたのか、筆者の個性が悪い方に伸びてしまったような感じで、失望した。即ち、筆者の博学が無駄に浪費され、時間軸や世界を駆け巡る展開に無理があり過ぎ、全体に関係ないことを無理やりこじ付けて関係させたような印象を受ける。私の専門分野である87年のブラック・マンデイといった金融関係の問題で、著者の調査不足が目に付き、他の分野もアヤシク思われてきたことは大変残念である。事実とフィクションのギリギリの部分を説得力を持って記述できるバックグランドの著者であるだけに、次回作で、失地地挽回を図って欲しい。
スギハラ・ダラー Amazon書評・レビュー: スギハラ・ダラーより
4103823046
No.4
(3pt)

一部要約

1987年のブラック・マンデーはニューヨークから始まったと言われるが、事実ではない。前の週に東京と香港の株式市場でパニック売りが始まっていた。そして翌週はニューヨーク市場で、S&P500の先物取引は売り注文が殺到して値が付かなかったが、シカゴのまー間タイル取引所では、S&P500の取引が平然と行われた。そこで事前に暴落の情報を得ていた日本人が大儲けしたのである。

2000年、アメリカの駆逐艦コールは、イエメン沖でアルカイダの小型ボートに積んだ爆弾によって爆破され、乗務員17名が死亡した。しかし、このテロの実行犯のうちの2人は、その後、実名でアメリカに入国していた。

差金決済を行う先物取引というのは、1730年に大阪の堂島米会所が世界で初めて行った。証拠金を積むだけで将来のコメの所有権を売買できた。現物を持たずに、帳簿の上だけで将来のコメ売買の権利を取引できた。価格変動のリスクをヘッジして、投機目的にも使えた。

イギリスのGCHQ(政府通信本部)は、日本の通信衛星に異常な兆候が見られることを発見した。何者かが外部から衛星システムに侵入して、特に競馬中継の時間帯に異常が多発している。これらの異常は、競馬のノミ行為を行う主催者が、競馬中継の時間をわずかに遅らし、その間に当たり馬券を買って儲けるために行っている。

イスラエル情報当局によれば、シリア政府は5年間に渡って、毎年10万トンずつ、120億円相当の小麦を北朝鮮に供与することを約束した。その見返りに、北朝鮮はシリアに核開発施設を建設することになった。しかし、この施設は2007年9月に、イスラエル空軍によって爆破された。

カウボーイ・ハットと派手な格好で有名な馬主は、リーマン・ショック後に事実上の破産に追い込まれた。特にFXの売買で莫大な負債を負い、外資系の大手証券会社から追証を求められたが、100億円を超える額だったので銀行は融資してくれなかった。この借金の形として数十億円が1日でなくなり、さらにリーマン・ブラザーズの口座にあった47億円の金融商品も、大半が失われた。そして、自分が所有する馬も生産牧場に引き取られた。
スギハラ・ダラー Amazon書評・レビュー: スギハラ・ダラーより
4103823046
No.3
(1pt)

面白いのだろう(たぶん)

おそらく小説に出てくるインテリジェンス、風景描写、そして登場人物すべてにモデルと事実が存在
しているのだろう(実存のモデルがストレートに出て来る場所・人物も多いが)。
それをどこまでが本当でどこからが小説の虚構かを推理しながら読む、
というのが著者の小説の楽しみの一つである。この手法ではおそらく日本での第一人者でああろう。

 それにしても文章のまどろっこしさといったらない。この人、こんなに文章下手だったけ、と読みながら何回も思ってしまった。
テレビマン特有の冗長さや過剰なまでの人物・背景・風景描写がある(これは分野、種類はまったく違うが田原総一朗氏の文章もその傾向がある)。
著者に言わせれば、その全てに意味があり、ストーリーの後段への伏線になっているのだろうが、それを割り引いても読み進めるのがつらかった。
本書は書下ろし作品のため、雑誌の連載等から単行本化する際の推敲・改稿段階がなかったため、こんなことになってしまったのだろうか?
いまやこの分野では人気者だろうから、出版・編集サイドも甘くなってしまったか? とにかく、題材は超一級なのだから惜しい。

 昔読んだ著者の「たそがれゆく日米同盟」「外交敗戦」には身震いするほど感動しながら読んだ記憶がある。それこそ一気に読んだ。
やはりフリーになるとお金のかかる取材や重要情報源にアクセスする機会は、著者のような実力派でも難しくなってしまうのか。

 著者に望むのは2点。まずは今回の素材をもとに書けるところまでで構わないのでノンフィクションを書いて欲しいこと、
第2はとにかく何でもよいので骨太のドキュメントを書いて欲しい。売れなくて出版社が嫌な顔をするかもしれないが、
是非たのしみに待っております。

レビュー者は基本的に「★」「★★」はつけません。単純に楽しみと趣味、必要時の実用として読書しているからです。
つまらないと思った本は、読むだけ時間の無駄と考え途中で放棄するため、その場合はもちろんレビューを書きません。
結果的にレビューを書くのは、面白く最後まで読んでしまう作品か、この人の作品ならつまらなくても最後まで読まなくてはいけない、と考える場合だけです。
今回の場合は後者で、残念ながら★が少なくなってしまいました。
「木に縁りて魚を求む」ところがあったかもしれませが、それならレビュー者の責任になります。
高い評価の方が多いため、あえて書かせていただきました。
スギハラ・ダラー Amazon書評・レビュー: スギハラ・ダラーより
4103823046
No.2
(3pt)

ウルトラダラーは読んでないので

手島龍一さんはNHKニュース番組でのアメリカからの中継でしか見たことはありませんが、穏やかな口調で話され説明もわかりやすく好印象を持った記憶があります。新聞・雑誌などへの寄稿・書評を読んでもその印象は変わりません。しかし、小説を読むと何か違和感を感じてしまいました。9/11アメリカ同時多発テロ、リーマンショックなどに関心が無いからではなく、登場する人物に人間味が感じられなかったからかなと思います。取材されたことを小説とは違う形で読んでみたいです
スギハラ・ダラー Amazon書評・レビュー: スギハラ・ダラーより
4103823046
No.1
(3pt)

最高のエンジンに、安売りタイヤ

世界情勢に関するウソかマコトか分からない雑学が満載で、その部分は陰謀論的面白さがある。「真実」かどうかを真面目に論じるのは野暮というもの。素直に「インテリジェンスオフィサー」気分を味わうのが正しい楽しみ方であろう。この「インテリジェンス」部分の価値だけで星5つ。

だが、どうにも戴けないのは小説部分だ。

天才的な頭脳と最高級のインテリジェンスを持つはずの主人公が「S&P500」について友人から事細かに説明を受ける下りなど(友人の「君ほどの人物が知らぬはずあるまいが、念のため説明しておこう。何をたくらんでいるんだい?ふふふ」というような、しょうもないフォローがあることはあるのだが)、思わず椅子からずり落ちそうになってしまった。

読者のための説明だということは痛いほど分かるのだが、「痛いほど分かる」ことがそもそも問題だ。著者には、自然な背景説明に関し天才的技巧を持つのJ. K. ローリング女史の爪の垢でも煎じて飲んで頂きたい。

良くも悪くも「ウルトラ・ダラー」と同程度のデキ。私と同様「ウルトラ」が楽しめたご仁は、本書も同じくらい楽しめるはずである。だが、著者の小説的技巧がもう少し向上していれば、この題材はもっと楽しめたはずだ。残念でならない。

本書は、さながら最高のエンジンを搭載し、安売りタイヤを履いたスポーツカーといった風である。タイヤが気になっていまいち乗りきれないし、実際ときどきズッコケる。

著者の小説技術改善を切に祈り、叱咤激励の想いを込めて最終的な星は3つとした。
スギハラ・ダラー Amazon書評・レビュー: スギハラ・ダラーより
4103823046