小太郎の左腕
評判
小太郎の左腕の評価:
3.67/5点 レビュー 64件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全88件 81〜88 5/5ページ
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小太郎の左腕の評価:
3.67/5点 レビュー 64件。 B ランク
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私としては、『のぼうの城』よりも出だしから間もなく話に入り込むことができました。
舞台は戦国期、戸沢家と、隣地の児玉家の争い。戸沢家の猛将、林半右衛門と、児玉家の「隠れなき勇士」花房喜兵衛の、「力量ある者同士の戦の駆け引き」のみならず、「お互いの力量を認め合い、敵対関係にありながらも心を通わせる姿」は実にお見事。「この時代にそんな美学は実際にあったのか?」などという勘ぐりは一切捨て、無心でその世界にひたることをお勧めします。
また、半右衛門と戸沢家の当主、利高の甥、図書(これで「ずしょ」と読みます。人名です。)の確執や、その背景にある一人の女性の存在は、TVの現代ドラマなどでもよく見られる光景ですが、これは「戦国期の世」を舞台にすると、また趣が変わります。この作者は戦国時代を描いたとしても、ただ戦いを描くだけでなく、戦う者の人間臭さを描くことで、キャラクターの魅力を引き出している様子が伺えます。
そしてこの作品の見どころの1つは、半右衛門と小太郎の出会い。半右衛門曰く、「この小僧は馬鹿なのではない。馬鹿が付くほど優しいのだ」という小太郎が、その才能ゆえ戦乱の世に巻き込まれる様子は、見ていて非常に胸が痛みます。
この著者の本は歴史小説や他の重厚な小説と同様に、読んで研ぎ澄まされた言葉、言い回しによって内容を味わいつくすといった類の本ではなく、読んで映像を頭に描くことで、その世界を臨場感を持って味わいつくす類の小説なのでしょう。その点では、「文章を味わいつくしてこそ小説」という方向けではありません。私自身はこの作品は「読んで登場人物の人物像や場面を映像として頭に思い描く」ことの楽しさを教えてくれる点で、エンタメ小説として価値あるものだと思いました。