手紙

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手紙の評価:

4.16/5点 レビュー 538件。 A ランク

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Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

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全809件 681〜700 35/41ページ
No.129
(4pt)

最後の手紙

日々犯罪が起きているような現代、加害者の立場を書いた小説も必要だと思います。
読みながらお金の大切さを痛感し、せつなくて、たまらない気持ちになりました。
東野さんの作品は淡々と進んでいき、ぐいぐい引き込まれ、心に残るというものが多く、
この作品も弟からの最後の手紙が圧巻で、強烈に心に響きました。
手紙 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 手紙 (文春文庫)より
4167110113
No.128
(5pt)

たとえ交わることがなくとも、想うこと、そのことに意味がある。

かつて東野圭吾は、自分の各作品はミステリを逸脱してはいない、ミステリの拡張である、といったことを言っていたような気がするが、本作もそうだろうか。確かに、犯罪をきっかけとした小説ではある。しかし、この小説は犯罪を描くために書かれたのではない。犯罪のその後、それがこの小説のすべてだ。
両親を亡くした兄弟。兄は弟を大学に入れるために働くが、身体を壊し、魔が差して盗みをはたらき、家人に見つかって老婆を殺してしまう。強盗殺人犯の弟となった主人公・直貴の高校三年生からのその後の半生がこの物語である。
直貴は、強盗殺人犯の弟として、差別と偏見の中を生きていく。そして、折々に届く服役中の兄からの手紙。そんな物語から、読者として何を想像するだろうか? 引き離された兄弟の手紙を通した絆、あるいは、手紙を通した精神の救済、そういったものではないか。そして、作中の兄の拙い手紙には心に響くものがあるのだ。
しかし、東野圭吾は、そんなあたりまえの作家ではない。この作品で描きだされるのは、加害者の家族である。比較的新しいテーマだが、近頃食い荒らされてもいる。だが、東野が描きだすそれは、鮮烈だ。そこには甘い救済も、現実離れした過酷もない。悪意のない普通の人々が「強盗殺人犯の弟」に見せる反応が、淡々と綴られていく。それだけに、その人生の過酷さが徐々に際だっていく。
独りよがりな作家の感傷に流されることなく、加害者の家族とその周囲をここまで見事に描いた作品を他に知らない。悪いことばかりではないが、トータルで見るのなら、やはり不幸な人生。このやりきれなさ、切なさ。
そして、物語は終盤にミステリのテイストを垣間見せる。東野圭吾の面目躍如といったところか。「手紙」というこの小説のタイトルが、読み終えてずっしりと響く。兄弟は、その絆に救いがあるのではない。兄が存在し、弟が存在し、互いを想う、たとえ交わることがなくても、その想いそのものにすでに深い意味があるのだ。
手紙 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 手紙 (文春文庫)より
4167110113
No.127
(5pt)

道徳と現実の狭間

強盗殺人犯の弟に対しての差別や偏見。
それに対して「加害者家族も被害者」「家族が犯罪を犯したわけではない」
と差別や偏見なしで接する事が可能だろうか?
もちろん、道徳的にはそれが正しいだろう。
被害者の遺族以外の人間にとって、加害者の家族にまで憎しみを抱く理由はないし、差別する理由はない。
しかし、現実はそんなに甘くない。
連続幼女殺人犯のMの妹は婚約を破棄されたし、地下鉄サリン事件の教祖の子供達は、小学校への入学も、近所に引っ越してくる事も住民に拒否された。
もちろん、Mの妹も、教祖の子供も何も犯罪は犯していない。
だが、だからといって普通に生活していく事は難しい。彼等は社会的に殺された状態なのだ。
「罪のない家族を差別するな!」とMの妹の婚約者や、教祖の子供を拒否した住民を責める事ができようか?
犯罪者の肉親に対し、露骨には差別しなくても、内在的に距離を置きたがる。
これは普通の人間の感情だ。
子供を持つ親で、A教祖の子供と自分の子供が遊ぶ事に不安を覚えない親はいないだろう。
犯罪とは残された家族まで地獄に突き落とす。
「家族は関係ない」というキレイごとでは済まないのだ。
本書は、この道徳と現実の狭間の葛藤を見事に描ききっている。
主人公は最終的には兄と絶縁するが、果たしてその決断が正しいかどうかはわからない。
きっと正解などないのだろう。人生を模索しながら生きていくしかない。
物語の中でジョン・レノンの「イマジン」が度々登場する。
「差別や偏見のない世界を想像してごらん」とジョンは歌う。
だが、主人公は兄と絶縁した後にこう語る。
「差別や偏見のない世界。そんなものは想像の産物でしかない。人間というのは、そういう物とも付き合っていかなきゃならない生き物なんだ」と。
差別や偏見のない世界は理想だ。しかし現実には存在する。
そういう世界で人は生きていかなくてはいけない。逃げる事はできない。
時には兄との絆を捨てるという手段も必要かもしれない。
キレイごとだけでは生きていけない。生きていく事は難しい。
多面的な思考を要求される名作です。
手紙 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 手紙 (文春文庫)より
4167110113
No.126
(5pt)

単行本で是非

 祝!映画化。映画はまだ観ていませんが、この本が多くの人に読まれる機会が増えるということがまず大変喜ばしいです。
 
 何年か前、初めてこの本を読んだ時、ものすごく衝撃的で、深く深く心に残る小説となりました。それまでにも、東野圭吾さんの小説は数多く読んでいましたが、私の中では東野作品、不動のナンバー1になりました。
読むきっかけになったのは、人に「いい本だから読んでみ。」と言われた事で、実際読んで感動して、その人に感想を伝えたところ、「この本をいい本だと思える人でいることも大切。」と言われました。その言葉と共に非常に心に残る一冊となりました。
その後、何人かに「いい本だから」と薦めました。人に薦めたくなる本なのかなと思います。
テーマは非常に重いですが、東野さんの本だけに、文章がさらっとしていて読み易く、人物像がリアルで感情移入しやすいので、普段本をあまり読まない人でもどんどん先に進むめる類の本だとおもいます。そういう意味で、場所を選ばず読める単行本サイズは一番作品に適した形態のように思えます。
手紙 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 手紙 (文春文庫)より
4167110113
No.125
(5pt)

手紙が伝えないもの

    東野さんの作品は、広末涼子さんが出演した 映画”秘密”で接したのが最初でした。何年もやさしい余韻を残す心の作品でした。そして、久々にこのたび”手紙”という映画の予告を見て、この本を手にとりました。 弟の為にまじめに働いてきた兄が、どうしようもない状況に追い込まれた時に強盗殺人を犯してしまい、獄中から毎月弟に手紙を送るストーリーを軸にその周りの人間のドラマが展開します。
    手紙という題名からして、手紙の文面そのものがストーリーにとても関わってくるのかと想像していましたが、そうではなかったのが深く心に残りました。 手紙が確実にいろいろな人間関係を深いものにしてくれましたが、最後にドラマの中の人物ひとりひとりに、偽りのないほんとうのきもちを伝えたのが手紙ではなく 生身の人間同士の出会っている瞬間にあることを読み、静かに感動しました。
    是非、映画も観てラストの映像がどう描かれているのか観たくなりました。きっとまた何年も余韻を残す作品になるんでしょうねー。
手紙 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 手紙 (文春文庫)より
4167110113
No.124
(4pt)

恐ろしい小説や

 強盗殺人犯の弟となってしまった直貴が、進学、恋愛、就職のその時々で受ける言われ無き差別を淡々とつづっています。
 小説を読み進めるにつれ、直貴に同情していた自分の気持ちに、ぐさりぐさりと突き刺さる言葉が続きます。
 差別はね、当然なんだよ。
 犯罪者やそれに近い人間を排除するというのは、しごくまっとうな行為なんだ。
 我々は君のことを差別しなきゃならないんだ。
 自分が罪を犯せば家族をも苦しめることになる。
 すべての犯罪者にそう思い知らせるためにもね。
 小説で示されるいくつかの答えが唯一の答えではありませんが、「差別」とはなにかを突きつける本当に恐ろしい小説です。
 ラストシーンはいかにも東野圭吾さんの作品。息が詰まりそうなくらい重いシーンです。
手紙 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 手紙 (文春文庫)より
4167110113
No.123
(5pt)

【自殺もまた悪】

もし自分の身内のことだったら…を考えずにはいられない本。
身内の仕業とは言え、自分でやったことではないことへの「罰」。
係わり合いを持ちたくないという「差別」。
なんか胸にわだかまりを持ちつつ、読みすすめました。
そんな中、「自殺とは、自分を殺すことなんだ…」という一文があった。
他殺にしても、自殺にしても、係わり合いは本人だけじゃない、ということを教えてくれてる。
いじめ問題の解決方法に「死」を考えているヒトには、ぜひこの本を読んで欲しいものです。
自殺をしたら、あなたも「罪人」です!
最後はやっぱり、泣かせていただきました (T_T)
手紙 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 手紙 (文春文庫)より
4167110113
No.122
(5pt)

「ごく普通の」社会的差別

 毎日新聞の日曜日に連載されていた小説で、毎週日曜朝になると一番に読んでいた。
 『両親が健在でなく、唯一の兄弟が犯罪者』という主人公、その彼がさまざまな人に出会い、さまざまな環境で社会的な差別を目の当たりにする。
 この物語はとにかく登場人物が全員リアル。よくフィクションに出てくるような、まるで悪い事を行うために生まれてきたかのような特別な悪役もいなければ、差別をまるでかえりみない釈迦のような人間もいない。ごく普通の人々の、ごく普通の『差別心』、そしてごく普通の『差別は良くない』という意識が読み進めるうちに伝わってきてとにかく切ない。
 天津甘栗のエピソードが心に残って、栗を見るたびになんとなく思い出してしまう。栗はお金盗んだ後買えばよかっただろうに…などと本書のテーマとはずれているとわかっていながらも、不謹慎にも考えずにいられなかった。
手紙 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 手紙 (文春文庫)より
4167110113
No.121
(5pt)

どの登場人物に対しても考えさせられる

兄は自分の欲望の為ではなく弟の学費欲しさに老婦人を殺害して
しまいますが、老婦人には何の罪もなく理不尽にも殺害されてしま
った訳ですから言いようのない怒りと悲しみに被害者の家族が
襲われるのは無理もありません。自分が被害者の家族の立場なら
加害者に対して憎しみしか生まれないでしょうから・・・。どんな
理由があっても人の命を奪うことは決して許されない事だという
事をこの小説では痛いほど教えてくれていますし・・・。
が、しかしこの弟が何らかの正当な方法で学費を借りて大学に行く
事が可能だったとしたら、兄は殺害に手を染めなくても済んだのでは
ないかと思うと現在の日本の弱者に対して冷たいという図式がクッキリと
浮かび上がって私自身も弱者であるため切なくなってしまうのです。
ですから兄と弟の状況に対して自分だったらどのように生きて行ける
のか・・・と考え込んでしまいました。
しかし弟の後に妻となる由実子という女性の一人の男性をどんな状況で
あっても思い続ける優しさと強さは私では到底持てない資質であると
思いましたが、そう思いながらも陰で弟の職場の上司や獄中の兄に手紙を
書く彼女の優しさに涙が止まりませんでした。
でも、弟が新しく出来た家族や子供のためにやむなく兄に書いた別れの
手紙の内容、そして兄がその後に出した被害者の家族への手紙の内容が
一番切なく、悲しく、そして兄の奥底にある優しさが滲み出ていて
この本を読み終わってもまだ涙が止まりませんでした。
色んな登場人物が出てくるんですが、どの人物に対しても「自分がこの人の
立場だったらどうするだろうか?」と真剣に考えさせられる物語となって
いると思います。
そして手紙が持つとてつもない大きな重要性も・・・。
手紙 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 手紙 (文春文庫)より
4167110113
No.120
(2pt)

映画よりは良いです

映画キッカケで読みました。
読んでみると、映画では大事なところを
カットしてしまっていて、惜しい気がしました。
それぞれ、楽しめるとは思うのですが、
私には、他の東野さんの作品に比べると
意外性、人間性、ともに物足りなく感じました。
手紙 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 手紙 (文春文庫)より
4167110113
No.119
(5pt)

傑作

主人公直貴の度重なる苦悩に、胸が締め付けられる思いがしました。繰り返される周囲からの差別(逆差別)に、幾度も人との深い関わりを閉ざしてしまう姿が描かれ、読んでいて辛く感じることもありました。しかしその合い間に登場する由実子は、いつでも直貴の傍らで味方でいてくれている。主人公も僕も彼女の存在に助けられました。
手紙 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 手紙 (文春文庫)より
4167110113
No.118
(4pt)

映画の挿入歌に魅かれて

同名映画の挿入歌に魅かれて、原作に関心を持ちました。テーマは、経済的な困難さから犯した兄の殺人の罪を、差別として受ける弟の葛藤の様子を通じて、兄弟の情愛を描いています。否、情愛を通じて葛藤の様子を描いているというのが適当かもしれません。読んだ直後は、兄弟愛や肉親の情の深さを感じましたが、時間が経つにつれ、本で描かれた差別を肯定するような世界には住みたくないという気持ちが強くなりました。「犯罪の抑制のために犯罪者の家族を差別する」という社長の言葉には矛盾がある。社長の論理は自分かわいさの人間ばかりの世界では通用するかもしれないが、そんな世界には誰しも住みたくないだろう。社長とは正反対の方向で関わるような骨のある人間が少なくなったという時勢の現れかとも感じました。
手紙 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 手紙 (文春文庫)より
4167110113
No.117
(5pt)

切ないけど

肉親のいない二人っきりの兄弟。ふとした弾みで殺人者となってしまった兄、二人っきりの身内が犯罪者になってしまった弟。弟の苦悩がラストシーンで上手く切なく迫ってきます。
東野圭吾作品の中でたまたま最初にこの本を読みましたが、一気に読み上げてしまいました。
手紙 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 手紙 (文春文庫)より
4167110113
No.116
(5pt)

多くの問題提起をした作品

弟の大学進学費用を手に入れるために強盗殺人を犯した兄。「殺人者の弟」という理由で様々な差別を受ける主人公・直貴。「この兄弟の間で交わされる手紙」と「他の登場人物」を交えて物語が進んでいく。
節目節目で主人公・直貴は「犯罪者の弟」という現実に直面し、その現実とどう向き合うか葛藤する。最終的に、主人公・直貴は、一つの答えを出す…しかし、その答えが正しいか否か…それは難しい問題である。
本書は一つの物語であるが、
○犯罪加害者家族は、被害者家族とどう向き合うか?
○世間は、犯罪加害者家族とどう向き合うか?
○教育の機会はどうあるべきか?
…etc、多くの問題提起をする。本作品をきっかけに、こういった問題を考えてみるのも悪くないであろう。
全体的には、内容が内容だけに、暗く重い話ではある。しかし、時に人間味あふれる優しさを交え、思わず涙するような場面もある。クオリティーの高い作品である。お勧めです。
手紙 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 手紙 (文春文庫)より
4167110113
No.115
(4pt)

う〜ん・・・

大絶賛のレビューが多い中、星4つをつけつつも感動でき
なかったと書かれた方のレビューに共感しました。
かなり涙もろい私が、不思議と全く泣けませんでした。
ストーリー自体は面白く話しにどんどん入り込み一気に
読み終わる事ができました。
映画もすごく観たくなりました。
でも、泣くとかいう気持ちとは違うんです。
読む側の人生観の違いとかが関係しているのでしょうか。
それとも絶賛レビューが多かったので期待しすぎたせいも
あるのでしょうか。
ただ、かなり色々と考えさせられる作品だと思います。
泣けませんでしたが、いい作品です。
手紙 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 手紙 (文春文庫)より
4167110113
No.114
(4pt)

迷う中での決断

 一気に読める本であることは間違いない。強盗殺人犯本人でなく,その弟の人生に焦点をあてた物語。
 主人公に都合の良い設定,例えば頭脳明晰であること,歌がうまいこと,そして容姿が魅力的であること等が映画的ではあるが,だからこそ彼が疎外される状況が辛くのしかかる。
 最後に主人公が兄に送った絶縁状,それを決断するまでの過程が描かれるが,説得力に欠ける気もした。電機屋の社長が彼に伝えたかったことが曖昧になってしまった。登場人物も,読者も,作者ですら迷う中での決断ではなかったか。
 兄に同情しつつも罪の重さを実感せずにはいられない。そう思わせる筆者のねらいは充分達成される。さすがに殺人犯を赦す物語にはできまい。
手紙 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 手紙 (文春文庫)より
4167110113
No.113
(5pt)

重いテーマを持っています。

この小説は,「強盗殺人犯の弟」として生きる運命を背負った主人公の苦難の物語である。
そこには,犯罪者の家族に対する社会の差別が渦巻いているが,
だからといって,そういう差別をなくそう,と主張しているのではない。
犯罪というものが,犯す者だけでなく,その家族まで巻き込むものであることを
事実として淡々と伝えているのである。
犯罪者にとって,本当の更生とはどうあるべきなのか,
償いとは,どう形に表すべきものなのか。
さらには,人間とはどうあるべきなのか。
色々と考えさせられ,答えは未だにうまくまとまりません。
ものすごく重いテーマを抱えていますが,
テンポのよいストーリーテリングが素晴らしく
どんどん引き込まれます。
最後の数十ページは涙が止まりませんでした。
手紙 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 手紙 (文春文庫)より
4167110113
No.112
(5pt)

苦悩の手紙

久しぶりに泣ける小説だった。弟想いの兄が、弟を大学に行かす為に強盗し、殺人を犯してしまう。殺人者となった兄と殺人者の弟として生きることを強いられる弟。刑に服する兄と、世間で常に殺人者の弟として苦労して生きていく弟。その二人をつなぐ手段は唯一兄からの手紙だけ。しかし、兄は弟がどんなに苦労しているか知らない。弟も兄がどのような思いで手紙を書いているのかわからない。常にすれ違いの人生。そのすれ違いが、あるきっかけで手紙が届かなくなったとき、やっと交差する。長い長い時間をかけて…。本当に何度泣いたか分からない。心温まる小説だった。
手紙 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 手紙 (文春文庫)より
4167110113
No.111
(4pt)

悪意なき差別

犯罪者の弟となってしまった主人公と、弟に容易に降ろすことのできない十字架を背負わせてしまった兄という設定で語られる物語。
テーマとしてはもっと広く、病気、身体や精神の障害、被差別部落、人種、民族など、本人の選択によらない外的要因(そして、それは往々にしてその人をかたちづくる本質的要因であったりもする)を理由とする「差別」にあります。
主人公は理不尽な差別を受けるわけですが、周りには必ずしも特段の悪意がありわけではありません。(そこが問題だったりします。)
手紙 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 手紙 (文春文庫)より
4167110113
No.110
(4pt)

殺人は被害者も加害者も周りの人も皆不幸になる

読み終わって感じたことは、殺人を犯してしまったら、被害者・加害者・両親・職場上司・親戚・・全ての人達に影響を及ぼすということ。加害者一人が罪を償うというだけでは決してなく父母兄妹弟にまで一生肩身狭い生き方をせねばならないのです。
命の大切さ尊さを改めてこの小説を通じて感じました。命の大切さを感じながら登場人物についてあらためて考えてみると、兄、剛志の弟・直貴に対する思い、やさしさは屈折していると思う。他人から盗んだ金で弟・直貴は納得して大学進学するだろうか?兄、剛志は弟・直貴を大学にいかせる為にやるべきこと、すべきことがもっと他にあったのではないだろうか?もっと剛志は相談できる相手を見つけて相談すべきであったのではないだろうか。金を盗むことでも法的に処罰されるのに、最悪にも人を殺してしまい、弟には、「強盗殺人犯の弟」という現実を背負わせてしまった。手紙で詫びようが謝罪しようが死んだ人間は生き返らない。兄、剛志が自ら死を選び死んで詫びたとしても死んだ人間は生き返らない。亡くなられた方(殺された人)はどんなに詫びても償っても生き返ることは決してない。ゆえに、殺人は一生をもってしても償うことはできないのだ。また、殺人は近親者にも迷惑をかけてしまう(人生を大きく狂わせてしまう)ので殺人は絶対にしてはならない。友達も少なく相談できる相手もいない兄、剛志の自己中心的で勝手な行動のせいで弟・直貴がえらい迷惑しているのがひしひしとつたわってくる小説です。
手紙 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 手紙 (文春文庫)より
4167110113