廃用身
評判
廃用身の評価:
4.26/5点 レビュー 115件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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読み始めてすぐに混乱してしまった。思わず腰を浮かせてしまった。つまり、介護の経験がある人にとってAケアは、もし、本当に現実行われているのであれば飛びついてしまいかねない光明にみえるのである。
私もアルツハイマーの父を介護した経験がある。最終的に拒食となり、ある大学病院に緊急入院したが、翌日看病に行くと体を拘束されあちこちにチューブを入れられ無残な姿となっていた。主治医からは誤嚥性肺炎だから肺炎が完治しないと拒食のリハビリはできないと言われた。結局、誤嚥性肺炎は誤診であったことが分かったが、その時にはすでに2週間も拘束され続け、父は寝返りも打てない状態で寝たきりにされ、お尻に重度の褥瘡ができてしまっていた。
父は年齢の割には骨格がしっかりとしていて体重も重かったので、最初、看護師たちは寝返りを打たせるのも大変だったようだ。痛がる父を勢いをつけてひっくり返すのを見るのはつらかった。その後、寝たきりで点滴から栄養を得るだけの父はみるみる痩せてゆき、オシメに隙間ができ、度々シーツを汚した。一度など、私が病室に戻ると、「また汚したの?どうすんのか?朝シーツ取り換えたばっかりでしょ?いい加減にしてよ!」等々、父の病室から看護師の激しい怒鳴り声が聞こえ、ドアの前で立ち尽くしてしまった。止めに入ることもできない。ここで止めに入ったりしたら私がいない間に父に対して何をされるか分からないからだ。シーツの交換を終えて出てきた看護師に対して「ありがとうございました」と深々と頭を下げたときの切ない気持ちを今も忘れない。
介護する者にとっては重労働であり、相手が病人と分かっていても腹が立つこともある。自分も入院前は自宅で孤軍奮闘していたからその気持ちはわかる。
自分自身も介護中の不用意な言動を今も後悔している。そして、医者や看護師たちの言動の1つ1つを今も記憶している。父が亡くなり3か月が過ぎたが今も夢で思い出し夜中に何度も目覚める。
介護の現場は厳しい。介護される者の現実も厳しい。この本をただの読み物とは思えない。介護の現場に対する警告書だ。高齢化社会に突入した日本、下層老人と呼ばれる老人が存在する日本、一人暮らしの老人が多数存在する日本。これまで日本を支えてくれた老人たちに我々は何ができるのだろうか?
多くの人に読んでもらいたい。読者の中から妙案を見出してくれる賢者が出ることを祈る。