結合双生児として生まれたゲオルクとユリアンの波瀾に満ちた数奇な人生。

異界と現し世を自在に行き交い、読者を迷宮へ誘う極上の語り。「結ぶ」―問答無用で縫われ、丸められていくからだ。

降りしきる薔薇のはなびらで窒息することを夢見て、縊死した劇団員を描いた「薔薇忌」、水を汲んだ桶を覗きこむと、その人のために祈ってくれているなにものかが水に映るという「祷鬼」、現実のセックスでは不感症であるが、眠りの中で濃密な性の悦びを得られるという女を描い

インパール戦線から帰還した男は、銃で妻と情夫を撃ち、出所後、小豆相場で成功。北の果ての海に程近い「司祭館」に住みつく。

江戸川乱歩の造語である“奇妙な味”は、ミステリにもSFにも怪奇小説にも分類不能の、異様な読後感を残す小説を指す。

私の中に巣喰う狂気が、さまざまな夢を見させる―さらなる広がりと魅力を増した皆川博子の恐怖世界。

18世紀英国。

戦時中のミッションスクール。図書館の本の中にまぎれて、ひっそり置かれた美しいノート。

18世紀ロンドン。外科医ダニエルの解剖教室からあるはずのない屍体が発見された。

時は16世紀。スコットランドに生まれたアランは、17歳で戦士集団に加わり、アイルランドに渡る。

魔性の炎が袖ひろげ、八百八町を焼きはらう。紅蓮の鏡が映し出す、心の裡の闇模様…歪つな想いが牙を剥き、炎の津波に酔い狂う。

蘭之助は阿蘭陀通詞(通訳)であった父譲りの才がありながら、戯作で生計をたてる気ままな身の上。

江戸芝居町、中村座。八代目中村勘三郎には二人の娘があった。

一葉の写真、一枚の絵が呼びおこすひそやかな官能、秘密のかおり。言葉と映像―甘美で危険な交歓が紡ぐ作品集。

東海の強国駿河は、守護今川氏親の手で着々と覇道を進んでいた。

著者初の時代小説「十五歳の掟」を含む表題作江戸民衆の情念を炙り出した「朱紋様」の2冊に加えて単行本初収録の連作短篇を併録。

森の奥に囚われた盲目の王女・レイアは、父王の愛と美しいドレスや花、物語に囲まれて育てられた…はずだった。

第二次大戦下のドイツ。

13世紀、フランス。“天啓”を受けた羊飼いの少年・エティエンヌの下へ集った数多の少年少女。