幼い頃、父母の喧嘩が元で顔に火傷を負ったお花。

昔の思い出に生きる女を救えるか、平七郎――。

竜閑橋袂で、美人女将の愛嬌と絶品茶漬で繁盛する『紅葉屋』の娘が攫われた。

久里浜沖で流人船が難破した。助かったのは、流人の鹿之助ひとり。

江戸市中に現れた、宮家のご落胤を名乗る一行。大奥とつなぎを取ってやると称して商家から金を巻き上げ、奉行所を悩ませていた。

本所・法恩寺橋袂で麦湯屋をやっている器量よしの娘。奉行所が総力を上げて追う浪人は、必ずその娘と接触するはずだった。

「夢の中でおっかさんに会ったんだ」幼い頃、母親に捨てられた少年僧・珍念が橋廻り同心立花平七郎に嬉しそうに話した。

橋上に芽生える愛、 終わる命… 情をもって剣をふるう、江戸・橋づくし物語 永代橋——桜の季節、愛しい男を待って橋の袂に佇む女。

新大橋―逢瀬を重ねた男に裏切られた女を包む涙雨。赤羽橋―捨て子と知った少女。

「この世の中の、すべての人があの人をどう言おうと、私だけは信じてあげたいのです」組紐屋のお幸は盗賊の疑いをかけられた与七をそう言ってかばった。

江戸の夏の風物詩―杉の青葉などをいぶして蚊を追い払う蚊遣り火。

雲母橋―叶わぬ恋と一度はあきらめた男と再び巡り会った女。千鳥橋―逢えぬ我が娘の幸せを、陰から見守る男が零す一筋の涙。

吾妻橋―主君への忠義のため、惚れた女房を苦界に沈めた男。

弾正橋―生き別れになった母への切ない慕情。千住大橋―都落ちし、再起を誓った男女を襲う悲劇。

藍染橋の袂に診療所を開いている千鶴のもとに、身元の分からない白骨が持ち込まれた。

ある時は凧屋の店主、またある時は馬を操る腕利きの岡っ引。 追い求めるのは、父の面影――。

「消息を絶った密偵を捜してほしい」―縁切り寺慶光寺の御用宿「橘屋」の用心棒・塙十四郎は、元老中の楽翁こと松平定信から密命を受けた。

自らの藩が取り潰しとなり浪人となった塙十四郎。

女医桂千鶴のもとに重い下痢を訴える商人三人から立て続けに往診依頼が入る。

縁切寺慶光寺の御用宿「橘屋」に、醤油問屋「紀州屋」の番頭がやってきた。

軽微な罪で入牢していたおまちという女が、娑婆に出てまもなく、本所堅川の土手で無残な遺体となって見つかった。

長崎でシーボルトの警護役を務めていた井端進作が、役目の上の不手際で自害した。

幼馴染みのおまつとの約束をたがえ奉公先の婿となり主人に収まった吉兵衛は、義母の苛烈な皮肉を浴びる日々だったが、おまつが聖坂下で女郎に身を落としていると知り…(「夜明けの雨」)。

上総の国から『橘屋』へやってきたおふきは夫の和助に離縁されたが復縁したいと言う。

女医者千鶴の助手をしているお道の幼馴染み・おふみが、許嫁の松吉にわけも告げず、吉原に身を売った。

駆け込み寺「慶光寺」の御用宿「橘屋」に、寺を出て普通の暮らしに戻ったはずのお妙が火付けの罪で捕縛されたという報せが入る。

安芸津藩の改易で浪人となり、江戸で渡り用人として糊口を凌ぐ片桐弦一郎。

縁切り寺「慶光寺」御用宿「橘屋」の雇われ人、塙十四郎は、捨てられていた赤子を拾い、慣れぬ子育てに悪戦苦闘していた。

新大橋近くで旅の侍が何者かに襲われた。

牢医師を務める千鶴は、子殺しの罪で小伝馬町の牢に入っているお勝から、娑婆に一人残してきた娘の暮らしぶりを見てきてほしいと懇願された。

新兵衛はお店に押し込んだ賊の目を見て凍り付く。故郷の桜の下、幼い友情を誓い合った日の記憶が浮かぶ(「百年桜」)。

―旅姿の男を襲う二人の浪人。仲裁に入った片桐弦一郎は、仲違いで負傷した浪人を長屋に連れ帰る。

縁切り寺「慶光寺」御用宿「橘屋」に、小料理屋「鶴亀屋」の仲居お勝が駆け込んで来た。

貞次郎の想い人、弥生は心ならずも目付神崎に嫁いだ。貞次郎は奸計に遭って、神崎の腕を斬り脱藩。

「八歳の女子が赤子を生んだ」「他人の墓石を勝手に磨いて回る何者かが出現」江戸旅篭町の古本屋「だるま屋」には公儀の裏事情から町の噂まで、さまざまな風聞が集まる。

まっ当な人々を救いたい！ 正念場の人気シリーズ 小伝馬町の牢を出たばかりの男が殺された。

「慶光寺」の御用宿「橘屋」に、身重の武家の妻女が駆け込んできた。

次期藩主の座をめぐる政争が幕府に露見し、安芸津藩はお取り潰しとなった。

江戸で大評判の伽羅油「花の露」を扱う桔梗屋の主、吉蔵が多額の借財を残して姿を消した。

神田川沿いで岡っ引の彌次郎の刺殺体が引き上げられた。

正紀と京のあいだに子が生まれ、正紀の親友、山野辺には許嫁ができた。

武家を捨て、町人として生きる決意をした清七郎改め清七。

縁切り寺「慶光寺」に来て半月のおきよの亭主竹次郎が亡くなった。

「切り絵図屋清七」シリーズ第6巻。

駆け込み寺「慶光寺」の御用宿「橘屋」に、大店の薬種問屋「小国屋」の内儀おきくが駆けこんできた。

「鯖猫長屋」の家主で饅頭屋を営むお智の様子がおかしいと聞いた画描きの拾楽は、頼りになる猫サバを連れて店に出向く。

小伝馬町から囚人たちが切放しになった。囚人たちに恐れをなし、町から人気は消えた。

「亭主のなにもかもが嫌になった」―そう言って「慶光寺」に駆けこんできた小間物屋の女房おはつ。

ならず者の弥蔵が遺体で見つかった。

江戸の切り絵図制作を始めて一年半。

指物師の職人の家に後添いとして入ったおしなだったが、なつかぬ継子と姑の苛烈な虐めに、耐えきれず家を出た。

川に落ちた小娘を自ら飛び込んで救った渡り用人の片桐弦一郎。その人助けが噂になり、小大名小栗藩から仕事が舞い込む。

絵双紙本屋の紀の字屋に出入りする浪人・清七郎は、弱い者を見過ごしにできぬ性分。

片桐弦一郎の用人仲間である但馬佐兵衛が、何者かに殺された。懐中にあった大金が紛失している。

北町奉行が異例の若さで定廻り同心に抜擢したのは、萬七蔵、三十五歳。

江戸に名探偵、参上! 石見国で藩を揺るがす陰謀に巻き込まれてしまった永見功兵衛。