睡蓮夫人
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病で療養生活を送らざるをえなかった探偵作家は優れた幻想的作品を産み落とす。 結核を患ったことで、自由気儘な日々を奪われたであろう氷川瓏もその中のひとり。女性探偵作家以上に繊細なタッチで読ませる全16篇。 「乳母車」「春妖記」「白い蝶」「白い外套の女」「悪魔の顫音」「天使の犯罪」「風原博士の奇怪な実験」「浴室」「窓」「睡蓮夫人」 「天平商人と二匹の鬼」「洞窟」「陽炎の家」「華胥の島」「路地の奥」「風蝕」。 よく引合に出される「乳母車」「白い外套の女」「睡蓮夫人」よりも、眠っていた異性への感情がめざめる事で悲劇が生じるタイプの作が気に入った。 それはサナトリナム勤務の地味な看護婦が男性患者に媚を売る同僚に殺意を抱く「天使の犯罪」と、 結ばれなかった女との再会が8年前の悔恨を不条理な憎悪に変えてしまう「洞窟」の2篇。 閉ざされた観光地の離島に、死んだ筈の想い人が現れる「華胥の島」、 田舎に引篭もった都市生活者が住民との付合いを強制させられる煩わしさを描いた「陽炎の家」も含め、 ここぞという場面でのエロティックな展開がたまらない。 「風原博士…」で性の人工転換、「天平商人…」は寓話風と微妙な変化を付けるも、 非常に寡作な氷川瓏の本流は喪失感とノスタルジア、そしてそこから来る妄想が引き起こすバッドエンドへの過程を実にデリケートに書いている処にある。 ただ例外もあり、最後の「風蝕」はラストシーンの後に主人公の男女がどうなったのか想像するのもいい。 氷川の創作著書は本書だけしかなく、このちくま文庫『怪奇探偵小説名作選』15巻の中でも、レアという意味でこれは最も押えておくべき一冊。 江戸川乱歩の少年物リライトや海外ミステリーのジュブナイル向け翻訳の方に目が行きがちだけれど、創作は思った以上に佳作ばかりで満足。 | ||||
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