土佐くろしお鉄道殺人事件
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30年以上前に、寝る間も惜しんで読んだ西村作品ではないよなぁ。十津川警部も、こんなに怒りっぽくなかった。コロナも出てきているから、西村氏の晩年の作品なのだろうけど、登場人物も整理されていないし、途中で出てきた人も、誰が誰やらさっぱり。 | ||||
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そうなのです。この作品を書いていた当時、西村京太郎先生はすでに90歳になっておられた。そして、92歳になる約半年前、2022年3月3日に亡くなられた。 15歳で日本の敗戦を経験してから、戦後の時代をずっと生きてこられて、コロナ禍が収束しないままの日本で息を引き取られた。その直前、2022年2月24日、ロシアがウクライナを侵攻したというニュースは、先生の耳には聞こえたのか。聞こえたのなら、先生はどんな思いだったのか。 それはもう分からないけど…今、この日本で、戦争について勇ましいことを言っている人たち、中でも「シニア右翼(またはネット右翼)」と呼ばれている人たちに対して、西村先生は何を言いたかったのか。その答えは、ここに書いてあります。 ネタバレにならないように気をつけて言いますが(ミステリーですから) この物語の一応の主人公である加納駿次郎・50歳が、自分の「正義」について十津川警部に「お説教した」と語る場面があるのですが、この時自信満々に語る加納を、90歳の西村京太郎先生が見下ろしているのが見える気がする。 40歳の十津川にお説教している加納は、しかし西村先生から見たら「まだ50歳の若造」なのだと。 十津川省三40歳も、加納駿次郎50歳も、90歳から見たらまとめて「戦争を知らない子どもたち」だと。 知らないから、分かっていないから、勇ましいことが言える。でも、その勇ましいことが現実になったらどうなるか、それも想像できていない。そんな加納を、十津川は激しく叱責する。十津川は「想像できる」から。勇ましいことを言っていて実現したらどうなるか、少しでも想像できて、その想像を恐れているから。 西村先生にとって、十津川省三は「せめてこうあってほしい若者の姿」なのかも知れません。 しかし…物語の途中から、十津川の精神年齢がずれてゆく。どうやら「西村先生」が、十津川の中に入り込んでしまったようなのです。思えば「十津川警部」が書かれ始めた頃は、西村先生自身が十津川と同年代で、十津川は自らの「分身」だったはずで…その感覚が戻ってきたのか。 十津川が最後に呟く「面白くて、怖い時代だ」という言葉は、西村先生自身の言葉に聞こえます。 事実上の「遺言」になってしまったけれど、この言葉は西村先生の「生きることへの覚悟、もしくは意地」だったと思う。西村先生は、この面白くて怖い時代に立ち向かって、まだまだ生きるつもりだったはずだと思います。 | ||||
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もう新作読めなくなると思うと これから読んでないものをたくさん読みたい | ||||
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