バルト海の復讐
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初版刊行(参考)
種別
長編
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あらすじ
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評判
バルト海の復讐の評価:
4.00/10点 レビュー 1件。 D ランク
バルト海の復讐の総合評価:
6.18/10点 レビュー 11件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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本作品に限らないが、田中先生の歴史物の特徴の一つとして、蘊蓄の多さがある。巻末には参考文献が多く挙げられているし、もちろん田中先生は文献にあたって調べて書いているのは分かる。あとがきにあるようにドイツに取材にも行っているようだ。だが、この手の蘊蓄というのは、今ならネットでググればある程度容易に出てくる部分も多いため、蘊蓄自体のありがたみが、刊行時と平成最後とでは価値が違ってきているので「へぇ」ポイントが低いというべきか。 またその蘊蓄を物語の展開や描写の中に自然に盛り込んでいるならまだしも、物語の流れをぶった切って横道に逸れての説明が多かったので、説教臭い上にストーリーの流れが悪い。
そして一冊読み切りという分量の作品で、その中で蘊蓄に要する文章量が多いということは、自ずとストーリーが簡略に成らざるを得ない。なので復讐譚自体は悪いものではないが、テンポは悪い上に展開も広がってゆかず、物足りなさを感じる。
田中作品というと、その大きな魅力を形成しているのはキャラだろう。ただ本作には、魅力的なキャラというのもいないかな。例えば歴史上の実在人物なら、史実という部分で行動に制限を受けることもあるが、十分に魅力を持ちうる。史実の人物であっても名前だけとか、あるいは完全な架空人物ならば、作者の裁量でその人物をいかに魅力的に描けるか変わってくる。 田中先生の作品だと、短編なら荀灌やイシハ、一冊読み切りなら天竺熱風録の王玄策や彼岸法師など、いずれも良いキャラだった。彼岸法師などは特に物語を面白くする役割をよく担っていたものだと今更ながらにも思う。 翻って本作品はどうか。主人公のエリックが実在なのかあるいはどこかの資料に名前だけレベルなのか架空なのかは不明だが、少なくとも歴史上の有名人ではないはず。
ならば、序盤でそのキャラクター性に共感を持てれば良かったのだが、先述の通りこの時代のハンザ同盟の舞台設定の説明蘊蓄が多く、主人公キャラに入り込めない。だったら美人のヒロインでもほしいところ。だが、出てくるのはホゲ婆さん。いやBBAだから駄目というよりは、本作中にかなり多いご都合主義部分を担っていたキャラであるためあまり好きになれなかった。 ウィットのきいた会話の応酬なども少なく、そういうことでキャラの魅力という点でも弱かったと思う。
また、刊行当初ならまだ良かったかもしれないけど、今、読むと鼻につくのが、過度な中華至上主義。ヨーロッパが世界史を常にリードしてきたわけじゃなく、同時代のヨーロッパに較べて中華が進んでいることは多々あった、というのは、中華を舞台にした作品で言うならまだいいとしても、ヨーロッパが舞台の作品でわざわざ中華を引き合いに出してヨーロッパを貶める必要は無いと思った。 まあそういうことなので小説としての面白さよりも、ハンザ同盟まわりについての概説をプチ物語仕立てで行ったものとして見れば、確かに興味深いとはいえる。★3