昭和探偵
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「昭和探偵」シリーズの第1弾。3ヶ月連続刊行という。 時代小説ではなく、現代を舞台とした物語である。 「アグネス・ラムのビキニはどこに?」「ディスコ・クィーンはいまでも玉の輿か?」「総理候補が汲み取り便所に落ちた?」「コンビニのない夜は餓死もあり得た?」の4話が収められている。 いかにも「昭和っぽい」ネタばかりだ。それぞれ蘊蓄がすさまじく、しかも、それをさらりとストーリーに組みこんでいるところが上手い。 語り口はいつものとおり。 | ||||
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作者の年齢を考える。1951年生まれ。戦後生まれで高度経済成長をリアルタイムで見つめてきただろう。『となりのトトロ』のさつきと同世代と思われる。「トトロ」でもわかるとおり、宅地は郊外に広がったがまたまだ田畑は多く道路は未舗装が珍しくなかった。さつきの父親は大学教授だが借家住まい。その借家は古い和洋折衷の建物で、しゃれたテラス(だいぶボロいが)があるかと思えば縁側も五右衛門風呂もある。混沌の中にまだ貧しさが見えるのが、戦後の昭和ではなかったか。 文化的にも未成熟(貧しいともいえる)なことがわかるのが、圧倒的な人気を誇るアイドルの存在だ。本書の第一話に登場するアグネス・ラムがいい例だろう。現在のアイドルはどんなに人気があっても、広く日本国民が認知するような存在にはなりえない。「国民的アイドルグループ」と称されるAKBグループの中で、何人の名前を知っているだろうか。新御三家、中三トリオ、たのきんトリオ。ほとんどの人が名前を挙げることができた。もちろん、アグネス・ラムを知らない人はあまりいなかっただろう。メディアの数が少なかったので(テレビだけでなく明星や平凡等の雑誌を含めて)、多くの人が一つの方向を向けばみんな一斉にそっちを向いた。今は、ネットをはじめとするメディアの数が多く、いくらメディア側であおっても簡単には乗ってくれない。そして、一人一人がそのアイドルの価値を自分で決める。文化が成熟してきた証ではないか。 昭和の都会生活のまぶしさの象徴がディスコではなかったか。実際にあった照明器具落下事件をもとにしたのが第二話である。ワンレン、ボディコン、お立ち台。これもみんなが右向け右で同じ方向を向いた。 その一方で第三話は田舎にあったくみ取り式便所の話。バブルを頂点とする経済発展の恩恵を受けたのは一部の人々だったということだ。そして第四話はコンビニのない生活の話。今はコンビニもインフラの一つとして考えるらしい。そう考えると、昭和という時代は、電気・ガス・水道に匹敵するインフラであるコンビニすら普及していない、貧しい時代だったといえるだろう。それを人々が懐かしむのはなぜか。私は圧倒的に現在の生活の方がすてきだと思うのだが、 | ||||
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一見、主人熱木地潮は、ハードボイルドである。新宿に事務所を構え、雀荘に仲間がおり、ことあることにゴールデン街のバーに顔をだす。だが、熱木は元パイロット。娘はニューヨークで過ごした経験がある。富裕層出身である。雀荘に集まる顔触れも、大学教授、元エリートサラーマン、現役女社長など、コージーな人々たち。仲間のひとりはポン引きだが、これもどこか品がある。昭和にまつわる調査依頼は、ほとんどがライトノベル的な緩さだが、物語はこの章ごとの縦軸だけではない。熱木の過去、ゴールデン街の「バー遠い昭和」の双子ママが様子が不気味な匂いを醸し出している。第一巻は、そんな感じ終わる。翌月にすぐ第二巻の配本になっている。これもなんか昭和の貸本屋の雰囲気だ。 風野真知雄のこれまでの時代小説同様、軽快なテンポで読めるが、底は深い。第二巻も予約した。 | ||||
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個人的に「姫は〜」シリーズを思い起こす軽妙洒脱な語り口に、各話の締めには謎の‘オバタリアン’が登場と、コミカルな見た目ですが、その実、綿密な時代考証にただただ脱帽です。 これからの昭和探偵の活躍、心待ちにしています! | ||||
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