坂東蛍子、日常に飽き飽き
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私は純文学ばかり読んできた人間で、こういった新しいタイプの小説は文章が肌に合わない気がしてなんとなく避けてきたのですが、この作品は本当に面白かったです。 文章そのものを味わう作品はたいてい物語にはあまり展開がなく、物語の楽しさを味わえる作品はたいてい文章が平易すぎるというイメージがあったのですが、それを見事に打ち砕いてくれました。 キャラクターやストーリーに魅力があり、かつ文章も魅力的で、それらが両立されているのがすごい。 妄想やファンタジーが大好きだけど文章にはこだわりがある。だから小説は専ら古典純文学を読みつつ小説でのファンタジーは諦めて漫画を読む・・・という生活だったので、素敵な文章でおもしろい話が読めることに感謝します。 急いでこの作者さんの別の作品も購入しました。 ちなみに当方、主人公よりだいぶ歳上のアラサー女性なのですが、蛍子の全力疾走なひたむきさに触れ、かっこいい先輩に出会ったような気持ちになりました。しかしユーモアのある物語展開のおかげで決して感傷的になりすぎることなく爽やかな読後感でした。個人的にはハードボイルドに憧れながらもコンビニで腹ごしらえばかりする三木杉が特にお気に入りです。 | ||||
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この作品の登場キャラクターは、普通の人間から、ロボット、神、人形、宇宙人、幽霊など多岐にわたる。それぞれのキャラクターが、それぞれの過ごした時間を、この作品では克明に書いている。 物語の面白さはあまり無い。そういう面ではむしろSFというより純文学作品といった方がいいかもしれない。 こういったジャンルの作品は、大概まず物語があって、その中で初めて登場キャラクターの特徴が活きるというものが多い。しかしこの作品は、まずキャラクターの特徴があり、それに物語が発生する、というスタイルをとっている。普通の人間の物語など、退屈なのは当たり前なのである。それでもこの作品の作者はそのスタイルを最後まで捨てない。町田康のような語り口調で地の文を書き、最後の最後までキャラクターの、過ごす時間を綿密に描き続ける。これには普通のSFだと思って読んだ読者には、まず違和感を感じ得ると思う。おそらくこの作品は大衆受けしないかもしれない。 続編も出ているようなので、私はこのキャラクター小説がどう続くのか見たいのだが、一つ言えるのが、この作品の内面には切迫したものが見受けられ無い。これを評する時によく例に出される「涼宮ハルヒシリーズ」と違うのはその点だと思っている。この独特な小説を読みたい方は、迷わず読んでみて欲しい。 | ||||
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古川日出男さん著「Love」、ラノベ好きの人たちからすれば成田良悟さん著「バッカーノ」を想像してもらえれば、 本作の内容は伝わるかと。 青春群像劇です。 一発目のエピソードが組での立ち位置に不満を抱くヤクザもんたちによるキッドナップ(誘拐劇) ということもあり、展開に飽きがないです。 しかし、この作品の一番の魅力はやはり、唐突に挿入される人外たちの存在。 しっちゃかめっちゃかといえばそれまでですが、群像劇って、そういうもんでしょ?(笑) | ||||
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表紙がカゲプロの絵師さんの絵だったので、気になって読んでみました。 表紙もよかったけど、文も良かったです。 次々の展開や文に楽しさを感じられました。 買って、悔いもない本です!*\(^o^)/* | ||||
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少々傲慢かつ高飛車な美人の女子高生が非日常を渇望しながら、まるで台風の目のように実際にそれが起きていることに気付かないまま 周囲で巻き起こるイレギュラーな出来事や超自然的事象が奇妙な化学反応を起こしていくさまは、まるで宇宙人や未来人、異世界人、 超能力者に囲まれているにもかかわらず非日常を求めてエキセントリックな行動を取る『あの少女』の姿が頭をよぎるが、 物語に関わるすべての登場人物――人間のみならず人形や兎のぬいぐるみ、猫、鳩、宇宙人、武者の亡霊そして創造神たちの視点で描いた 群像劇として描くことによって差別化を図っている。 また、多視点の作品は往々にして読者の混乱を招くきらいがあるのだが、本作に関しては読者が混乱しないよう、文章にある程度の工夫が 為されているところも注目するべきところである。しかしながら、それがしっかりと機能しているかどうかは読み手の判断に委ねられるところだが。 『千代田区タクシー誘拐事件』 組織での一発逆転を狙って誘拐を企てるうだつの上がらないやくざ、タクシーの運転手のフリをしながら人質を連れまわす共犯者、 本来誘拐されるはずだった金持ちの少年、身代わりになった少年の友人の豆腐屋の息子、武者の霊、ぬいぐるみそして好奇心旺盛な 女子高生・坂東蛍子と、すべての人物の視点を章ごとに入れ替えさせることによって、登場人物ごとの考えや意図を読者に うまく伝える工夫がなされていると同時に、偽装タクシーを使った誘拐を群像劇に仕立て上げている。 『ぬいぐるみは静かに踊る』 タクシー誘拐で汚れてしまったうさぎのぬいぐるみのロレーヌのメンテナンスを依頼すべく、人形師である元親友・結城満の祖父のもとを訪ねたものの、 彼の留守をいいことに、人形の国やぬいぐるみの国に繋がる秘密の地下道に足を踏み入れてしまい、それを阻止せんとするロレーヌはあれこれ策を 練るのだが。というのが簡単なあらすじ。 人間とのコミュニケーションを禁じられたぬいぐるみが如何にして蛍子を止めるのか、そして己の無力さを嘆くも、知識と知恵をフル回転させて 状況を打開させるかというロレーヌの孤軍奮闘ぶりが光っている。 『何故私が川内和馬のジャージを着るに至ったか』 自分の惑星の危機を救うという命により地球人の女子高生に扮して、危機の原因と思われる坂東蛍子のDNAの採取を狙う宇宙人・大城川原クマと、 クマの狙いを知ってか知らずかそれをかわす蛍子との邂逅による騒動を描いた話。表題の『何故私が川内和馬のジャージを着るに至ったか』は、 たまたまコンタクトレンズではなく眼鏡をかけていた蛍子が眼鏡を落としたことから端を発し、紆余曲折の末の状態を指すものであり、 そこまでに至った経緯や登場人物たちの思惑と行動を、読み手に極力混乱を与えないような形で綴られている。 『ウロボロス大作戦 板東蛍子、決して尻尾を放さない』 最終章は第三章との前後編の後編のような形を取っており、それのみならず、第二章で触れられていた結城満と袂を分けた経緯と、 登場人物(登場するのは人間だけではないが、ここでは敢えてそう表記しておこう)たちの思惑そして世界崩壊の危機が入り乱れ、壮大さと矮小さという、 矛盾したスケールの追いかけっこを成立させているところに凄さを感じる。 ウィレムはドアノブを取り戻すことができるのか、大城川原クマとその同胞たちは自分たちの住む惑星を崩壊の危機から防ぐことができるのか、 そして板東蛍子は結城満と和解できるのか。できるのだとしたらどうやってするのか、最後の最後まで引っ張りきったのは良かった。 | ||||
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