レビュー一覧

本好き! さんのレビュー一覧

本好き!さんのページへ

レビュー数191

全191件 161〜180 9/10ページ

※ネタバレかもしれない感想文は閉じた状態で一覧にしています。

閲覧する時は、『このレビューを表示する場合はここをクリック』を押してください。

No.31
(10pt)

光秀の定理の感想

明智光秀を主人公にした小説はなぜこれほど面白いのでしょうか。
光秀(十兵衛)と僧・愚息と剣人・新九郎との友情物語の色濃く、彼らの性格描写は格別です。
また光秀に妻・熙子に対する愛情もよく出ています。
数学の問題の部分がかなりウエートを占めていますが、出てきたときにはもう時間も忘れて読みすすめました。
「本能寺」後における彼らの光秀に対する推測も十分うなずける内容でした。
信長も出てきますが、意外とイメージよりやさしい人物に描かれている?
真保裕一「覇王の番人」と併せて読むとより楽しめるかも。
垣根涼介:光秀の定理 (角川書店単行本)
垣根涼介光秀の定理 についてのレビュー
No.30
(10pt)

前作同様痛快ストーリー

前作「おれバブ」に続けて読みましたが、負けず劣らず痛快なストーリーで時間を忘れて読み進めました。
同作は半沢はもちろん、出向先で奮闘する近藤や金融庁のオネェ検査官・黒崎といった個性的なキャラも登場してきますが、
特に近藤には思い切り感情移入でき、思わず「がんばれ!!」と声をかけたくなりました。

半沢の活躍ぶりはもはや言うまでもないこと、徹底的にやり返す(「倍返し」と言う言葉が小説にも出てくるんですね)様が気持ちいいくらい痛快です。

近々「ロスジェネの逆襲」も読みましょう。そして4作目になる「銀翼のイカロス」も今は週刊誌に連載中とのこと、単行本で刊行されるのが楽しみです。
池井戸潤:オレたち花のバブル組 (文春文庫)
池井戸潤オレたち花のバブル組 についてのレビュー
No.29
(10pt)

元銀行員の著者ならではの痛快小説

あの大ヒットドラマの原作ではありますが、元来原作と映像は別物と認識しているので、ドラマは全く見ていません。(某出演者がキライというのもあって。。。)
元銀行員であらせられる池井戸さんならではの痛快な作品。銀行をやめたのは実際にひと悶着あったからで、それでここまで銀行組織の闇の部分を書いているのでは?と思わせますが、勧善懲悪的な展開になっていることや、半沢直樹君の活躍ぶりがみごとにハマッています。
ここに起こっていることは、決して小説の中だけではなく、多かれ少なかれ現実の銀行組織でも起こっていて不思議ではないことであり、「銀行の常識は世の中の非常識」をまざまざと体感させてくれる”半沢直樹シリーズ”第1作目であります。
ますます銀行組織と銀行員がキライになります。。。
これを読んで銀行に就職したいと思う学生がいるのでしょうか?
池井戸潤:オレたちバブル入行組 (文春文庫)
池井戸潤オレたちバブル入行組 についてのレビュー
No.28
(9pt)

日本の黒い霧~昭和の激動期を実感

昭和20年代、日本はGHQの統制化にあり、混乱状態から抜けられないでいた時代に起きた数々の事件の謎を清張さんが独自の観点から推理する。
有名な下山事件、松川事件に帝銀事件などは、事件の概要は良く知っていたが、そこにはGHQの影がうごめいていた。。。
聞いたことのある事件から、初めて耳にしたような事件まで、清張さんの名推理が展開され、戦後間もない頃の日本国内の混乱の様がよくわかった。真相はいかに、という感じですが、真犯人に突き当たりそうになったら急に警察が捜査を終えてしまうところなど、似たような事件は現代にもあるような。。。
本作に納められた事件については、当時も今もその推理について物議をかもしているようで、本作の影響力の大きさを知らされますが、特に伊藤律の章などは、伊藤の遺族から大きな間違いを指摘され、場合によっては発禁もありうるという記事を最近読んだことがあるくらいです。なんといっても、事実は小説より奇なり、歴史は生き物なんですね。
松本清張:日本の黒い霧〈上〉 (文春文庫)
松本清張日本の黒い霧 についてのレビュー
No.27
(9pt)

臨床真理の感想

正統派の医療ミステリと思いきや、障害者を題材になんともいえないダークさというか、
ここまで書いて大丈夫か?というくらいエグイ小説です。(特に最終盤)
ストーリーは割合ミステリの王道を行っていて、キャラクターもそれぞれ持ち味を出してます。
司の特殊能力もミステリらしくでいいじゃないですか。
美帆や友人警察官もいいキャラです。

障害者の描き方云々が言われてますが、私はこのくらいエグくてもいいのでは?と思います。
さすがに終盤のシーンはそのエグさに「!?」が目の前をユラユラしながら読んでいましたが、
これまで読んだこのミス大賞作品野中でも、レベルは上位だと思います。(このミス大賞の受賞作には結構エグイ内容の作品が多いと思うのは私だけ!?)

評価の高い柚月氏の他の作品も楽しみです。
柚月裕子:臨床真理 (角川文庫)
柚月裕子臨床真理 についてのレビュー
No.26
(9pt)

思い出探偵の感想

思い出の人・もの・ことを探すのが生業の思い出探偵。
終戦間もない頃の混乱期に出会った女性や、大事な落し物を届けてくれた名前も知らない人を探すことを生業とする思い出探偵。
”ハートフルミステリ”作家の著者ならではの心がホットになる作品です。
中にはサスペンス色の強い章もあり、できたら全て”ハートフル”であってほしいとも思いましたが、
どの章も「思い出」をテーマにしていることを思えば、少し変化球で攻めるところがあってもいいかなと。「思い出」とはいいものも悪いものもありますからね。
「思い出をなくした男」が続編とのことなので、早いうちに読んでみたいですね。

鏑木蓮:思い出探偵 (PHP文芸文庫)
鏑木蓮思い出探偵 についてのレビュー
No.25
(9pt)

写楽の正体見たり!?

謎の浮世絵師・東洲斎写楽の正体を著者ならではの視点で解明していく傑作長編。
その謎については諸説入り乱れているのですが、島田説はまさに目からウロコ!
これまで誰も目をつけなかったところ(意外と盲点?)に注目、謎解明のストーリーは
納得の一言です。

惜しむらくは、冒頭からしばらく読まされる”六本木回転ドア事故”。
なにか写楽の謎につながるのかと思って読んでいると肩透かしをくらったような感じです。
この事故は写楽とは直接関係ないので(こっちの方は解明まで行かないので)、
写楽の謎解明の部分が痛快だっただけに、よけいなサイドストーリーをつけてしまったな、という
印象が残り、残念な後味でした。
島田荘司:写楽 閉じた国の幻
島田荘司写楽 閉じた国の幻 についてのレビュー
No.24
(10pt)

ローカル線サイコウ!

赤字廃止寸前のローカル線を再生させるべく、社長に抜擢されたのはなんと、新幹線のカリスマ・アテンダント!運転ダイヤは1時間に1本程度の青息吐息ローカル線が、新社長の画期的なアイデアによって見事に地元に愛され蘇る。
本書はそんな企業再生物語にミステリの要素を絡めた、実に痛快な作品です。ミステリの部分は著者ならではの展開になっています。
現実にも再生を果たした路線はあるし、工夫次第で廃止を免れることは可能だということを改めて教えてくれています。鉄道オタクの皆さんにもぜひ読んでもらいたいです。
真保裕一:ローカル線で行こう! (講談社文庫)
真保裕一ローカル線で行こう! についてのレビュー
No.23
(9pt)

ミステリ色が一層濃くなりました

これまでと物語の印象がかなり変わりました。
長編であることのほかにも、江戸川乱歩をテーマにして暗号解読なんかも出てきて、ミステリ色が濃い一冊となっています。
いつかは出てくるだろうな、と思っていたらやはり出てきた「乱歩」。
ストーリーもそれに合わせたでしょうね、ミステリの王道のような展開です。
栞子さんの”探偵ぶり”も堂に入ってます。
こうなると次回作はもっとミステリらしくなるんでしょうか。
そして栞子さんと大輔君の運命は!?
三上延:ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~ (メディアワークス文庫)
No.22
(10pt)

いつまでもショパン。いつまでも岬洋介。

岬洋介シリーズです。「ドビュッシー」「ラフマニノフ」ときて「ショパン」です。
前2作と比して、舞台がポーランドで行われる「ショパン・コンクール」、そしてテロリストによる爆破事件とスケールが一気に大きくなりました。そして、内容の描写も格段に進化しているような気もします。コンクールの場面とテロの部分も難なく融合していると思います。
コンクールにおける演奏時の描写も変わらず秀逸で、まさにその場にいるように演奏者や観客の気分がよく伝わってきます。
それにしても、われらが岬洋介の今後が気になります。
ショパンの次にお目見えする大作曲家はさて、どなたでしょうか(・ ・)??

中山七里:いつまでもショパン (宝島社文庫)
中山七里いつまでもショパン についてのレビュー
No.21
(10pt)

大人の恋愛ミステリ!?

女性ベストセラー作家が突然の絶筆宣言、その真相を探り、できれば作家活動を再開してもらうべく、編集者が女性作家・咲良怜花の元へ。そして彼女は切々と絶筆宣言に至った経緯を語る...
作家・咲良怜花誕生の秘話から挫折、男性遍歴とベストセラー作家への転機、そして筆を折ることとなった経緯が実に細かに描かれています。
作家デビューまでの経緯は、一時は作家を夢見た私にとっては、生半可な考えではとても難しいぞといわんばかりに、その困難さを教えてくれてもいます。(著者ご自身の経験も踏まえてるんでしょうか?)比較的重厚な物語となっており、またその結末も重いものがあり、読み応えのある一冊でした。
女性作家を主人公にした小説を男性である著者がみごとに書き上げています。女性読者から見た咲良怜花観はどんなものなのでしょうか。

貫井徳郎:新月譚
貫井徳郎新月譚 についてのレビュー
No.20
(9pt)

玄太郎じいさん大活躍!

「さよならドビュッシー」にちらっと出てくる玄太郎じいさんが主役となったいわゆるスピンオフ小説。
脳梗塞で倒れて車椅子生活となるも、その毒舌ぶりは健在で、その名探偵ぶりを存分に発揮してくれる短編集です。
「さよならドビュッシー前奏曲」とは文庫化にあたって改題されたもので、最終章以外は音楽的な要素は一切出てこないので、少々違和感を感じるが、最終章でやっと音楽的要素が現れ、しかも岬洋介が登場するのでまぁ、よしとしますか。
どの章もそのどんでん返しぶりに度肝を抜かれました。(ちょっと大げさかな?)ぜひ続編を期待します。

中山七里:さよならドビュッシー 前奏曲(プレリュード)~要介護探偵の事件簿 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
No.19
(9pt)

異色な乱歩賞作品

歴史的超大作「カラマーゾフの兄弟」の続編に勇猛果敢・大胆不敵にも挑戦し、江戸川乱歩賞受賞の快作です。ドストエフスキーの作品を日本人が完結(?)させたなんて考えるとなんとも壮大ですが、乱歩賞史上異色さでは群を抜いているでしょうね。
物語全体に”ロシア”感があふれているし、原典を読んでいない人にもわかるようご親切に概略が盛り込まれている点には好感。しかし、19世紀半ば頃の話にしては、その頃の雰囲気がイマイチ伝わってこなかった。
このスタイルでの受賞は著者だからこそで、選考委員も言ってるように、二番煎じは絶対やめましょうね。
高野史緒:カラマーゾフの妹 (講談社文庫)
高野史緒カラマーゾフの妹 についてのレビュー
No.18
(10pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]   ネタバレを表示する

流石、さすがの夢人ワールド

要するにストーカー男の手記と’事件’に関わる人たちのインタビューで構成された物語である。
ストーカー男「鈴木誠」のその’ストーカーぶり’は読んでいて、その風貌の描写と併せて非常に不快である。
しかし...最後のドンデン返しでその印象はガラッと変わるのです。その鮮やかさたるや、流石は夢人!と賛辞を送りたくなります。しかも、ビートルズのアルバム「ラバー・ソウル」に収録された曲と、小説の章がうまいことリンクしていて、これまたさすが夢人!と再度賛辞を送りたくなります。
夢人さんの作品は何冊か読んできましたが、本作ほどそのドンデン返しぶりに度肝を抜かれたことはないですね。
ビートルズのアルバム「ラバー・ソウル」を持っているので、BGMに流しながら読むとホント、夢人ワールドに浸れます。このアルバムを聴く度、この小説のことを思い出すんでしょうね。
ぜひ夢人さんとビートルズの「ラバー・ソウル」、セットで堪能されることをオススメしますo(^-^)o

井上夢人:ラバー・ソウル
井上夢人ラバー・ソウル についてのレビュー
No.17
(9pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]   ネタバレを表示する

堕ちていく様がまざまざと

「最悪」「邪魔」に続き、登場人物の徐々に堕ちていく様が、これまでにも増して色濃く描かれた作品です。それぞれ接点のなさそうな5人を襲う苦難が、読み進めるごとにエスカレートして、その後どうなるんだ?とページをめくるスピードを速めてくれます。
5人が経験するどれもが実際に起こりうる、すでに似たような事が起きているであろうと思われる妙にリアリティのあるもので、それが恐ろしくもあり、面白くもあるのですが、中でも特に女子高生を監禁するゲームオタクの引きこもり男は非常に怖いと思いました。女性の監禁事件を起こしたヤツは実際にいるし、彼がおかれている状況、周囲への態度は現実の世界ではシャレにならないほど恐ろしいものです。
結末は期待したほどではなかったので、少々拍子抜けでしたが、それでも前2作と比較して遜色ないデキだと思います。
奥田英朗:無理
奥田英朗無理 についてのレビュー
No.16
(9pt)

意外に傑作(?)かも

著者の作品では「さよならドビュッシー」や「おやすみラフマニノフ」のイメージが強いので、法廷ミステリと聞いて、数ある法廷モノにまたなんで?などと思いながら読みましたが、意外にストーリーがしっかりしていて、面白かったです。
冒頭部分はよくあるパターンの印象でも、少年院のエピソード(ピアノ演奏を聴いているシーンはさすが中山七里!と思いました)、後半の法廷でのシーンは圧巻でした。(実際の裁判であんなことが可能なのか?)結末も悪くないと思いましたね。
また登場人物それぞれが個性豊かで(少年院の章は特に)著者はクラシックミステリだけではないことを改めて認識しました。
中山七里:贖罪の奏鳴曲 (講談社文庫)
中山七里贖罪の奏鳴曲 についてのレビュー
No.15
(9pt)

アートミステリー

美術、特に絵画に関してはてんで絵心も興味もないのですが、あえて読んでみました。
アンリ・ルソーは名前を聞いたことがあるかな?という程度で、いわば真っ白な状態で読み始めましたが、
やはり話題になるだけのことはある。
こういったジャンルに疎い私でも納得のストーリーでした。
作中作といえるルソーに関する「物語」も効果的で、これぞ美術ミステリ、アートミステリといった
作品です。
原田マハ:楽園のカンヴァス (新潮文庫)
原田マハ楽園のカンヴァス についてのレビュー
No.14
(9pt)

クライトンよ永遠に

クライトン氏の死後、PC内から見つかったという原稿。
それだけでどんなものか早く読んでみたいとそそられていましたが、期待を裏切らない冒険ミステリーでした。タイトルから某ヒット映画を彷彿とさせますが、クライトン流の痛快小説、却ってこっちの方が面白いのでは?と思わせるほどページをめくる手が進みました。
”私掠人”という海賊とは少し違う職を初めて聞きましたが、ハンターや彼と行動を共にするキャラクターたちはどこか「桃太郎」を思い起こさせてくれます。(いい感想だと自画自賛しましたが、巻末の解説にそっくりそのまま書かれていましたね...)後半はあっという間に読み進めましたが、楽しい読書時間を過ごせました。

マイクル・クライトン:パイレーツ―掠奪海域 (ハヤカワ・ノヴェルズ)
No.13
(9pt)

企業小説と野球小説の融合

著者ならではの企業小説と野球小説の融合が実現しました。どちらか片方だけなら今までにも多数あったでしょうが、これがひとつになると新しい世界が開けます。かつては名門と言われた会社の野球部の斜陽と会社の統合を持ちかけられる上層部の苦悩。それがうまくマッチして痛快な作品となっています。
確かにストーリー的にはパターンが決まっているのだけれど、それを払拭させるものを著者の作品には感じます。企業小説ファンはもちろん、野球ファンにもオススメの一冊でしょう。
池井戸潤:ルーズヴェルト・ゲーム (講談社文庫)
池井戸潤ルーズヴェルト・ゲーム についてのレビュー
No.12
(9pt)

オリンピックイヤーですね

昭和39年。東京オリンピックに沸く日本。オリンピックを無事開催させることに心血を注ぐ警察と、その警察に一泡ふかせるべく、開催を妨害しようとする学生。その闘いがみごとに描かれています。
この作品のいいところは、当時の世相・文化などがさりげなく織り込まれてまるでノンフィクションとおもってしまうようなリアリティーがあること。当時流行ったモノや人気のあった有名人などが実名で出てくるとドキュメンタリーのような様相も伺えます。また、華やかな舞台の裏側で支えている下請け労働者の悲哀・格差社会の問題点も浮き彫りにされています。
時系列で物語が進むのですが、その日付が章ごとに前後していて読み進めるのにやや注意深さを要するのと、最後の場面は警察側だけではなく、島崎側からの視線でも描いてほしかった気がします。
いずれにせよ、オリンピックイヤーの最初を飾るのに最適な小説でした。

余談ながら。次回の東京オリンピックの誘致がちょくちょく取り上げられますが、この小説にもチラッと出てくるように、開催の間隔は100年に一度位でちょうどいいと思います。
奥田英朗:オリンピックの身代金
奥田英朗オリンピックの身代金 についてのレビュー