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レビュー数191

全191件 61〜80 4/10ページ

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No.131
(9pt)

球界消滅の感想

2004年の球界再編問題も記憶に新しい中、その上をいく日米球界合併問題。国内の再編問題も収束したわけではなく、いつ再燃してもおかしくない昨今、実際に起きてもおかしくない騒動を見事に描いてくれました。この小説どおりになって、野球界が人気を吹き返すかはわからないが、着眼点がいいし、登場人物には東都新聞の京極や牛島をはじめ、いけ好かないヤツらが彩を添えて一気に読ませてくれました。(俊太郎はカッコいいし、岩城の人間性はバツグンだし、、、球団や選手だけでなく、審判員も同様に不安を抱えているところを描くなどは抜かりないなと感服)
未だ反対論も多いCSや、メジャー流出など懸案絶えない中、日本球界の今後が明るいものであってほしいとの願いをこめて本作を読み進めると作者のメッセージが色濃く感じ取れるのではないでしょうか。
本城雅人:球界消滅 (文春文庫)
本城雅人球界消滅 についてのレビュー
No.130
(9pt)

シークレット・エクスプレスの感想

JR貨物による輸送を題材にするあたり、真保さんらしさがよく出てる。鉄ヲタが喜びそうなテーマと原発問題を絡めたシリアスなサスペンス。確かに映像的には地味だろうが、社会派ミステリとしては、政治家の心の奥をまさぐる読み応えのある作品だった。現実にあってもおかしくないリアリティさを前面に、地味でいいから心にグッと楔を打つような重厚感あふれる作品を今後も期待したい。
真保裕一:シークレット・エクスプレス
真保裕一シークレット・エクスプレス についてのレビュー
No.129
(9pt)

テスカトリポカの感想

麻薬密売や臓器売買といえばミステリには今や定番化しているだろうが、佐藤氏の手にかかれば一筋縄ではいかない重厚な物語になる。
残虐なシーンがたびたび現れるが、独特な文体で淡々と進んでいくとページをめくる手が止まらないというのもわかる気がする。
登場人物が人間的なようでいて、なんだか残虐なだけの殺戮マシンになっているようで、怖さが募る。でもかといって残念さはない。
特に印象に残っているのは、コシモのいろんな意味での異常さと、リベルタのやさしさかな。
本作を読んでいる最中に直木賞受賞の朗報。とにもかくにも、いろいろ意見が取りざたされているようですが、受賞おめでとうございます。
初ノミネートで受賞も勲章です。
佐藤究:テスカトリポカ (角川文庫)
佐藤究テスカトリポカ についてのレビュー
No.128
(9pt)

昭和の社会派ミステリの最高峰

昭和を代表する社会派ミステリの金字塔ともいうべき、傑作。といえるのは、昭和30年代にこれだけのミステリ作品が描かれ、今なお読み継がれる傑作となっていること。
今西刑事の執念の捜査、方言学、音響学、政界のウラ側までも上手く取り入れて、読み応え十分の作品に仕上げられたこと。上下巻に分かれる超長編になったのは、それだけ現実的には世の中簡単じゃないよ、と紆余曲折を繰り返す捜査やそれを攪乱する犯人のやり口を細かく描いた結果なのでしょう。採用されているトリックがどうのこうのと取りざたされることもあるようだけど、別に気にならなかった。
松本氏を代表する作品であるだけに、何度もドラマ化・映画化されているが、そのどれもが到底及ばない原作の力をよくわからせてくれた”昭和の社会派ミステリの最高峰”なのです。
追伸:「男の爆発」には笑いました(笑)
松本清張:砂の器〈上〉 (新潮文庫)
松本清張砂の器 についてのレビュー
No.127
(9pt)

終わりの歌が聴こえるの感想

野球や競馬のミステリを読んできた本城氏の新境地か、ミュージシャンの世界を見事に描いた人間ドラマに仕上がっている。仲違いやドラッグなど、ミュージシャンあるあるな部分もあり、実際のミュージシャンたちも味わっている部分もあるのでは?とリアリティも窺える。
音楽を奏でるシーンも堂に入ってるんじゃないかな。歌詞もドラマチックな仕上がりですよ。音楽好きな私にも納得。
でもやはり本城氏の作品はスポーツモノがいいな、というのもホントのところ。
本城雅人:終わりの歌が聴こえる
本城雅人終わりの歌が聴こえる についてのレビュー
No.126
(10pt)

雨降る森の犬の感想

直木賞受賞作「少年と犬」のステップとなったとも言える作品。犬好きな必読、女子中学生・雨音を取り巻く伯父・道夫や高校生の正樹が彼女の成長に手助けし、そして忘れてはいけないバーニーズマウンテンドッグのワルテルから大切なものを教わり自分自身を見つめて将来の姿を見出していくという、感動的な小説となっている。山岳小説の要素もあるが、犬小説としてのある種のパターンもあって、これはこれでひとつの小説ジャンルととらえる。道夫さんや正樹の言動、きれいな山岳・森のシーン、そしてラストは涙なしでは…
ひとつ気になったのは、ストーリーには関係ないけど、中高生にビールやワインを飲ませるところ。別に変な意図はないんだろうけどね。
馳星周:雨降る森の犬
馳星周雨降る森の犬 についてのレビュー
No.125
(10pt)

黒い福音の感想

現実に起きた事件がもととなった作品であり、時代もあっただろうが協会側の狡猾さと、当時の日本の警察力の弱さを見事に描いた快作。
人物名や団体名は変えられており、多分にフィクションも交えているだろうけど、教会側の巧みな策略には警察のみならず、私も舌を巻かれる思い。
全編にわたり、作者の事件に対する思いが張り巡されている、最後まで気を抜けない物語だった。また、第1部の教会編、第2部の捜査編に分かれて
事件の書き方も作者のうまさが光っていると思う。
これが全くのフィクションだったらよかったのにとも思った。
警察のふがいなさに歯噛みすることしきりだったが、現代の未解決事件も同じようなことが起きているのではないかとも感じさせてくれた。
松本清張:黒い福音 (新潮文庫)
松本清張黒い福音 についてのレビュー
No.124
(9pt)

この本を盗む者はの感想

これまでの「戦場のコックたち」や「ベルリンは晴れているか」等とは全く異なる作風で、まさにジブリ映画を思わせる幻想的ファンタジー。本の世界に入り込むというリアリティとは真逆の世界を体験する少女がとても健気で好感度↑↑。
元来、私自身はこういった作品はやや守備範囲外だけど、いつしか物語世界にどっぷりハマって、自分も”本”の世界に入り込んでしまっているのに気づくことも。
基本的には普段の読書にリアリティを求める私ですが、たまにはこういう幻想空間を体験するのもいい、と感じさせてくれた。
しかし、ひるね伯母ちゃんは気持ち悪いな。。。
深緑野分:この本を盗む者は (角川文庫)
深緑野分この本を盗む者は についてのレビュー
No.123
(9pt)

陽だまりの天使たち ソウルメイトⅡの感想

巷では猫ブームとやらで猫番組も多いが、やはり犬好きには犬小説。前作「ソウルメイト」と比して「命」に重きをおいたお話が多いです。
特に障碍をもった犬をテーマにしたものは、かつて私も脚の不自由な犬を飼っていたので感傷に浸っていました。
最後の章では、そんな彼らに逢ってみたくなる作品。あっちの世界で元気に走り回ってるかな。
馳星周:陽だまりの天使たち ソウルメイトII (集英社文庫)
No.122
(9pt)

噺家ものがたり 浅草は今日もにぎやかですの感想

落語にはサゲが大事。破楽師匠が教えてくれたとおりに、見事に最後が決まっています。創作落語の「千歳飴」や刑務所の慰問など読みどころ満載で、まさに名人芸を堪能した気分。電撃文庫大賞の奨励賞を受賞したのも頷けます。「猫の恩返し」で涙腺崩壊です。
弟子入り志願する願もさることながら、破楽師匠の生き様に拍手!
村瀬健:噺家ものがたり ~浅草は今日もにぎやかです~ (メディアワークス文庫)
No.121
(9pt)

わたしが消えるの感想

認知症を題材にした前半、テロリストの暗躍の中盤、そして警察組織の闇をえぐった終盤。
この展開はミステリとして迫力あり。乱歩賞作としてはレベル高い。地味な前半から派手な中盤〜後半の様変わりには読み応えがあった。
選考委員が指摘するように、警察組織を勘違いしているには同意するが、フィクションだからいいか。
佐野広実:わたしが消える (講談社文庫)
佐野広実わたしが消える についてのレビュー
No.120
(9pt)

あかり野牧場の感想

生産者の立場から見た競馬を、リアリティ豊かに描いた感動作。さすがは元スポーツ紙記者、どこをとっても臨場感豊かに読ませてもらえた。生産者のみならず、調教師、騎手、馬主も実際こういうやり取りをしているんだろうなと思わせるし、結末はわかりながらも、感動に誘ってくれるのは競馬ファンならずとも納得の作品です。
帯に「ダービーのスタンドがファンで埋め尽くされる日が戻りますように」とあるように、1日も早く大勢のファンが生のレース観戦ができるようになるよう心から願っています。
本城雅人:あかり野牧場
本城雅人あかり野牧場 についてのレビュー
No.119
(9pt)

月の満ち欠けの感想

輪廻転生を題材にしたものは数々あれど、本作は著者のセンスのよさと読みやすさで感動的な一作。前世の記憶があるということがこれほどまでに不幸なことなのか、というのが全体に漂い、純愛ミステリといった風合いで、なるほど直木賞を獲ったのも頷けると感じた。輪廻転生は肯定も否定もしないがきっとそういう子供は実際いるのだろう、ただ上手く人に伝えられないまま大人になるにつれて忘れていくんだろうな、と思ったしだいです。
佐藤正午:月の満ち欠け
佐藤正午月の満ち欠け についてのレビュー
No.118
(9pt)

少年と犬の感想

「人の心を理解し、人に寄り添ってくれる。こんな動物は他にはいない。」本作を読むとそれがよ〜くわかる。いい人間、悪い人間の違いなんか当然わかってるんだろうな。犬を飼っていたことのある私も、これを読んで改めて犬が人間に対してもっている感情がどれだけレベルの高いものかを感じ取ることができました。私も感じたことがあるのですが、やけに飼っていたのと同じ犬種に出くわすな、と思っていたら当の犬が実は亡くなったと聞かされ、きっとありがとうを言いに来てたのでは?なんて言われたことがあります。本作は現実感はイマイチかもしれないが、そんな犬の想像以上の賢さを思い知らされる作品でした。直木賞受賞おめでとうございます^_^
馳星周:少年と犬
馳星周少年と犬 についてのレビュー
No.117
(10pt)

覇王の番人の感想

大河ドラマの影響もあり、12年ぶりに再読。光秀に関する研究も進み、またドラマや小説などの本を読んできたこともあり、より内容が鮮明に理解できた。改めて真保さんの筆力に感服。
小平太を代表する忍びの躍動ぶりも感動的、上下巻に分かれて長いかと思われた大作もあっと言うまに読破。光秀に関する謎はこうだったらいいな、面白いなと思ったことをほぼ網羅してくれていて、文句なしの傑作と言えます。
数年後、また再読したいです。
真保裕一:覇王の番人 上
真保裕一覇王の番人 についてのレビュー
No.116
(9pt)
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ダーク・ブルーの感想

深海調査船を舞台にしたスリル満点海洋ミステリ。
さすが真保さん、この手のサスペンスは外しません。閉ざされた空間で繰り広げられる展開は「ホワイトアウト」を彷彿させるが、また違った世界を見せてくれます。そして全編にちりばめられた蘊蓄(こういうと否定的に感じるかも知れないが)も真保さんらしさが活きていて、名手健在を印象づけてくれました。
真保裕一:ダーク・ブルー
真保裕一ダーク・ブルー についてのレビュー
No.115
(10pt)

暴虎の牙の感想

ガミさん、日岡、そして沖虎彦。3人の個性が光る3部作の完結編。本作の昭和57年編ではやはりガミさん。
そして平成16年編では日岡が捜査の中心にいるわけだが、全体にわたってその存在感を重く漂わせているのが沖虎彦。改めて彼の人生を考えてみると、なんとも言えない世の中の不条理が見えてくる。本作の真の主人公は沖か。
「孤狼の血」シリーズ3部作はとにかく骨太で丁寧かつ重厚な作りが際立っており、本作のラストは掉尾を飾るにふさわしいグサリとくる読後感。
柚月裕子:暴虎の牙 上 (角川文庫)
柚月裕子暴虎の牙 についてのレビュー
No.114
(10pt)

下山事件 暗殺者たちの夏の感想

限りなく事実に近いフィクション、「下山事件 最後の証言」と併せて読めば、昭和史最大の未解決事件の真相がわかるかも知れない。同時に戦後史の闇の部分が垣間見える。でも最も感じたことは、数多い未解決事件、この作品と同じようなことがウラで蠢いているのではと勘ぐらされてしまったのも事実。
600頁以上ある分厚い文庫本だが、あっと言う間の一気読みだった。
柴田哲孝:下山事件 暗殺者たちの夏 (祥伝社文庫)
柴田哲孝下山事件 暗殺者たちの夏 についてのレビュー
No.113
(9pt)

監督の問題の感想

万年最下位球団を引き受けることになった新米監督の奮闘ぶりがコミカルに感動的に描かれた、野球好きにもってこいの作品。監督と曲者のコーチ陣、選手との葛藤が、実際もこうなんだろうなぁと思わせてくれながら、強豪チームに立ち向かうチームの奮闘が、笑いとともに伝わってくる。私も野球好きなので、現場の泣き笑いがよくわかる。
好きな場面のひとつとして、監督が電話で奥さんと話したチームを率いていくヒントを得るところ。各章に用意されているが、ちょっとしたポイント。
でも第5章の美人広報のエピソードはなくてもよかったかなぁと思った。
野球好き、特に弱い球団のファンなら最後はウルッときますねよ。
本城雅人:監督の問題 (講談社文庫)
本城雅人監督の問題 についてのレビュー
No.112
(9pt)

壁の鹿の感想

ミュージシャンであり小説家である黒木さんの処女小説、当初はCDアルバムの付録となっていた連作短篇。しかし、あなどるなかれ、その完成度はハンパない!
鹿の剥製と話ができる主人公たち。それだけ聞くとファンタジーそのものだが、荒唐無稽というなかれ。初めはファンタジーとして読み進めていくが、終盤からミステリー、ホラー色が濃くなり、人生を見つめ直していくストーリー展開。そのポイントポイントで話ができる鹿の剥製が重要な位置を占める。
初めての小説でこれだけの作品が書ける著者。彼女が生み出す音楽とともに小説も大いに期待できる。
黒木渚:壁の鹿 (講談社文庫)
黒木渚壁の鹿 についてのレビュー