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レビュー数191

全191件 41〜60 3/10ページ

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No.151
(9pt)

D坂の殺人事件の感想

創元推理文庫の乱歩全集にある挿絵は、昭和いや大正感が出ていて、乱歩の世界にどっぷりつかれる。一見何が描かれているのかわからないところがGood。
明智小五郎が初登場する「D坂の殺人事件」をはじめ、「虫」「石榴」を読めただけでも本書を手にとって良かったと実感。
江戸川乱歩:D坂の殺人事件 (江戸川乱歩文庫)
江戸川乱歩D坂の殺人事件 についてのレビュー
No.150
(9pt)

戦火のオートクチュールの感想

ブランドには興味がないが、謎多きココ・シャネルと彼女を絡めた完成度の高い歴史ミステリーとして、本作は史実を絡めたその本質を極めていると感じさせる。
ココ・シャネルやヒトラーが生きた時代の混沌も彩りを添えて、戦時中と現代を巧みにつなぎ合わせたところも実にドラマチック。
佐野広実:戦火のオートクチュール(祥伝社文庫さ24-1)
佐野広実戦火のオートクチュール についてのレビュー
No.149
(9pt)

ラブカは静かに弓を持つの感想

音楽小説とスパイ小説の融合。主人公・橘はどこか「ピアノマン」の雪祈に似た雰囲気を持っている印象を持ったが、音楽をやる人間はこのキャラクターが似合うのか。音楽教室の仲間や浅葉先生もそれぞれいいキャラクターで音楽好きには納得の作品。
安壇美緒:ラブカは静かに弓を持つ (集英社文庫)
安壇美緒ラブカは静かに弓を持つ についてのレビュー
No.148
(9pt)

鴨川食堂ひっこしの感想

鴨川食堂が上賀茂に移転!?これまでとは趣の違ったストーリー展開、今後はどうなっていくのか興味が唆られる。「鴨川食堂おでかけ」という初めての試み(ファンサービス?)や「産大」の登場で思わずほっこり。
上賀茂に移転した新・鴨川食堂の流・こいし親子の進化した姿を期待!
柏井壽:鴨川食堂ひっこし (小学館文庫 か 38-13)
柏井壽鴨川食堂ひっこし についてのレビュー
No.147
(10pt)

風神雷神 Jupiter,Aeolus の感想

アートミステリーの名手による感動の歴史青春小説。大半はフィクションだろうが、若き日の宗達や遣欧使節の少年たちが実際にそうだったかもと思わせるほどのリアリティで芸術を求めて命懸けの旅をする。旅の途中もさることながら、ローマにおける現地での絵画との衝撃の出逢い。シーンひとつひとつがまさに絵画的で、読んでいるこちらもそれを共有しているかのよう。
プロローグとエピローグに登場する望月彩。マハさんの分身かも、とも思わせてくれた。
原田マハ:風神雷神 Juppiter,Aeolus(上)
原田マハ風神雷神 Juppiter,Aeolus についてのレビュー
No.146
(9pt)

なぜ「星図」が開いていたかの感想

初期短篇8篇からなる傑作ぞろい、昭和30年代初期ということを考えれば、今なお人気を博しているのがわかるというもの。「顔」や「張込み」といった映像化作品もいいし、個人的には本作最後を飾る「共犯者」は最高に面白かった。
長篇も短篇もやはり面白い作品揃いです。
松本清張:なぜ「星図」が開いていたか (新潮文庫)
松本清張なぜ「星図」が開いていたか についてのレビュー
No.145
(9pt)

教誨の感想

テーマがテーマなだけに、非常に重いものが全体的に漂う。「約束」の真相はともかく、重苦しさに終始しても、最後は救われる。また、田舎町の閉鎖的な風土もよく出ていると思う。
東北を舞台にした著作が多い著者であるが、書くのがつらかったというのがよくわかった。

柚月裕子:教誨
柚月裕子教誨 についてのレビュー
No.144
(9pt)

残照の感想

やはり本城さんの競馬ミステリは面白い。
前半は競馬サークルの人たちの馬、競馬に対する思いが詰まったお仕事小説的な意味合いが強いが、後半になるにつれてミステリ色が濃くなっていく。
ミステリの部分は極オーソドックスだが、競馬に係る部分であの独特な世界の内面がよくわかってくる。馬という動物を扱うだけい、どんな社会よりも苦労が多い世界なんだなと思い知らされた。そして、あのラスト。ドラマチック。まさに残照。
本城雅人:残照
本城雅人残照 についてのレビュー
No.143
(9pt)

英雄の感想

確かにテーマとしては地味だが、どこをとっても著者の綿密な表現力がみてとれる。著者ならではの力のこもった作品だし、期待は裏切らなかった。戦後まもなくの時代から、歴史を重ねて現代までの紆余曲折。人生とはなんと波が大きなものだろうか、ここまで人生に翻弄される人もいるのか、また、家族のカタチもさまざまなものがあると再認識させられる。色々な意味でいい作品でした。
真保裕一:英雄
真保裕一英雄 についてのレビュー
No.142
(9pt)

此の世の果ての殺人の感想

古風な印象さえあるタイトルに対し、さすがは史上最年少の乱歩賞作家だけあり、軽いけどストーリーはしっかり、テーマの選択、絶望的な将来しか見えないのに人物たちがむしろ軽やかに行動して陰鬱にならないところ、それに構成も新人とは思えない程うまい。リアリティこそないものの情景がはっきりイメージできるのは、先行きが楽しみな作家といえる。あとは本作が最高傑作にならないよう、進化していくことを祈るのみ。
荒木あかね:此の世の果ての殺人 (講談社文庫)
荒木あかね此の世の果ての殺人 についてのレビュー
No.141
(9pt)

爆発物処理班の遭遇したスピンの感想

8篇からなる短編集、それぞれにいえることは、読後感の悪さ(いい意味での)。著者の持ち味といえる。
どれも救いようのない絶望感が漂い、それでも次の作品を期待してしまう中毒性。これも著者の持ち味。「九三式」は乱歩賞特集で読んだことがあるが、改めて完成度の高い絶望感をもつに至った。著者のこの世界から抜け出せない。
佐藤究:爆発物処理班の遭遇したスピン
佐藤究爆発物処理班の遭遇したスピン についてのレビュー
No.140
(9pt)

美しき愚かものたちのタブローの感想

「松方コレクション」を巡る松方、田代、そして日置の思い。その苦労は三者三様だが、行き着く先はひとつ。史実をもとにしたフィクションだけに、説得力十分。近代史の勉強にもなる。「バカヤロー解散」でおなじみの吉田茂がなかなかいい役どころになっているのもいい。そしてラストは感涙必至。
松方さん、なかなか憎めないなぁ。絵画のことはよくわからないのになぜコレクションしようとするのか。むろんどこかの政治家のような考えは決してもっていない。
日置の妻・ジェルメンヌの言葉「戦闘機ではなく、タブローを。戦争ではなく、平和を。」どこかの国に聞かせたい言葉。
史実がもとになっている作品、西洋絵画にも興味があるので、マハさんの中でも特に心に残る感動作でした。
原田マハ:美しき愚かものたちのタブロー (文春文庫)
原田マハ美しき愚かものたちのタブロー についてのレビュー
No.139
(9pt)

チョウセンアサガオの咲く夏の感想

柚月ファンには答えられないサービス満点の短編集。著者のよさがコンパクトに詰め込まれている。ブラックなものから、時代物、ユーモラスなもの。そして忘れてはならない佐方貞人シリーズのスピンオフでしっかり締めている。
長編でこそ著者のよさが光るという意見もあろうが、こういう短編で少しそのワールドを覗くのもオツなものである。
柚月裕子:チョウセンアサガオの咲く夏
柚月裕子チョウセンアサガオの咲く夏 についてのレビュー
No.138
(9pt)

誰かがこの町での感想

「同調圧力」をテーマに、表向きは田舎町を安全安心な町にするためと言いながら、裏では自分たちの都合の悪い部分は包み隠していくどこかの悪徳政治家のような町の役員たち。少数の正しい意見が、多数の間違った考えに包み込まれてしまう恐ろしさを本作で感じた。現実にあっても不思議ではない、いやありそうな話。いい意味で読後感のよくない傑作だったと思います。
第三者的に見れば、少数の正しい意見を言う立場に立つだろうけど、実際自分がこんな町に住んだとすれば、上の指示におとなしく従ってしまうんだろうなぁ。
佐野広実:誰かがこの町で (講談社文庫)
佐野広実誰かがこの町で についてのレビュー
No.137
(10pt)

黄金旅程の感想

人気馬・ステイゴールドをモデルにした、馬を愛する者たちの感動巨編。競馬用語の解説もさり気なく盛り込まれ、競馬初心者にも優しい小説です。
著者は犬のみならず、馬小説でも感動させてくれることがわかったし、どの場面をとっても情景が今見ているかのようにわかる。競馬に詳しければモデルとなった馬や人がわかって、より楽しめます。
ヤクザとのカラミや濡れ場などがとやかく言われているが、それほど気にはならない。むしろ気分転換、閑話休題的要素。
本作を読んで競馬に、競走馬生産の現状に興味をもってもらえれば最高でしょう。
馳星周:黄金旅程
馳星周黄金旅程 についてのレビュー
No.136
(9pt)

おわかれはモーツァルトの感想

岬洋介シリーズの中でもトップクラスに面白かった。全盲のピアニストは実在するし、全聾の音楽家のふりをした詐欺師も実際にいたが、それを意識させながら、演奏シーンでは主人公・榊場隆平の超絶ぶりをしっかり描いている。演奏シーンはこのシリーズの最も特徴的で個人的にも好きな場面です。
肝心の岬洋介は後半になってやっと登場してくるところが何とももどかしいけど、彼の個性は健在です。
このシリーズ、まだまだ続くようなので楽しみは限りがない。次はどんな天才ぶりを見せてくれるのかな?
中山七里:おわかれはモーツァルト (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
中山七里おわかれはモーツァルト についてのレビュー
No.135
(9pt)

新聞記者のお仕事

女児誘拐殺害事件がベースになっているが、さすが元記者だけあって、新聞記者と警察との心理戦は読者を引き寄せるには十分な筆力で、グイグイ来るものがある。全編に渡って漂う緊迫感は、記者経験がもたらしてくれるものだろう。
ミステリであると同時に、「新聞記者のお仕事小説」の様相もあった。
わかりやすい文体もその一助となっている。本城氏の野球小説でも言えることだが、現場(ここでは事件現場)より、それを取材する記者の行動が中心に描かれ、他のミステリとは一線を画し、本城作品ならではの特徴を表している。
少々分厚めの本でも、あっという間に読破できるほどのめりこんで読めたのも、この辺にあって本城氏のウマさにあると思う。
でも結局は本城氏の作品は野球小説(もしくは競馬小説)がお気に入りなので、そちらを中心に読んでいくことにしようと思う。

本城雅人:ミッドナイト・ジャーナル
本城雅人ミッドナイト・ジャーナル についてのレビュー
No.134
(9pt)

ミカエルの鼓動の感想

著者の警察ミステリを読んでいれば、その表現力たるや右に出るものなしと言えると思うが、医療ミステリでも遺憾なく発揮されている。その緻密さは一読瞭然。直木賞候補も頷ける。
ただし西條は「孤狼の血」のガミさんや日岡、佐方貞人に比べるとやや魅力に劣るか。西條と航の交流は心温まるものがあったけど。
柚月裕子:ミカエルの鼓動 (文春文庫)
柚月裕子ミカエルの鼓動 についてのレビュー
No.133
(9pt)

北緯43度のコールドケースの感想

最近の乱歩賞受賞作の中では楽しく読めた。初応募で初受賞ということだが、女性作家ならではの丁寧さと、初応募とは思えないほどの巧みさが窺える。産業翻訳家としての技量がモノを言っているか。選評では文章が下手とか読みにくいとか言われていたけど、さほど気にならなかった。次回作以降はテーマしだいでリピーターになるかも。
伏尾美紀:北緯43度のコールドケース (講談社文庫)
伏尾美紀北緯43度のコールドケース についてのレビュー
No.132
(9pt)

出版禁止 いやしの村滞在記の感想

なるほど〜!と感嘆詞がもれるほど仕掛けが見事な小説です。禁止シリーズならではの仕掛けに騙された、というか見事にハマリました。ここに出てくる「伝承」が実際にあっても不思議ではない、ある意味実際にあってほしいとまで思ってしまいました。確かに二度読みしたくなるというのもわかります。ここまで来たら次の禁止シリーズはどうなるのか。恐ろしいです。人の命と恨み・哀しみについて考えさせられもしました。
長江俊和:出版禁止 ろろるの村滞在記