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レビュー数191

全191件 21〜40 2/10ページ

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No.171
(9pt)

傷だらけのカミーユの感想

カミーユ・ヴェルーン警部シリーズ3部作の最終章。
前2作に比べると、ややソフトではあったが、期待を裏切らない展開で、訳者のうまさも相まって3作読み切って満足感に浸された。
当シリーズは完結とのことだが、何らかの形でまたヴェルーヴェンに会いたいものである。
ピエール・ルメートル:傷だらけのカミーユ (文春文庫)
No.170
(9pt)

共犯の畔の感想

テーマ的に地味で固いところはあるが、著者の巧妙さで政治家の裏の部分が見えかくれさせてくれる。田舎町のダム建設に係る選挙戦と政治家秘書の監禁事件がどう関わってくるか、読み進むに従って真相が徐々に分かってくるが、そうきたか!と納得の結末。リアリティあふれるストーリーだけに、読後はきっと政治家がさらに信用できなくなること間違いないだろう。
真保裕一:共犯の畔
真保裕一共犯の畔 についてのレビュー
No.169
(9pt)

暗殺の感想

記憶に新しい安倍晋三元首相銃撃事件がモデル。実在の個人名や団体名が出てきて、事件の経緯も実際に合わせているところもあるが、作品自体はフィクション。真相に近いと思われるところはあるけれども。終盤は全くのフィクション(だろうけど)で、却って安心した。これが全てフィクションだったらよかったのにという読後感。
当事件は、首相と宗教団体との癒着を明らかにすべく、容疑者がその風穴を開けるべく事件を起こした、そして政府が慌てだした、という点ではざまあみろ感さえ覚えたが(もちろんこんな事件など起こしてはならないが)、現実のところ、政府は国民のために、というのは建前で自分たちのことしか考えていないことが改めて明らかになったと感じた事案だった。
柴田哲孝:暗殺
柴田哲孝暗殺 についてのレビュー
No.168
(9pt)

悲しみのイレーヌの感想

P.ルメートルのデビュー作、カミーユ・ヴェルーヴェンシリーズの1作目であり、「その女アレックス」より遡る作品であるが、「その女〜」より後でも違和感なく読める。
現実に出版されているミステリ小説の犯罪をそのまま実行するという設定がいいし、デビュー作にしてこの展開はまさに脱帽!引用されている現実に出版されている小説は、かなり古めの作品のようだが、できればそちらも読んでみたい。
そして「傷だらけのカミーユ」も大いに期待できる。

ピエール・ルメートル:悲しみのイレーヌ (文春文庫 ル 6-3)
ピエール・ルメートル悲しみのイレーヌ についてのレビュー
No.167
(9pt)

鴨川食堂ごほうびの感想

上賀茂神社近くに移転した鴨川食堂、懐かしい地名が随所に出てきて、はからずも東本願寺と上賀茂神社周辺には縁がある自分にとっても惹き込まれるエピソードばかり。特に「牡蠣フライ」は自分の過去を思い出させ、優しい気分になる一編でした。
柏井壽:鴨川食堂ごほうび (小学館文庫 か 38-14)
柏井壽鴨川食堂ごほうび についてのレビュー
No.166
(9pt)

時空に棄てられた女 乱歩と正史の幻影奇譚の感想

乱歩と横溝を中心にノンフィクションとフィクションを織り交ぜ、二人の作品の特徴を活かしたようなミステリ作品。2人が現実に起きたかのような事件に巻き込まれるスリリングなストーリー。本作のトリックはまさに両者の作品を足して2で割ったような、1冊で2度美味しい趣向か凝らされたようなものになったような気がした。また、終章は2人の半生と作品の歴史を復習するような内容にもなっており、最後まで楽しめた。
長江俊和:時空に棄てられた女 乱歩と正史の幻影奇譚
No.165
(10pt)

フェスタの感想

クラシックには目もくれず、日本馬初の凱旋門賞制覇を夢見る関係者たち。父馬がもう少しのところで届かなかった夢をその仔に託すが、なにせクセの強い仔で……
今年の凱旋門賞が楽しみになる作品でもあり、生産者や馬主をはじめとする関係者の当レースとカムナビにかける想いがしっかり伝わってきた。現実にクラシックより凱旋門賞、という関係者がいるかどうかはともかく、馬を、競馬を愛する者たちの想いを著者はしっかり伝えてくれる。
今年の凱旋門賞は出走馬の血統にも注目!?
馳星周:フェスタ
馳星周フェスタ についてのレビュー
No.164
(9pt)

ノーバディノウズの感想

著者のデビュー作にして、みごとな野球小説とミステリの融合。本作が著者の野球ミステリの原点、さすが元記者だけあり、野球をここまで掘り下げた作品はそうはお目にかかれないだろう。野球小説かと思えばあらぬ方向へ物語が進み、殺伐とした場面が現れ、かと思えば野球の真髄ともいえるセリフが登場、謎の「ジャスティン・キング」なるスター選手の正体を探る記者の動向などサスペンスフルなストーリー。
これが著者の野球小説の原点か、と唸らされた。
本城雅人:ノーバディノウズ
本城雅人ノーバディノウズ についてのレビュー
No.163
(9pt)

魂の歌が聞こえるかの感想

音楽業界のお仕事小説ともいえる、これまた著者の新境地。新人バンドの売り込みに駆け回る主人公。かつては人気を誇ったアーティストの人気を再び呼び戻す仕事と並行して情熱を燃やすのは頭が下がる思い。音楽に興味深い者にとっても感慨深い作品だろう。全体を通して残る謎がわかると、感動せずにはいられなくなるかも。
でも、音楽に興味があってもそれを仕事にしたいとは思わなかったのも事実。
真保裕一:魂の歌が聞こえるか
真保裕一魂の歌が聞こえるか についてのレビュー
No.162
(9pt)

その女アレックスの感想

予想を覆される究極のサスペンス。前半は背筋が寒くなるほど残虐な描写が続き(カミーユのキャラがそれを和らげてくれるが)、後半の取調べシーンはもう目を離すことができないほど物語に没頭してしまった。数々の賞を獲っただけのことはある。このシリーズはコンプリートしてみたくなること必至。
ピエール・ルメートル:その女アレックス (文春文庫)
ピエール・ルメートルその女アレックス についてのレビュー
No.161
(10pt)

風に立つの感想

南部鉄器の工房に補導委託で送られてきた少年と工房を営む親子と職人たち。彼らを通じて感じたのは親子、家族のあり方。工房の親子もそうだし、少年の両親とも、親子とは?家族とは?を著者はうまく感動的に描いてくれました。
これまで重厚なミステリを読ませてくれてきた著者だが、異なる形で胸に残る感動作を与えてくれた。その力量には恐れ入ります。今後もこのような感動への期待度がまたアップしました。
柚月裕子:風に立つ (単行本)
柚月裕子風に立つ についてのレビュー
No.160
(9pt)

幽玄Fの感想

三島由紀夫「豊饒の海」4部作を読んだ者は本作も読むべし!
戦闘機パイロットとして一生を捧げた、三島作品に出てくる人物と同じ名を持つ主人公。彼の性格的には感情移入はしにくいが、一貫して戦闘機に入れ込んだ彼の一生と、彼を取り巻く様々な変人(?)たち。
専門用語などはよくわからなかったが、そんなことはお構いなく没頭して読めたことに筆者の三島に対する思いをズシリと感じる。
佐藤究:幽玄F
佐藤究幽玄F についてのレビュー
No.159
(9pt)

掲載禁止 撮影現場の感想

帯にある心臓の弱い方はご注意を...は決して大げさではない、まさに長江流どんでん返しの応酬!
どれも結末は予想外だが、特に「イップスの殺し屋」が最も好み。
単なるどんでん返しならよくあるストーリーだが、長江流はそこに一味も二味も付け加えてホラー色も濃くなっている。
こういった短編だと、読みやすくストーリーが入ってきやすい。
今後の期待をさらに大きくする作品。
長江俊和:掲載禁止 撮影現場
長江俊和掲載禁止 撮影現場 についてのレビュー
No.158
(9pt)

二律背反の感想

プロ野球コーチの苦悩や裏方の目立たないけど大事な働きが詳細に語られていくのは、著者ならでは。
監督やコーチ仲間、選手と必ずしもソリが合わないのに優勝できるのか?殺人事件に巻き込まれているのに試合に集中できるのか?などツッコミどころは多いが、野球ファンなら充分楽しめる作品であった。二見コーチの苦悩や監督・他のコーチ・選手との軋轢だけでも一つの作品になりうるが、そこに殺人事件を絡めて、やはり本城氏の野球小説は面白い。
ところで、タイトル「二律背反」は何とも堅苦しい。文庫化される時に改題となるか?
本城雅人:二律背反
本城雅人二律背反 についてのレビュー
No.157
(9pt)

ロスト・イン・ザ・ターフの感想

競馬を愛する者たちのラブコメディを描いたらこうなった、といったような実に楽しい作品。どちらかといえばライトな競馬ファン向けだが、著者らしい場面も出てくるし、おもしろくも感動的な作品でした。著者はメジロマックイーン信者か?(笑)
馳星周:ロスト・イン・ザ・ターフ
馳星周ロスト・イン・ザ・ターフ についてのレビュー
No.156
(9pt)

ふたつの時間、ふたりの自分の感想

これまで読んだ数あるエッセイ集の中でもここまで著者の思い、強いメッセージが届くものはなかなかないのでは。想像を絶する震災の体験を通じてこれからも強く生きていこうという意志。人生のバイブル(と言っても過言ではないだろう)として、落ち込んだ時に手に取れるよう、ずっとそばにおいておこう。
柚月裕子:ふたつの時間、ふたりの自分 (文春文庫)
柚月裕子ふたつの時間、ふたりの自分 についてのレビュー
No.155
(9pt)

スタッフロールの感想

本題から少しずれるかもしれないが、映画好きだった私が映画から離れてしまったのは、最近はCGを使用した作品が当たり前になってきた事によるところが大きい。マチルダのような造形師たちが苦労して作成した手作り感あふれる作品に比べて、CGを用いた作品はコンピュータのボタンひとつで作れてしまう(本作にもそんな表現があったかに思うが)、もちろんそんな簡単な話ではないがそんなイメージはつきまとう。どうもその辺のイメージにつられてしまったところにその理由がある。
今後も恐らく昔のように映画を見に行く機会はほとんどないのかもしれない。本作を読んで、そんな勝手な感想を持ってしまった。
でも、物語としては最後には救われる。マチルダもヴィヴもそんな気分だっただろう。モノづくり、殊に映画の制作現場の真剣な取り組みが充分に伝わる読み応えある作品でした。
深緑野分:スタッフロール
深緑野分スタッフロール についてのレビュー
No.154
(10pt)

蒼天の鳥の感想

実在した人物を主人公に、史実を織り交ぜながらぐっと引き込まれるミステリを創り上げてくれた。自分好みで乱歩賞の中でもトップクラスの読後感。これまで知らなかった田中古代子・千鳥親子の活躍と行末。作中、二人の存在感が素晴らしいだけに、最後は涙なしでは読めなかった。
それでも、この二人の功績を知ることができたのは大きな収穫。親子揃って夭折したのは残念至極だが、母親の古代子はもちろん、7歳というあまりにも短い人生において、子供とは思えないほどの作品を遺した娘・千鳥の功績はこれからも語り継いで言ってほしいものである。
三上幸四郎:蒼天の鳥 (講談社文庫)
三上幸四郎蒼天の鳥 についてのレビュー
No.153
(9pt)

たゆたえども沈まずの感想

著者は史実とフィクションを巧みに織り交ぜた作品創りが実にうまい。架空の人物である加納重吉が実在していたかのように存在感を示している。
また、テオとフィンセントの兄弟愛も読み応えがある。
ただし、特に前半部分では登場人物たちに感情移入出来なかったのが残念。キャラクターが独りよがりすぎたか。後半になってようやく感動を覚えるようになった。
原田マハ:たゆたえども沈まず
原田マハたゆたえども沈まず についてのレビュー
No.152
(9pt)

風神雷神の感想

原田マハ版「風神雷神 Jupiter,Aeolus」との読み比べでわかる謎の絵師・俵屋宗達の作家ならではの宗達論。原田版は歴史青春小説なのに対し、柳版は本格的歴史小説といえるか。
評論的な部分もあって、史実に近いのかとも思える。それもあってかところどころに横文字が出てくるのがやや気になった。
でも、ラストに向けてドラマチックになるのはこちらが上か。
本阿弥光悦、出雲阿国、烏丸光広らとの出会い・絡みは面白かった。
柳広司:風神雷神 (上) (講談社文庫)
柳広司風神雷神 についてのレビュー