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薔薇の家、晩夏の夢
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薔薇の家、晩夏の夢の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全1件 1~1 1/1ページ
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これは、かつてない暗号小説です。 暗号を題材にした作品は数多く発表されていますが、これほど多数の暗号文を含んだ作品は読んだことがありません。しかもそのほとんどが、作成が極めて困難な形式で表現されています。作者はさぞや、もがき苦しみ、のたうちまわったことでしょう。 暗号が解けるにしたがって、ある一家の恐ろしい秘密が徐々にあからさまになっていき、悲劇的な事件も起こるのですが、論理的な謎解きや犯人探し、奇抜なトリックや異様な動機といった推理小説的興味は乏しく、ストーリーの骨組みだけを取り出せば、100頁もあれば書ける内容です。それを、これでもかこれでもかと暗号文を並べ、それらをひとつひとつ解いてみせることによって、300頁近くに膨らませてしまった作者の力業には感服するほかありません。 それにしても、その暗号文のほとんどが「つなげて読むとメッセージが現われる」ものばかりというのは、いかがなものでしょう。この形式の暗号は、実質的な解読作業をほとんど必要とせず、ひとつのルールさえ発見すればスラスラと読めてしまいます。それを物足りないと感じる読者(紙とボールペンを手に、文字や記号の羅列が文章に変換されていく過程を体験したいという読者)もいると思います。 この種の暗号は、大変な苦労をして暗号文を作っても、外見が暗号っぽくないため読者の謎解き意欲をそそる部分が少なく、解読の過程を興味深く描写することも難しく、唯一の取り柄は「実は暗号になっていた!」というサプライズを演出できることですが、この作品ではそれもありません。作者自身が初めから、これは暗号だと明言しているからです。 なお、この作品には、暗号以外にもある企みが秘められており、その方にむしろ感心する読者もいるでしょう。 傑作と呼ぶには躊躇を覚えますが、ミステリ・マニアを自認する人なら、このたぐいまれな力作をとりあえず入手しておくべきだと思います。 | ||||
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