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妖説太閤記
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【この小説が収録されている参考書籍】
妖説太閤記の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.70pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全27件 21~27 2/2ページ
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この本を読むまでは秀吉といえば下克上であり、立身出世の鑑として貧しい出 自から己の才覚だけで天下をとった男というイメージがあった。 しかし、しかしである。この風太郎太閤記の醜怪で異様な秀吉の姿をみよ。 秀吉の原動力は『女』なのだ。ただ『女』を求めるためだけに秀吉は天下をとった。 真実がどうだったのかというのは、この際関係ない。風太郎の描く秀吉は実に真にせまって読み手に伝わってくる。実際こうだったのだと信じてしまうくらいに、その人物像は生きている。 史実の裏をとらえる風太郎歴史眼はまさに独壇場で、今なお謎とされている秀吉や信長の言動が鮮やかに解明される過程はまるでミステリそのものである。 本能寺の変の真相が本書に描かれるとおりだったかどうかは誰にもわからない。しかし、風太郎の手にかかれば、それは異様な光芒をはなってくる。 まさに、それが真実なのだ。その圧倒的な世界観は、読む者を狂わせる。いかにそれが異形であっても、デフォルメされてても、そこにいる秀吉が真実なのだ。秀吉は冷徹で女に妄執を抱く醜怪な謀略家である。事実ここまでしなければ、秀吉にはなれないのだと思う。上下二巻圧倒的なリーダビリティを備えた本書は、風太郎ならではの持ち味を活かした傑作。 その小説作法のうまさに酔い痴れていただきたい。 | ||||
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天才山田風太郎の最高傑作は何かという議論は色々あるかと思われますが、やはりこれではないかと思います。秀吉伝をオーソドックスに扱いながらこの内容。凡百の歴史小説家には決して書けない悲喜劇の応酬。劣悪な精神が偉大な存在として通用してしまう過程を、きっと楽しんで書き、そして悲しんでいたのでは。 | ||||
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従来、立身出世の代表として日本人に愛され続けてきた豊臣秀吉を「女に愛されない男」という視点から描ききった怪著。 猿面で貧弱な体躯、そして素寒貧というどうしようもない状況から、信長の妹お市の方への「執念」をバネにして、秀吉は出生街道を駆け抜けます。その間、上司・同僚・ライバル・部下達を騙し、落としいれ、破滅させながら。 しかし、そうした成功を成し遂げながらも、彼はその醜悪な容貌のために誰からも(特に彼の愛してやまなかった女性から)愛され、受け入れられることはありません。妻ねねも、そしてその後彼が力づくで手に入れた女性も、彼を男として愛することはありませんでした。 増幅した劣等感をバネに、秀吉はお市の方を得るためにさらなる高みを目指し、ついに主君・織田信長を消し去るべく本能寺の変を計画しました。明智光秀の周囲の人間関係を少しづつ悪化させ、彼を精神的に追い込み、ついに謀反の決意をさせるまでの記述は、秀吉の恐るべき悪意を描ききって読む者を慄然とさせます。 上巻では、光秀を討った秀吉が清洲会議を開催するところまでです。その後、天下人となった秀吉は、ついに自分の欲望をかなえることができたのでしょうか?それは下巻で語られます。 | ||||
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主君、織田信長の仇を討った秀吉は、ついに諸大名を従えて天下に号令をかけるまでになった― 下巻では、天下を取った秀吉の、愛されない男の妄執を描きます。 自らが生涯の目標としたお市の方は、秀吉を拒絶し柴田勝家と北の庄で死ぬことを選びます。しかし秀吉は彼女の忘れ形見ちゃちゃ姫を手に入れ、ついに自分の終生の願望を達成しました。 しかし、天下人となってもなお、女性は秀吉を拒み続け、かえって秀吉が破滅させた男達へその愛情を注ぐのでした。自分の甥関白秀次を秀吉が粛清させたとき、秀次の愛妾を秀吉が殺させたという有名な史実がありますが、山田氏はこれを「女にもてる男」豊臣秀次の愛妾達が、秀吉を拒んで秀次に殉じる場面であるとして描いています。絶対の権力を持ちながら、女性の愛を得る事ができない現実は、秀吉の心をますます歪ませていきました。 そして彼の歪んだ精神は、全ての人々に対する徹底的な不信感と敵意を生み、ついには「てきとてきとをともぐいさせる」ため、誰も望まなかった朝鮮出兵が始まるのです。誰も秀吉を止めることができないまま、彼の妄執は全てを巻き込んでエスカレートしていくのでした。 自らの妄執に振り回され続けた哀れな権力者に、救済はあるのでしょうか? | ||||
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秀吉が死んだときはほっとしました。 ...こんな感想を持って小説を読み終えるとは思いませんでした。 未だに「秀吉だけは許せない」なんて思ってしまう。 幸か不幸か。。 山田風太郎 天才! | ||||
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歴史的事実から演繹的あるいは帰納的に推理を進めていって、 この本の秀吉像が出来上がっている。 「おそらくこれが本当の秀吉像であろう。」と思わせる説得力があり、 様々な点で、著者の才能を感じずにはいられない。 虚構は虚構として存在するが、それはそれとして楽しめる。 何の為に天下を取るのか?何の為に生きるのか? 本の中の秀吉を簡単に笑うことはできない。 何が幸せなのか?何が目的なのか?現在の自分はどうなのか? そんなことも考えさせられる物語です。 | ||||
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日本史上でも稀なほどの女好きである豊臣秀吉。女好き秀吉と言う事実の一面を大胆に切り出し歴史を再構成したこの「妖説太閤記」は他の「太閤記」では味わえない人間秀吉を見せてくれる。 この秀吉は人間が誰でも持っている暗黒面が性格の中心にあり「女」というものに対する強烈な思いだけで歴史を突き動かす姿は読んでいて暗い気持ちになるのと同時に哀れみを感じてしまう。 ただ難点と言えば全ての原動力が「(ある)女性を手に入れたい」と言う妄執というか呪いとでも言うような気持ちの一点に集約されており読んでいて若干消化不良を起こすことと、話の展開に若干の無理があるように感じられる点だ。 | ||||
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