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冷い夏、熱い夏
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冷い夏、熱い夏の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.31pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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80年代の癌告知は一般的ではなかったとはいえやはり本人と家族たちにとっては酷で他に道はなかったのか思ってしまいます ただ読んでいる時はぐいぐいと引き込まれていき中断する事が難しかったです | ||||
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とても綺麗な状態でした | ||||
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良い本。 | ||||
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この作品の主たるは、作者の吉村氏が、実弟に癌告知をせず終始隠し通す点にある。 実弟がガンを患ったのは1980年初頭の時期で、この当時の感覚からすれば 今以上にガンは、致死率の高い恐るべき病という認識だったはず。 なので「がんを告知しない」という選択が、当時の世の風潮として今以上に ポピュラーだった記憶がある。 吉村氏は作中、兄弟とその家族、自身の家族、病院の医者に「実弟に癌であることを 隠してくれ」と口封じする。その為に吉村氏が日々苦心する様子で、実際に当人に ガンを隠し通すことが、いかに困難で、且つ覚悟と責任が必要であるかが判る。 これは吉村氏の実弟に対する深い愛情あってこそなのは勿論のこと、氏が過去に 取材をきっかけに知り合った医療関係者や、自身が過去大病で世話になった医師との 繋がりが有ったことも大きい。 つまり、普通の勤めの一般人では、中々こうはいかないだろうと読んでいて思った。 それにしても、悪化の一途を辿る病状であるにも関わらず、ガンであることをひたすら 伏せられている実弟が気の毒でならない。 作中の様子では、実弟は周囲の言動を信じずに、恐らく自分はガンだと確信していた ように見受けられるが、それを周囲に問い詰めたり、怒りをぶつけることは最後まで しなかった。兄の吉村氏と軽く口論になる程度である。実弟はガンを隠す兄や周囲の 想いをきっと酌んでいたのだろうと思うと、せつなくて胸が痛い。 自分なら、絶対におかしいと一度考えたら、そんな周囲に対してわきまえた態度を 維持することは出来ないと思う。きっと「こんな体になる病気は、ガンじゃなければ 一体何なんだよ!?」と言わずには居れないだろう。 また、がん専門病院の入院を断るなど、作中ではうそをつき通すがために正面切った癌治療を 一部避けた様子も伺える。実弟のガンが手術しても改善が見込めない程に悪質で絶望的だったから、 結果的にはその選択が悪く作用した可能性は極めて低かったと思われるが、しかし、当人にガンで あることを伏せた場合、必然的にこんな難しい選択を迫られることを考えると、隠すことには マイナス面が多い気がしてならない。 ただ、この作品の真価はガンを告知する・しないの善し悪しを検証する点ではなく、実際に 身内がガンに罹患したら・・・終始そう思いながら読むべき点にあると思う。 | ||||
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吉村氏の真骨頂とも言うべき、死をドキュメンタリー形式で描いた本です。今では不治の病では無い癌ですが、当時の医療ではそうではなく、情報も少ない為、陰鬱な雰囲気の中、病魔や死に倒し家族が向き合っていく、そんな重い雰囲気を淡々と描写しています。 | ||||
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数ヶ月前から吉村昭にハマっており、本書もどんな内容か知らずに読み始めた。 これは吉村自身の体験談で、最後まで弟の闘病、死を書き尽くしている。 吉村らしく、ウケ狙いやお涙頂戴は一切なく、病状の経過、翻弄される家族、がんの告知から、死後の葬儀の手配など、 淡々と書かれているのだが、印象の強い一冊だった。 末期癌患者である弟と吉村は、長きにわたり生活を共にし頼り頼られの関係であっただけに、 一般的な弟との関係より、吉村の弟への感情は強いものがある。それだけに、弟の病状悪化とともに 吉村も疲弊し、頻繁に体調を崩す。 末期癌患者が、確実に死へと向かう描写は、非常に生々しい。吉村の筆致はリアルでその病室にいるような臨場感がある。 吉村の文才の素晴らしさを再認識した。 本書で知ったが吉村は若い頃、肺結核を患い、局所麻酔のみで肋骨をボキボキ切るような大手術を受けたようだ。 そんな体験もあるからか、吉村作品には、物事に達観したような冷静さと、この史実を後世に残したいというような 燃える炎のような思いも感じる。 | ||||
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病に立ち向かう「弟」の姿がリアルすぎる。 本当に病室に入り,筆者(吉村 昭氏)と励ましているような気になる。 | ||||
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以心伝心というのでしょうか、弟の病状に合わせるように体調を悪化させた筆者。 青年期に病に倒れ永く伏すことで、痛み、苦しみ、辛さ、侘しさ、絶望的な孤独感、 何故俺なんだという怒りに苛まれ、懸命に看病を続けた弟にあたり散らした筆者。 これまで数々の作品を読んで想像していた作者の印象とはかけ離れた狼狽ぶりに 驚かされつつ、病に伏すと誰もがそうなるのだなと考えさせられた。 その愛する弟が、名医が根治は不可と嘆く稀な程の最悪な種類の肺癌に よって肉体と精神を蝕まれていく。傍らに寄り添う筆者は、どうすることもできないもどかしさ に慟哭する。そして可哀そうだからと、絶対に癌の宣告はせず家族にさえ誓わせる。 その執念は執拗ともいえる。 庭に住む鯉や月下美人に思いを寄せ、弟の末後の先を重ね合わせていく繊細な言葉の 数々が涙を誘います。 やがて悲しいかな、壮絶な舌癌との闘病生活が自分を待っているなどと筆者は想像さえ できなかったでしょう。 いや癌の疾患を家系に持つがゆえに弟の末後を自分になぞらえていたかもしれない。 達観静観、客観視など決してできない壮絶な闘病記は、癌によって数多の命が奪われる日本人に とっては必読、覚悟の書なのでしょうね。 | ||||
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私の父も肺癌で亡くなった。看取った私も吉村氏と同じ様な体験をした。この病気には告知と言う問題は避けて通れない。身近の兄弟には知らせたが見舞いに来るたびに、あいつが来てくれたと父は首を傾げていた。古くからの親友には教えなかったが、そうと知っていたらもっと対応が違ったと、知らせなかった事が他人行儀であるかの様に言われた。吉村氏も悩んでいたが私も将来の喪主として生前にも関わらず死後を予期し葬儀の段取りを考える自分に対し薄情とも言える気持ちを見つけ、とても嫌な気分になった。本文にも有るが癌とはこれから死を迎える人間にここまでの苦しみを与えるのかと、この病気の残酷さを考えさせられる。とても共感し読む事が出来た。興味深かったのは吉村氏の普段の生活が伺い知れた事だ。どの様に執筆していたかとか、講演に行く様子。また外出の際に自宅までタクシーを呼び頻繁に利用している様は吉村氏の私生活を伺い知る事が出来た。また私も鯉を飼育していたが突然池の鯉が全滅してしまう事が有り悩んでいたが、吉村氏の池に病気を持った鯉が捨てられ感染死してしまうと、いずれは全部死んでしまうと言う記述があり、私も理由が分かった。肺癌は死亡率の上位に有るが身内の者が罹患し悩んでいる人にとって本書はとても有効なものとなるだろう。 | ||||
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毎日文学賞を受賞したこの冷い夏、熱い夏は、壮絶な癌との戦いを見守ってきた兄、作者が、克明にドキュメンタリータッチで書かれた作品でした。私の兄もこの病気に苦しみながら家族愛の中で永眠し、 なにかとオーバーラップさせられ、心苦しくなりましたが、感動的な作品に出会いました。 | ||||
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