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魔軍跳梁 赤江瀑アラベスク2
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魔軍跳梁 赤江瀑アラベスク2の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点5.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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1990年代から2000年代にかけての短篇が多く収録されていて、いわゆる赤江瀑短篇名作選といったものではなく、「老い」などをテーマにした、著者の後期の短篇選集と言ってもいい一冊です。 わたしは、十年ほど前に赤江瀑の作品のあれやこれや、それこそ憑かれるようにして読んでいったものですが、この作品集でも、読むほどに、著者の描き出す世界に、その日本語が織りなす文章の旨味に酔いしれ、溺れていきました。 前期や中期の名作群の豪奢な、燦爛(さんらん)たる艶(あで)やかさ、美しさの代わりに、一種水墨画の枯淡(こたん)の境地に分け入ってゆく、幽玄の調べに触れるが如き短篇が多かった。いや、堪能させられました。 収録作品は、以下のとおり。 参考までに、当該作品の初出収録本と刊行年を挙げておきます。 ◆「花曝れ首(はなされこうべ)」(『熱帯雨林の客』1976年) ◆「宵宮(よみや)の変」(『霧ホテル』1997年) ◆「月迷宮」(『月迷宮』1993年) ◆「徒しが原(あだしがはら)」(『弄月記(ろうげつき)』1997年) ◆「玉の緒(お)よ」(『狐の剃刀(かみそり)』2007年) ◆「春喪祭(しゅんそうさい)」(『春喪祭』1978年) ◆「階段の下の暗がり」(『月迷宮』1993年) ◆「月曜日の朝やってくる」(『野ざらし百鬼行』1977年) ◆「悪魔好き」(『野ざらし百鬼行』1977年) ◆「魔(ま)」(『弄月記』1997年) ◆「緑青忌(ろくしょうき)」(『狐の剃刀』2007年) ◆「隠れ川」(『夢跡(むせき) 京都小説集 其の弐(そのに)』1992年) ◆「闇の渡り」(『霧ホテル』1997年) ◆「海婆(うみんば)たち」(『月迷宮』1993年) ◆「雀色(すずめいろ)どきの蛇(じゃ)」(『日ぐらし御霊門(ごりょうもん)』2003年) ◆「坂」(『弄月記』1997年) ◆「八雲(やくも)が殺した」(『八雲が殺した』1984年) 収録短篇は以上ですが、ほかに、エッセイを14編、収めています。 「筆の文句」「水の世界」「踊れ、と彼が言ったような」「月夜の晩にピエロどの」「あやかしの鼓への辞」「首塚の酒」「世阿弥(ぜあみ)の屏風」「鳥辺野(とりべの)のこと」「花前の京で」「火と水と草花の儀礼」「熊が出る夢」「夏日徒然(なつびつれづれ)」「引出しの中」「春を探す」 上記エッセイはすべて、赤江瀑『オルフェの水鏡 赤江瀑エッセイ鈔(しょう)』(文藝春秋 1988年)に収められています。 また、余計なお世話ながら、赤江瀑の短篇の名作をあれこれ読んでみたいという方には、まず、2007年に刊行された光文社文庫本の三冊、『花夜叉殺し(はなやしゃごろし) 赤江瀑短編傑作選 幻想編』『禽獣(きんじゅう)の門 赤江瀑短編傑作選 情念編』『灯籠爛死行(とうろうらんしこう) 赤江瀑短編傑作選 恐怖編』を、お薦めします。 | ||||
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幽霊、亡霊、夜叉、幽鬼、死霊、怨霊、魑魅魍魎、妖怪変化…。この世のものならぬ魔性をいうにも、微細に表現を変転させる日本語の豊かさ。その豊饒な言葉の花弁を、玄妙の言霊使い・赤江瀑が、色も芳香もとりどりな妖花の群生へと織りあげた異界の花園。恋に煩悶するヒロインが、嵯峨化野に立ち現れた二人の陰間の亡霊とともに垣間見た恋情の奈落―『花曝れ首』、禁欲の檻のなかで煮えたぎる若い修行僧たちの煩悩の濛気が、むせかえる花の季節の萌えたちのなかであやかしの姿をとって憑依する―『春喪祭』、夜ごとの淫夢のなかで自分を辱め蹂躙しつづけた男の姿を、白昼の路上に見いだしたとき―『八雲が殺した』…等々。人間の情念と怪しの魔性が織りなす幻夢のアラベスクに、ひたすら酩酊されられる蠱惑の作品集。 | ||||
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