天上天下 赤江瀑アラベスク1
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赤江瀑の長編、「海峡──この水の無明の眞秀(まほ)ろば」(1983年、初出作品)、「星踊る綺羅の鳴く川」(2000年、初出作品)、「上空の城」(1977年、初出作品)の三本をメインに収録した一冊。 なぜ、この三本なのか。巻末の編者解説(東雅夫)によれば、《赤江瀑の鏡花戯曲三部作を選出できないものだろうか。》というところから、この三作をひとつのアンソロジーに収めるアイデアが兆したとのこと。具体的に、泉鏡花のどの作品が該当するのかといえば、「天守物語」「夜叉ケ池」「海神別荘」という〈妖怪戯曲〉三部作と、本文庫収録の三編とに、一脈も二脈も通じているものがあるのではないかと。そこに端を発したアンソロジーとのことです。 四百年前の血天井のくだりに格別の妙味を感じた「海峡──この水の無明の眞秀ろば」、闇の暗黒界に花開くかの如く現れたる歌舞伎の妖怪眷族(けんぞく)が魅力的な「星踊る綺羅の鳴く川」と、いずれも堪能させられましたが、とりわけ心に刺さったのが「上空の城」、これでした! 記憶の中の城、壁が黒々と塗りつぶされた城を追い求めずにはいられない女性、螢子(けいこ)の苦しみ、葛藤、惑乱、そういった感情が、語り手の眉彦(まゆひこ)の目を通して痛いほど伝わってきて、強く心を揺さぶられたんです。螢子の記憶の中にあるこの城の正体を知った時、「ああ」と、と胸を突かれました。今回、久しぶりの再読だったのですが、これはやはり名作だなあと、改めてそう思いました。 あと、エッセイが三本、「わが街、蠱惑(こわく)」「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」「桃源郷の罠」(いずれも、『オルフェの水鏡 赤江瀑エッセイ鈔(しょう)』より採られています)と、「赤江瀑インタビュー」(初出は『幻想文学 第57号』アトリエOCTA、2000年2月発行の季刊誌。東雅夫氏がインタビュアーを務め、2000年1月30日に、下関にておこなわれたもの)が収録されています。 「赤江瀑インタビュー」はほとんどすべて、初出の季刊誌の特集「伝綺燦爛(でんきさんらん) 赤江瀑の世界」から抜いたものですが、なぜか最後の二つの質問と答えの箇所が、本文庫には収録されていません。幸い、わたしは当該季刊誌を持っているので、ここに抜き記しておきます。 《(東)せっかくの機会なので、いささか訊きにくい質問をひとつ。近年、耽美小説の大御所などと、ときに言われることに対して、どのように感じているのだろうか。 (赤江)それほど耽美の作家ではないと思っています。半分はしようがないかと思いますが、半分は、耽美という言葉には満足ではありません。というか不服ですね。 (東)ちなみに今回の特集の惹句(じゃっく)──「伝綺燦爛」の御感想は(笑)。 (赤江)耽美も伝綺も言語としては素晴らしい。非常にいい言葉なのですが、私の作品にはまっているかどうかというと、ちょっと違うのではないかな、と本人は思ったりします。ただ、人間の世界で、自分の創ったものを世に出して仕事をしていれば、少々の波、自分の不満足な波が来たって、どうってことありません、という面もどこかにありますから(笑)。全部が全部、満足して悦に入って、というようなことは言っておられませんし、そうしたいとも、またなりたいとも思わない。どういう言葉をおつけになってもかまわない、と思うんです。 要するに、私が手放した作品、世の中に出した作品というのは、私を離れて存在するものだから、その作品だけが何かを言ってくれたり、或いは言ってくれなかったりする、それでいいんだと、そういうふうに──綺麗事じゃなくて、私はそういうふうに思う体質の人間なんですよ。》 で、インタビューのこの締めくくりを記した文章の下に、赤江瀑氏直筆の書を写した写真が掲載してあって、その書には、「われは海の子、虚空の子」としたためられています。 なお、本文庫のタイトルである「天上天下」には、(てんじょうてんが)のルビが、本書奥付けにふられております。 | ||||
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