悪の教典

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評判

悪の教典の評価:

3.40/5点 レビュー 497件。 A ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点3.40pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

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全266件 241〜260 13/14ページ
No.26
(4pt)

まさに "Psychopath"

某書評で、東野圭吾の作品と比較してこの作品が紹介されていた。臆病なのでホラー物は子どもの頃読んだ江戸川乱歩程度しか記憶がない。ホラーというか、スプラッターが嫌いなのだ。しかし、「読ませる力」という点で東野とこの作者は双璧であるという。そこでハズレはないだろうと思い、検索したら、「サイコパスの有能な教師」とあり一層興味をひかれた。それまでサイコパスに関する本をいろいろ読んでいたからである。読み始めて、まさにサイコパスそのものの描写に一々納得する。ホラー物を読み慣れている人には、大した描写ではないとか、極端な二者択一の「なんでそうなるの?」「そんな理由だけで?」といった思考方法・行動・情動(障害)に違和感を感じる人もいるかもしれない。しかし、そうした不自然で幼稚な動機・刹那的行動、不可解で粗があるとか、心理に嫌悪感を持つという人は、サイコパスに関する書籍を読んでみることをお勧めする。作者は、シリアルキラーのうちでも「快楽殺人者」とそうではない「サイコパス」を正確に区別して描いている。心理学で使われるツール・用語も的確だ。サイコパスの研究の歴史は意外と古い(実態が解明されていない頃に日本語訳されたため「精神病質」というよくわからない「診断名」(病名ではなく人格障害の範疇)となっている。)が、精神心理学的/脳機能的解明はここ10年ほどで急速に研究が進んでいる。たとえば、診断名サイコパス―身近にひそむ異常人格者たち (ハヤカワ文庫NF)サイコパスという名の怖い人々―あなたの隣りにもいる仮面をかぶった異常人格者の素顔とは (KAWADE夢新書)サイコパス-冷淡な脳-を読んでみると、この本の不可解さが氷解するだろう。1冊目は心理学的に体系化した名著、2冊目は日本の事例、3冊目は最新の脳機能・生理学(扁桃体・島皮質など)に基づく研究による専門書。しかし、一人にあらゆるサイコパスの特長を盛り込んだために、「スーパーマン」と化してしまっている。現実のサイコパスはPM8時前まで。その後の展開は、通常サイコパス自身が行うのではなく、人を操って実行する。終章の直前の章での「弁舌」はサイコパスの特長である。上下巻で800ページくらいなのに、あの厚みを出したのは、バイブルを意識した装飾だろう。この程度のスプラッターでも気が滅入る。当分またホラー物は読まないだろう。口笛のある音楽がしばらく不気味になる気がする。読み直したとき、「カラス」と「犬」に対する「憎悪」の感情が全く描写されていないことに気がつくだろう。
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4163295208
No.25
(4pt)

いつ、どこで、何があるか分からない恐怖感がもっとほしかった

他人に共感する感情が欠落した高校教師である蓮見の天才的な行動・犯罪を描いたサスペンスホラー。上巻では、蓮見の異常者ぶりが際立っており、これからどうなっていくのか期待したのだが、下巻は学校内で繰り広げられる緊迫感のない大量殺人に特化する展開となってしまったのが残念だった。また、何を考えているか分からない教師の釣井や、暴力生徒の蓼沼など、せっかく意外性を与える伏線を用意していたのに、あっさりと片付けられてしまったのも物足りなかった。蓮見の異常者ぶりが際立っていただけに、著者の「クリムゾンの迷宮」のような、いつ、どこで、何があるか分からない恐怖感がもっとほしかった。
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4163295208
No.24
(4pt)

貴志作品の中で異色の邪悪度でも一気読み

わたしはもともと映画の『エイリアン』から『アイデンティティー』や『SAW』といったところまで、幅広い意味でのサバイバル・サスペンスものにのめり込んでしまう性質を持っているみたいなのですが、この作品も、閉じられた空間での狩り&サバイバルが開幕する9章以降は、小説の『クリムゾンの迷宮』や『バトルロワイアル』、最近だと『Another』や『ダイナー』といった作品とはまた違った趣向で、時間を忘れて没頭してしまいました。 『新世界より』のように好きと言えるような内容では決してないですが、でもすごかった……。山田風太郎賞の第1回受賞作に相応しい怪作だと思います。
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4163295208
No.23
(4pt)

別角度からの真骨頂

ネタバレ、あります貴志作品の真骨頂と言えば、「追いかけられる恐怖」だと思う。ISOLA、黒い家、クリムゾンの迷宮、新世界よりなど…体に重りをつけてコールタールの海を逃げなくてはならないようななんとも言えない焦燥感と恐怖感にあふれている。下巻ではその真骨頂が追いかける側を中心に描かれている。が、惜しむらくは追いかけられる側の物たちが十把一絡げで登場してしまったため、せっかくの展開に手に汗握る、とはいかなかった。だからこそ途中出てくるトリックにすぐ気付いてしまう。気持ちが入りこんでいたらそんなことはなかっただろう。若干回収しきれていないように感じる伏線や刑事のキャラの薄さなど貴志作品にしてはアラが目立つ気がするが、それでも一気に読ませてしまう展開と筆致には感服する。設定されている舞台か時代、どちらかが違えばもっと物語に入りこめたのかもしれない。現在の学校では避けられていることが普通に盛り込まれていたので。
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4163295208
No.22
(4pt)

下巻の展開に期待

貴志祐介の作品は現実離れしていればいるほど、彼のすばらしさが際立つと思う。主人公はいつもあまりキャラがたっていない。正直蓮実に関してもそうで、特殊なキャラのようで嫌悪感は不思議とあまり感じない。だからこそ異様な環境の中で際立ち、細かく作りこまれた世界との対比が面白い。上巻については比較的話がどんどんすすむので、蓮実のこれまでについて知るだけでも面白い。ただ学校の教員としてあまりにも疑問点があったのでなかなか話に入りこめなかった。女子生徒の頭をくしゃくしゃとする…人気教師ならでは?とは言いにくい。異性生徒への肉体的接触はどんな形であれ疑問視される。そして何よりも問題を起こした生徒の事情聴取などに一人で密室であたるといのは現在では考えられなさすぎる。基本は二人以上で扉もきちんと締めない、というのが普通。そして友達のような会話…まあそこまで考える必要はないのかもしれないし、田舎の学校であったり、現代でなければありえることかもしれない。青の炎を除いてどの作品も好きだし、「新世界より」があまりに素晴らしかったため、つい期待しすぎているのかも。ともあれ毎度ジャンルを変えて作品を生み出す姿勢には感服している。
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4163293809
No.21
(4pt)

一気読みできます

上下巻の厚い本ですが、本当にサクサクと読めていきます。かといって軽い感じではなく、小説としての面白みは十分あります。貴志さんの作品はけっこう読んでいますが、新たなチャレンジな気がしました。この一冊で読者層が広がったのではないでしょうか。下巻の終盤が・・・という意見はありますが、私的にはこのストーリーで楽しめました。次回作も期待しています。
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4163295208
No.20
(4pt)

おもしろい・・・が

大好きな作家さんで今回も期待していたが、内容が薄い感じがした。もし教師がサイコパスならという設定は実に興味深いが、物語の最初の方に感じた暗闇が徐々に薄れていった。上巻ではこれからの物語の展開に即下巻を読んだ。
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4163293809
No.19
(4pt)

上巻はまずまずです。

独特の感性がある貴志祐介氏の作品がでました。 ワクワクしながら読ませて頂きました。 ハスミンこと蓮美聖司という一高校教師の物語である。熱血教師もどきのストーリーか?いや計算高い世渡り上手? あるいは、こういう先生、いそうだよね?と思いながら読み進めていくと、どんどん展開が怪しい方向へ進む。 怪しいというより、ハスミンのバックグラウンドが明らかに成っていくにつれ、おどろおどろしく、グロテスクに化学反応を起こしていく。 なんとなくタイトルに沿っていく流れ・・・。前半クライマックス近くで、んんん・・・・とある一面が加速する。 下巻でどう展開していくのか?期待している部分と読まなければよいのかなぁという感情が交錯する。
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4163293809
No.18
(4pt)

作者の優しさがあふれた秀作ホラー

面白かったのだが、ラストがまとまりすぎていて、作り物の印象を受けてしまった。もちろん小説というものはフィクションなんだけど、読者が途中で冷めてしまうような。。。「青の炎」のトリックを実際に行うと失敗するように、今回も後の批判(凶悪事件が起こった際にホラー小説が悪いんだ云々という間抜けな論調)を避けるかのように、ラストの刑事が小活躍する。そして大した盛り上がりもなく終わる。映像化されるのは間違いないが、原作のままでは観客は納得行かない気がする。才能のある作家だと思うので、ジャック・ケッチャム的な、あまりの破壊力に読者が圧倒されるしか無いという作品を次作は期待したい。
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4163295208
No.17
(4pt)

面白いけど、あちこち物足りない

全体的にはサスペンスが効いていて、怖さを感じながら一気に読むことができた。ほとんど抵抗する術を持たない凡庸な教師や生徒しかいない片田舎の学校に、超利己的な殺戮マシーンを放り込んだらどうなるかという設定は面白い。そんな絶望的な状況にあって、どうやって怪物に対抗していくかが話の盛り上がりの要因になるのだけど、数少ない対抗馬が現れてはすぐ消えてしまうのが惜しかった。普通に一方的な戦いになるのは芸がない。個人的にはもっとやられる側の抵抗を描いた場面が欲しかった。また、それによって蓮実の天才性の説得力も増したと思う。(釣井などはあまりにあっけない)登場人物が、学校という舞台で登場人物も多いことから仕方ないのかもしれないが、少し一面的で薄っぺらく感じた。(美術教師などは無策で従順すぎてバカにしか見えない)そして大殺戮のあとの「脱出」「証拠探し」がカタルシスというのは何とも物足りない。期待していた展開(弱者の抵抗)と、作者の描かんとしたこと(蓮実という怪物)とのズレが、エンディングに集約されていた気がする。「蓮実の内にある善の声」みたいな伏線が結局未消化のままだったが、まさかパート2をやるつもりなのでは。やめた方がいいと思う。
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4163295208
No.16
(4pt)

ここからが地獄の三丁目

まさに地獄の謝肉祭、殺戮大感謝祭とも言うべき貴志氏の真骨頂エンタメワールドの始まり。惜しむらくは名作バトルロワイヤルに比べると生徒ひとりひとりの背景の描き方が浅い事ともう少しハスミンを脅かすような強敵が出てこないのが残念。でも十分面白かった。これが間違っても本屋大賞にノミネートされる事はないでしょうが。
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4163295208
No.15
(4pt)

新刊を期待してしまう作家

この上巻ではあまり残酷な場面はないのですが、ハスミンのキャラは立っているし学校の中でうまく立ち回ろうとしている時点で感情がないという帯のタイトルは可笑しいと思いますが一気に読ませてしまう筆力は流石と感じます。感情がないというよりは文中にもあるように他者を受容して共感出来ないという福祉の社会で1番重要なことが欠如している人間として捉えたほうがいいと思いました。カラスを悪の象徴としたカバーも秀逸だと思います。下巻は地獄の謝肉祭、殺戮大感謝祭の如く貴志氏のエンタメワールド炸裂。惜しむらくは名作バトルロワイヤルに比べて生徒ひとりひとりの背景の描き方が浅かった事とハスミンを脅かすような強敵がいなかった事。でも十分面白かった。間違っても今年の本屋大賞にノミネートされる事はないでしょうが。
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4163293809
No.14
(5pt)

貴志祐介氏らしい作品

上の部分では、貴志氏らしさがまだ見つからなかったが、読み進めていくうちに、ああ、これは貴志氏だ、と思った。読みやすく書かれた文章に、捲るページを止ませてくれない魅力。久しぶりの長編で、書店で手にとったとき、本当に感謝を覚えた。その気持ちは、読み終えた後も変わらない。緻密なプロットには相変わらず、溜め息がもれてしまうほど、落ち度が見受けられなかった。余分な部分が無かったようにも思える。"小説" なのだから、余分な部分があるのも楽しみ(遊び)の一つでもある。 感情がない、というのは、例えば全てを示してるわけではない。それは、本書を読めば解る。完璧主義者だからこそ、の内容だった。僕が最初に怖いと感じたのが、実は身近にもあるだろう描写があったから。 上巻の方で、蓮実の化けの皮が剥がれ本質が見えてきたとき、善人なふりをして、中身は感情が欠乏し、冷酷に歪んだ部分を隠してる部分だった。もし、彼のように善人(上辺では)で、周りから信頼されていて、自分自身も信じて好意を持ってる相手が、ソレだったら。 相手が狂人でなくても、怖い。本当に怖いのは、僕はこれだ、と思う。善人そうで安全そうな人でも、本質は解らない。 だけど、蓮実やその周りの人たちが感じる"直感"で、この人は危険だ、と察知するときがある。 顔を見ただけで、この人とは合わない気がする、といったような直感や、勘。蓮実が直感や勘、運を頼りにする場面も、僕は優れていると思った。他人の内面をすべて読み取れるわけではないから、感じる、ということの必要性は大事で。 ラストも、やはり貴志氏らしい。続きを想像させてくれる終わり方、いや終わらせてはくれない恐怖を植え付けて終わらせる書き方。 僕は、楽しくて笑ってしまった。
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4163295208
No.13
(5pt)

こんな部分が、本当は怖い

貴志氏の出版された小説をすべて読了して、貴志氏らしさを良い意味で改めて実感ができた。レビューの評価に差があることに、愕然とするぐらいだった。貴志氏の過去作品と比べての評価なのか、この作品自体の評価なのか、他の作家と比べての評価なのか。僕は、この作品自体の評価としても、5つ星だと思った。この上巻で最も僕が怖いと思ったのは、人間の本質は表面でいくらでも隠せてしまえること。誰にでも仮面を持ってるとは思うけど、──だからこそ、怖かったのかな。例えば、好意を持ってる人が、上辺ではとても善人で、誰からも信頼され、安全を表面に纏っていても、本質は悪だとしたら。自分を齣のように見ていたら。 僕の周りの優しい表面を持った人たちが頭に浮かんで、怖くなった。緻密なプロット、無駄のない描写、後にキーワードに繋がる文面。読者を置いてけぼりにさせない、読みやすい書き方。内容にしがみついて、魅了されていく自分。上・下を続けて休む間もなく読んで、どれだけ緻密かつ巧みに書かれてるか解る。下巻の、キ●●●は、キチ●イです。レビューに解らないといったような感想があったので。
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4163293809
No.12
(4pt)

エンタメとして読むにはいいかもしれない。

貴志ファンとしては、新刊がでれば、飛びつくわけで・・・面白いとも面白くないともいえない・・・か?個人的には、やはり最後までぐんぐん読ませる力はすごいなと思いました。あっという間に最後まで読んでしまったし、あの分厚い上下巻ということをあまり感じなかったのは、さすがですね。
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4163293809
No.11
(4pt)

心地よい作品ではないけれど面白い!(少しネタばれあり)

下巻の表紙も怖いです。 血染めになった校舎… これから起こる出来事を彷彿とさせる様な表紙が既に怖いです。 下巻は上巻より更にページを捲る指に力が入り、先へ先へと読み進み、411ページを瞬く間に読み終えました。 下巻は蓮実が行う惨劇を中心に描かれていますが、絶えず脳内映像で、作戦を練る生徒達、逃げる生徒、果敢に戦おうとする生徒が動いていました。 自分だったら、どうするか… 迫り来る恐怖で冷静な判断など無くなってしまうだろう…等と考えながら、最後まで必死に戦った雄一郎と玲花、蓮実との心理的戦いだけでなく極限の恐怖の中での自分との戦いには感動すら覚えました。 最終章に向けて犯人の決定打となる証拠がないのかと思いきや、「正義」が悪を暴くと言う結末でスカッとすると共にほろっとさせられました。 決して心地よい作品とは言えないけれど、ここまで夢中にページを捲った本は久しぶりでした。 面白かったです。
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4163295208
No.10
(4pt)

怖いけれど止められない!

貴志祐介さんの新刊です。 表紙の黄色に黒いカラスのイラストが何とも不気味で 読む前から嫌な感じがしました。 そしてその通り、読み進みに連れて、その嫌な感じはどんどん膨れ上がって行きましたが、先が気になって本を閉じれない、つまりどんどん物語に嵌って行ってしまいました。 主人公の蓮実(はすみ)は今まで読んだ本の中でもトップと言って良いほど邪悪で冷酷極まりない人間(人と言えるのかすら疑問ですが) それ程までではないけれど、この本の中には嫌な教師、自己中心的な高校生等、嫌な人間が勢揃いしています。 けれど、そこにはきちんと「正義」を貫こうとする人もいて救われます。 6章434ページの長編ですが、文字の大きさ、会話の多さ、そして展開の速さで飽きる事無く一気に読めます。 下巻への期待が高まる仕上がりになっています。
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4163293809
No.9
(5pt)

前代未聞、最凶最悪のサイコパス誕生

かつてここまで凶悪で最悪な殺人者がいたでしょうか。心がない、共感能力がない。“人間の形をした悪魔”というキャッチコピーは伊達ではありません。この作品は殺人者である蓮実がメインに進められていき、いわゆる倒叙ものの様相を呈していますが、そこには殺人者の感情の起伏や殺人にいたる葛藤などは一切ありません。あるのは目的を達成するための最短かつ最良のルートを構築する思考だけです。貴志氏は大のSF好きと聞きます。それは作品にも投影されており、なんでも“極端”にしたがるのです。ともすれば説得力もリアリティもない安っぽい作品になってしまうところですが、作者の緻密な構成力や膨大な知識、そして圧倒的文章力や表現力でリアリティを見事に生み出しています。ですが、蓮実のあまりにも悪魔じみた行動や思考についていけず、目をそむけたくなる読者もいるかもしれません。前半に、後半へとつながる伏線が無数に張られていますが、中にはちょっと強引なものもあります。ただ、読者をぐいぐい引き込む文章、そしてエンタテインメントに徹した作品作りは見事としか言いようがないでしょう。
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4163295208
No.8
(4pt)

「愛犬家連続殺人」を彷彿

独特の貴志ワールドが、今回学校に展開されます。青の炎のようなストーリーを期待して読んだのですが、全く違いました。テンポ良く、あっという間に上下巻読みきりました。上巻での人物像には以前読んだ愛犬家連続殺人 (角川文庫)を彷彿させます。また意外な人物に意外な過去があり、飽きずに読めました。ネタバレになるのであまり詳しく書きませんが、犯人の生い立ちや正体をばらすのは、下巻の方がインパクトが有ったかなと思います。最後に作品は素晴らしいのですが、自分の貴志祐介氏の作品に対する高い期待値から4つとさせてもらいます。次回作で、また違う貴志ワールドを楽しみにしてます。
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4163293809
No.7
(5pt)

極上の読書体験、頂きました。

できるだけネタバレしないように書いてみます。貴志祐介は著者買いを決めている数少ない作家なのですが、告白すると購入を何日か躊躇しました。教師の仮面を被った感情のないシリアルキラーが・・・という設定に陳腐な物を感じたためです。読み始めてからも、著者の意図的なスロースタート手法に気付かず、「こんな中途半端に歪んだ学園ドラマ書いてないで『旧世界より』を書いてくれよ」という、もやもやした思いを抱いていました。冒頭の蓮実は、生徒の人気を得たいがために小細工を弄する小悪党という印象だからです。しかし第二章の中盤あたりでしょうか、小細工どころか諜報機関の工作員顔負けの情報戦を冷徹に遂行する素顔が見え始めます。そして、、、「熟慮の末、やはり、この機会に●●を排除(パージ)することに決めた」この台詞に度肝を抜かれ、しばし笑いが止まらずに一時読書を中断しました。貴志ファンとしては、きたきたきた!と心拍数が急上昇。思えば、これが蓮実劇場開幕の瞬間でもありました。以降、下巻の最終ページまでノンストップ。面白くなったから大事にゆっくり読もうと思っても、無駄な抵抗。ページを繰る手が止まらない止まらない。読了後に思い返せば、蓮実の行動は熟考してそうで短慮だったり、周到そうで行き当たりばったりだったりするのですが、読書中は終始、蓮実に100%感情移入していたので、ほとんど違和感がなかったです。むしろ、生徒達の上辺だけの正義感や、どうせ土壇場で裏切るくせに仲間を思い遣るようなフリをする姿に嫌悪感を覚えました。倫理的な躊躇や束縛のない蓮実の行動は、すこぶる明快かつ爽快です。普段、物語を読んでいると主人公の中途半端なヒューマニズムに「?」を感じることが少なくありませんが、蓮実の論理展開や行動選択は違和感なくスムーズに頭に入るというか、同意できました。うん、そこではそうするよね、と。悔やまれるのは、彼ほどの逸材をもってしても、過去の成功体験に無意識に引きずられた挙げ句、学校という衆人環境の中で犯行を重ね、追い詰められた結果、終盤の「葉を森に隠す」という破滅的な選択肢に走ってしまったことです。まあ、その突き抜けた発想にまた大笑いしたんですけどね。何はともあれ、貴志ワールドに蓮実聖司という新たなアンチヒーローが誕生し、また続編を心待ちにする作品が増えたのは嬉しい限りです。著者を今後も心から応援していきたいと思います。また、この相当にタッチーな内容の作品を世に送り出した出版社の英断にも感謝します。今後問題になり、発禁になったりしないことを祈ります。
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4163293809