審問

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審問の評価:

3.57/5点 レビュー 23件。 B ランク

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平均点3.57pt

Amazonレビュー一覧

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全26件 21〜26 2/2ページ
No.6
(4pt)

不在者の存在感

『警告』から始まり、『審問』上下巻と続いた、長い事件がやっと一段落した。シリーズ自体はまだ続いていくようだが、主人公の身の上に大きな変動があり、次巻からは新しい局面を迎えることとなる。『警告』は、主人公ケイの亡くなった恋人ベントンが知人に託した「死後に読むべき手紙」が、ケイに届けられるシーンから始まる。とにかくこの3冊は、強烈に「ベントンの不在」という色に彩られている。恋人の死というのは、それだけで計り知れないストレスもたらすが、殺人の嫌疑をかけられる、という破滅するかどうかの瀬戸際という状況もワンセットでついてきたわけだ。当然ながら、ケイの心象風景は荒涼としていて、感情を剥き出しにする場面もいくつも出てくる。読んでいて気が滅入る。しかし、だからこそ、物語の問い掛けるものは、重く心に響く。いままであまり語られなかった、郡の検屍局長で、医者にして弁護士、というスーパーウーマンのケイの隠された心の暗がりが照らし出される。そして、すでに存在しないベントンの心の中も。いままでの巻では、主人公の恋人という重要な役回りにも関わらず、ベントンの存在感は、わたしにとってもうひとつ薄かった。ハンサムで有能で他人の心のひだを理解する繊細さを持った男。もちろん、魅力的な人物なのだろうが、どうもできすぎという感じ。先回りして考え、状況を支配しようとする人物を、わたしがあまり好まないということもあるかもしれないが。しかし、自分のおかれている立場の重要性を理解し、それに見合ったふるまいをする、というのは、それはそれで誠実なことなのかもしれない。自分を過大評価するのはこっけいなものだが、過小評価するのも、現実を直視できない弱さを持っていることを意味する。まわりの状況をきちんと冷静に判断して行動できる人間でも、自分自身を直視することはつらく厳しい作業だ。だが、ケイは、弱さをさらけだしながらも、また一つ切り抜けた。ラストの謎解きの衝撃はまた次巻にあとをひきそうだが、これもまた人気シリーズをここまで維持してきた作者の力量だろう。
審問(下) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 審問(下) (講談社文庫)より
4062730464
No.5
(4pt)

不在者の存在感

『警告』から始まり、『審問』上下巻と続いた、長い事件がやっと一段落した。シリーズ自体はまだ続いていくようだが、主人公の身の上に大きな変動があり、次巻からは新しい局面を迎えることとなる。『警告』は、主人公ケイの亡くなった恋人ベントンが知人に託した「死後に読むべき手紙」が、ケイに届けられるシーンから始まる。とにかくこの3冊は、強烈に「ベントンの不在」という色に彩られている。恋人の死というのは、それだけで計り知れないストレスもたらすが、殺人の嫌疑をかけられる、という破滅するかどうかの瀬戸際という状況もワンセットでついてきたわけだ。当然ながら、ケイの心象風景は荒涼としていて、感情を剥き出しにする場面もいくつも出てくる。読んでいて気が滅入る。しかし、だからこそ、物語の問い掛けるものは、重く心に響く。いままであまり語られなかった、郡の検屍局長で、医者にして弁護士、というスーパーウーマンのケイの隠された心の暗がりが照らし出される。そして、すでに存在しないベントンの心の中も。いままでの巻では、主人公の恋人という重要な役回りにも関わらず、ベントンの存在感は、わたしにとってもうひとつ薄かった。ハンサムで有能で他人の心のひだを理解する繊細さを持った男。もちろん、魅力的な人物なのだろうが、どうもできすぎという感じ。先回りして考え、状況を支配しようとする人物を、わたしがあまり好まないということもあるかもしれないが。しかし、自分のおかれている立場の重要性を理解し、それに見合ったふるまいをする、というのは、それはそれで誠実なことなのかもしれない。自分を過大評価するのはこっけいなものだが、過小評価するのも、現実を直視できない弱さを持っていることを意味する。まわりの状況をきちんと冷静に判断して行動できる人間でも、自分自身を直視することはつらく厳しい作業だ。だが、ケイは、弱さをさらけだしながらも、また一つ切り抜けた。ラストの謎解きの衝撃はまた次巻にあとをひきそうだが、これもまた人気シリーズをここまで維持してきた作者の力量だろう。
審問(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 審問(上) (講談社文庫)より
4062730456
No.4
(4pt)

スカーペッタの内面を掘り起こした秀作

これほどまでに主人公の内面を掘り起こしたサスペンス小説があっただろうか?恋人のベントンとの心の葛藤、知らされていなかった恋人の苦悩を知り、さらに苦しむ主人公。友人であるマリーノとの心の交換などなど。前作『警告』で死に直面した主人公が、自らの内面だけでなく周囲の人々、そしてすでに死んでいった人々、そしてその家族の心の動きに敏感になり、そして最大のなぞへ挑んでいく。  前作までのストーリーがすべてスカーペッタが最大のなぞを解くための、準備段階であることがわかり、作者の遠大なるテーマが理解できるようである。
審問(下) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 審問(下) (講談社文庫)より
4062730464
No.3
(4pt)

スカーペッタの内面を掘り起こした秀作

これほどまでに主人公の内面を掘り起こしたサスペンス小説があっただろうか?恋人のベントンとの心の葛藤、知らされていなかった恋人の苦悩を知り、さらに苦しむ主人公。友人であるマリーノとの心の交換などなど。前作『警告』で死に直面した主人公が、自らの内面だけでなく周囲の人々、そしてすでに死んでいった人々、そしてその家族の心の動きに敏感になり、そして最大のなぞへ挑んでいく。  前作までのストーリーがすべてスカーペッタが最大のなぞを解くための、準備段階であることがわかり、作者の遠大なるテーマが理解できるようである。
審問(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 審問(上) (講談社文庫)より
4062730456
No.2
(4pt)

トンネルを抜けた

作を重ねるごとに自分を追いつめて抜き差しならない状況になってきたスカーペッタが、この最新作では自分と向き合い、辛い体験から立ち直る兆しが見え、愛読者としては救いがあります。そして、新たに登場したスカーペッタと同等かそれ以上に優秀でかつ家庭的な幸せも備えた女性とスカーペッタのあり方はこの連作の今後に希望が持てました。ストーリーは全作「警告」の最後のページからそのまま続く続編ですが、前々作「業火」を含め、合理的な説明の付く筋立てになっており、頭脳派コーンウェルの面目躍如といった感があり、納得しながらとても楽しめます。ミステリーですからこれ以上、ストーリーについて書くのはルール違反。極めつけの優秀な頭脳、運動能力、そしてとびっきりの美女のルーシーが更に大金持ちになってパワーアップ。ここまで来るとため息だけ、大いに暴れて楽しませてと手放しで応援したくなりました。マリーノにもスカーペッタはちょっぴり愛情を見せるし、作者コーンウェルはエンタテイメント色の濃い路線「スズメバチの巣」を書いたことで少し柔軟さが出てきたのかなと思ったりもしました。
審問(下) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 審問(下) (講談社文庫)より
4062730464
No.1
(4pt)

トンネルを抜けた

作を重ねるごとに自分を追いつめて抜き差しならない状況になってきたスカーペッタが、この最新作では自分と向き合い、辛い体験から立ち直る兆しが見え、愛読者としては救いがあります。そして、新たに登場したスカーペッタと同等かそれ以上に優秀でかつ家庭的な幸せも備えた女性とスカーペッタのあり方はこの連作の今後に希望が持てました。ストーリーは全作「警告」の最後のページからそのまま続く続編ですが、前々作「業火」を含め、合理的な説明の付く筋立てになっており、頭脳派コーンウェルの面目躍如といった感があり、納得しながらとても楽しめます。ミステリーですからこれ以上、ストーリーについて書くのはルール違反。極めつけの優秀な頭脳、運動能力、そしてとびっきりの美女のルーシーが更に大金持ちになってパワーアップ。ここまで来るとため息だけ、大いに暴れて楽しませてと手放しで応援したくなりました。マリーノにもスカーペッタはちょっぴり愛情を見せるし、作者コーンウェルはエンタテイメント色の濃い路線「スズメバチの巣」を書いたことで少し柔軟さが出てきたのかなと思ったりもしました。
審問(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 審問(上) (講談社文庫)より
4062730456